MINI ONE(FF/6AT)【試乗記】
絶対オススメ! 2007.07.20 試乗記 MINI ONE(FF/6AT)……244万270円
2007年2月に先行発売した「MINIクーパー」「MINIクーパーS」に遅れること3ヶ月、「MINI ONE」が追加された。パワートレインが新しくなったベーシックモデルの走りを試す。
遅れ馳せながら……
輸入車にそれほど詳しくないうちのオヤジでも、「MINI」というクルマは知っている。「オレもミニクーパーに乗りたかったなぁ」とぼやいたりするのだが、たぶん本人はあのかたちのクルマは全部“ミニクーパー”だと信じていて、「MINIクーパー」がMINIの一部だということは知らないに違いない。
それはうちのオヤジだけじゃないだろう。反対にMINIにこだわる多くが、「MINIはクーパーに限る」と思っているわけだから、いずれにしても、MINIのなかではクーパーやクーパーSがエライという図式ができあがっているのはたしかだ。今回のニューモデル導入に際しても、日本ではまっさきに「クーパー」と「クーパーS」が発売され、ベーシックな「MINI ONE(ワン)」があとからひっそりと日本に上陸した、というのも、それを反映しているのかもしれない。
そうはいってもMINI ONEもMINI、フルモデルチェンジの内容に変わりはなく、一見どこが変わったかわからないデザイン、安全性向上のために伸ばされた全長(他のMINIが+60mmに対し、MINI ONEは+50mm)、そして、BMWとPSAにより共同開発されたエンジンの採用など、“ルーフ以外はすべて新設計”の新世代MINIに進化を遂げたことはいうまでもない。
いさぎよさナンバーONE!
そんなMINI ONEの一番の話題といえば、新たに採用されたパワートレイン。旧型が90ps/14.3kgmを発生する1.6リッター直列4気筒SOHCを搭載していたのに対し、新型は、DOHCやダブルVANOS、バルブトロニックといったBMWらしいメカニズムを採用し、1.4リッターながら95ps/14.3kgmを誇る。組み合わされるトランスミッションも、従来の5段MTまたはCVTから、6段MTまたは6段ATになった。
このうち試乗できたのは6ATのほうで、低回転では余裕を感じることはないものの、流れにおいていかれるほど非力なわけではなく、まあ、必要十分な性能といったところ。
オートマチックは気がつくと高いギアに入っているタイプなので、ちょっと加速したいときなどキックダウンや、ステアリングのパドルを弾いてシフトダウンする必要がある。でも、3000rpmの手前から盛り上がりはじめるトルク特性を活かしてエンジンの回転を高めに保てば、日常必要な加速は手に入るから、それをわずらわしいと思うか、楽しみが増えたと思うかは、ドライバーの意識次第。スモールカーなら、変に余裕があるよりも、持てる力を出し切って一生懸命走るほうがカッコイイ。
このあと、MINIクーパーにも乗った。たしかにこっちのほうが余裕はあるが、MINI ONEで十分という気がした。
さわやかさナンバーONE!
こういうと、どこかやせ我慢しているように思われるかもしれないが、実はそうではない。MINI ONEを積極的に選ぶ理由があるのだ。それは、MINI ONEのさわやかな走りっぷりである。
MINIクーパーやMINIクーパーSに比べてソフトなサスペンションが与えられたMINI ONEには、スチールホイールに175/65R15のランフラットじゃないふつうのタイヤが標準装着されている(MINIクーパーも同様。ただしこちらはアルミホイールが標準)。この組み合わせが生み出すのは、なんとフランス車ばりの“猫足”だった。
低速で少し硬い乗り心地は、スピードが上がるにつれてすぐに気にならなくなり、多少荒れた道でも、バネ下の重さを感じさせない快適さが新鮮だ。これでワインディングロードに足を踏み入れると、ロールは大きめだが、しなやかな動きを示すサスペンションが、道を捉える感じ。ノーズは軽快に向きを変え、思いどおりのラインを描いてコーナーを駆け抜けていく。下り坂が楽しいのなんの!
MINIクーパーやMINIクーパーSが主張する「GO-Kartフィーリング」とはちょっとズレているが、スモールカーを満喫するなら、私は快適さと軽快さを両立するこのMINI ONEのほうが好き。できれば6MTを選んで楽しみたいなぁ、という個人的な意見はさておき、このところ忘れかけていたファン・トゥ・ドライブの原点を見たような気がする。
というわけで、MINI ONE、絶対オススメです!
(文=生方聡/写真=峰昌宏)

生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
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