第146回:新春、輸入車チョイ乗りリポート 〜いま『webCG』が気になるクルマはコレ!(その4)
2012.04.11 エディターから一言第146回:新春、輸入車チョイ乗りリポート〜いま『webCG』が気になるクルマはコレ!(その4)
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2011年の新車登録台数が前年を13%上回った、海外メーカーのインポートカー。今、どんなモデルが狙い目なのか? JAIA(日本自動車輸入組合)主催の試乗会に参加した『webCG』スタッフが、“一押しモデル”を価格別に紹介します。
【“超”高級クラスならコレ】
輸入車の比率がグンと増える、1000〜2000万円級のクルマたち。見ても乗ってもため息ばかり!? なかでも、以下の面々には、見どころがいっぱいです。
意外の連続メルセデス・ベンツGL550 4MATIC Grand Edition……1380万円
「メルセデスのジーエル」と聞いて、「はて……?」と思ったあなた。
ご存じないのも、無理はありません。何せ、キャッチコピーが「孤高の風格」。そこらのクルマと違うんですからっ。
メルセデス・ベンツ日本によれば、年間の受注台数は「数百台くらい……かな?」 むぅ、やはり“売れっ子”ではない様子……。
念のために紹介しますと、「GL550」は全長×全幅×全高=5110×1995×1840mm、ホイールベースが3m超、車重は2.5トンもあるジャイアントなSUV。2−3−2の3列シートで、7名乗れるのがミソである。エンジンは、5.5リッターV8。ヨンクというのも、頼もしい。
いかにも、山あいの別荘などがお似合いなのでは? と思いきや、現実は逆。主に都市部で選ばれているというから面白い。エアロパーツや大径ホイールで、ドレスアップを楽しまれるオーナーも多いのだという。
体に似合わず、コクピットは適度にタイト。ステアリングホイールもけっこう細身。なんだか、普通のセダンのよう。そこで後ろを振り向くと、ビックリするほど広いキャビン。とはいえ、走りは“バス”にあらず。コトリ、コトリと、軽やかに道路の継ぎ目を越えてゆく。あらゆるタッチが、とても繊細なのである。
独特だ。何にも似てない。「孤高の風格」とは、よく言ったもんだ! ひざをたたきながらも「これで値段が身近だったらなぁ……」の、1380万円。
(webCG 関)
内装に漂うブリティッシュネスランドローバー・レンジローバーヴォーグ 5.0 V8 Supercharged……1420万円
2008年2月から「レンジローバーヴォーグ」と呼ばれるようになったこのモデルは、「4WD界のロールス・ロイス」や「王室御用達」などと表現されるように、独特の存在感とブランド力を持つクルマだ。見た目はギラギラしているが、これは本来の姿ではなく、化粧直しを繰り返したゆえに行き着いた結果。2002年の現行モデルの登場時はもう少しおとなしかった。しかしその繰り返しのフェイスリフトのかいあって、10年たった今でも輝き続けているのも事実だ。
けれども、それよりも魅力に感じたのは、コクピットに身を置いたときに感じるパリッとした仕立ての良さや、どこか控えめな雰囲気。そしてフォーマルなムードだ。ものすごくぜいたくなのに、威張った感じがしない。これぞレンジローバー本来のキャラクターであり、ブリティッシュネスだと思う。
(webCG 曽宮)
高いのか? 安いのか?ジャガーXKポートフォリオ コンバーチブル……1430万円
「ジャガーXK」は、ベースモデルの「XKラグジュアリークーペ」が1200万円で、そのオープン版の「XKポートフォリオ コンバーチブル」は1430万円。これの先代にあたる「XK8」シリーズが90年代後半の今のような円高期に、888万円からというプライスタグが付けられていたことを思い出すと、この差はなんだ! と訝(いぶか)しくなる。
けれども、2006年10月に登場したこの2代目は、アルミモノコックボディーが採用され、2010年にはエンジンがそれまでの4.2リッターから5リッターのV8へと変更された。“アルミつながり”ということで、これを「ホンダNSX」と比べると、NSXはデビュー当時は800万円からで、モデル末期には3.2リッターV6にして1200万円級の値札をさげるモデルまで設定されたわけだから、「ジャガーもホンダもほぼ同じ!?」ということに気づく。さらには「ジャガーのほうはV8だし……」と、その値付けにむしろ説得力さえ感じられるのだ。
ま、NSXとの比較だけで高い安いを判断するのは早計でしょうが、世の“V8アルミスポーツ”は、「アウディR8」にしろ、「フェラーリ458イタリア」にしろ、これよりもさらに高いことは事実です。
(webCG 曽宮)
な〜んも言えねぇポルシェ911カレラ4 GTS……1607万円
“キューイチイチ”といえば、スポーツカーのド真ん中のド定番! しかもこの「911カレラ4 GTS」は、2004年のデビュー以来熟成を重ねた997型「カレラ」シリーズの最終形にして最高峰。エンジンは3.8リッター フラット6を過給器なしで408psまでパワーアップさせたものが載る。
こんなもの、乗る前から分かっているのだ。「いいに決まってる」
ワイドボディーをまとうそのフォルムは迫力満点。シンプルでレーシーな雰囲気の運転席に着いて、左手でキイをひねった途端、背後から「ウォン!」と雄たけびがとどろく。ステアリングの操舵(そうだ)感も、ペダル類の操作感も、そのボディーも、ゆるさというものが全くない。まさに巌(いわお)のごとし。剛性が高いとはこのことだ!
で、その走りは、……、「予想以上に快適だった」としか言えませ〜ん。
この性能をちゃんと味わうには、サーキット行くしかないでしょう。
(webCG こんどー)
速い! うまい! (他より)安い!シボレー・コルベットZR-1……1490万円
「このパフォーマンスでこの価格。ライバルより断然安いと思います」
と、ゼネラルモーターズ・ジャパンも胸を張るのが、「コルベットZR-1」。シリーズ最強の過給機付き6.2リッターV8は、647ps、83.5kgmの“怪力”を発生。それで1500万円以下だから、スペックで近い3560万円の「フェラーリ599」(620ps、62.0kgm)や3150万円の「ベントレー・コンチネンタル スーパースポーツ」(630ps、81.6kgm)に比べ、はるかにおトク! というわけだ。
まったく同感である。ルーフやスポイラー、ボンネットなど、カーボンパーツはてんこ盛り。そのボンネットの透かし窓からエンジンが見える演出もあれば、専用シートの仕立てもいい。さらに、ぜいたくなカーボンセラミック・ブレーキ。他より安くても、安っぽくなんかない。
脳ミソがずれるような加速! はさておき、その実用性も特筆モノ。大きいけれど、視界は良好。荷室はだだっ広いし、パワーが豊かだから、MTだってそうそうエンストはしない。“ふだん使い”できるという点でも、実にお得なスーパーカーだと思う。
実際、「ZR-1」は世界的に人気だそう。はたして、購入時に比較される“本当のライバル”は、非日常のパフォーマンスと実用性を併せ持つ「日産GT-R」とのことである。
(webCG 関)
「それだけのこと」とはいえ……ランボルギーニ・ガヤルドLP560-4 ビコローレ……2532万2850円
ビコローレ(Bicolore)とはツートンカラーの意。「ガヤルドLP560-4」をベースに、ショルダー部から上の外装を黒に塗った仕様のことで、内装もインパネ、シート、ドアトリムが黒いレザー張りとなる。「それだけのこと」とはいえ、標準型「LP560-4」より55万8600円高なり。
平べったいガヤルドが、もっと平べったく感じられるビコローレを見ていて、ふと、かつての「ホンダNSX」を思い出した。あちらは逆に、標準状態が黒いルーフの“ビコローレ”だった。カスタムオーダープランでボディー同色に塗り替えて、モノコローレ(?)にするオーナーが多かった。
見た目がツートンになるほかは、メカニズムやスペックの面では標準型と変わらない。5.2リッターのV10エンジンは潤沢なトルクを生み出し、eギアもシングルクラッチとはいえ何ら不満はない。変速スピードは十分に速い。
ガヤルドは日常的に使える柔軟性を備え、同時に公道では到底使い切れない能力を備えている。となると……、なるほど、屋根が黒かボディー同色か、そういうところに凝りたくなる気持ちも、わからなくはない。
(webCG 竹下)
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竹下 元太郎
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