第327回:2007年F1最大の不快現象を勝手に解く!
ライコネンはなぜ遅くなったのか?
2007.06.29
小沢コージの勢いまかせ!
第327回:2007年F1最大の不快現象を勝手に解く!ライコネンはなぜ遅くなったのか?
キミ、なにやってんの?
うーん、なんか毎朝のお通じがよくないというか、ふに落ちない……。最近のF1ファン最大の疑問というか、スッキリしない点はコレだと思う。
「ライコネンはなぜこんなにも遅くなったのか?」
ここ数戦、予選は同僚マッサのコンマ数秒落ち。時には0.5秒以上離されることもあり、なさけないことに走行後のピットロードでもガッツポーズするマッサの後ろを視線を落として歩いてたりする。
考えてみると初戦に勝ったのもマッサがひとりゴケしちゃったからだし、シーズン前のテストでもずーっと遅かった。最近も「セッティングを見つけた!」なんて報道があったのに、本番じゃパッとしなかったり。
本来ならドライバーズランキング首位を争ってるはずが、もはや完全に4位定着。完全にハミルトンの盛り上げ役っていうか、盛り上げ役にすらなってないぐらい。
「もはや旬は過ぎた」とか「マッサが逆に速かった」って意見もあるとは思うが、天才好きの日本人(俺ね)からしてみると フォーミュラ・ルノーからF3、F3000を飛び越して、いきなりF1にジャンプアップ。異様なラップタイムをたたき出して、悪童モントーヤに才能を見せつけ、結果的には追い出した彼にして、今の体たらくぶりはさすがにいただけない。途中リタイアすることも多かったけど、一周の速さはブッチギリだった“はず”……。
ああお母さん、2005年ヨーロッパGPでは最後の最後、バイブレーションからタイヤがサスからブチ切れるまで、トップを怪走していた“驚速”の“天才”はどこにいったんでしょうか。テレビのテロップに出る、「現役最速」の文字が悲しいやらむなしいやら。「一体なにやってんのよ、キミは!?」なんてー、オヤジギャグも飛ばしたくなっちゃうぜ!
飲まない約束のマクラーレンチーム
ってなわけで「ライコネンは本当は遅くない」という前提で分析したいんだけど、すぐに「フェラーリがライコネンの走りにあってない」「BSタイヤを使いこなせてない」って結論にたどりついてしまう。
ところがどっこい、俺の友人にかなりユニークかつ信憑性のある意見をはくクルマ関係者がいたんでご紹介しましょう。原因はなにあろう“酒”だ!
小沢: ところでライコネン、なんでこんなに遅くなったんだろうね。
友人: 酒ですよ酒。表彰台でだって異常じゃないですか。シャンパンファイトをする前にもうクチに入れてる。完全にアル中ですよ。
小沢: そうなんだよなぁ。ほとんどくちびるでボトルを迎えにいってるように飲んでる。っていうか最近ではサーキットでも常に赤ら顔してるような気がしてきた。前は“F1界のディカプリオ”だと思ってたけど、最近はスウェーデンあたりの薄暗いパブで飲んでる“アル中白人オヤジ”にも見えてきた。
友人: だからマクラーレンにはドライバーが酒を飲まないって契約条項があるんです。ハミルトンもアロンソも全然飲んでない。
小沢: えー、でもライコネンはマクラーレン時代に飲みまくって、飲み屋で下半身さらけだしたこともあったじゃない。
友人: だから追い出したんですよ、ロン・デニスは。もう“アル中ライコネン”を、完全にコントロールできなくなっていた。
小沢: もったいないなぁ。あの速さはもう戻らないのかな?
友人: 戻りますよ。おそらく半年も禁酒すれば、あのキレは戻るはず。まだ20代だし、飲み始めてまもないし、真性アルコール中毒ではないでしょう。
スポーツマンは飲んじゃダメ!
小沢: でも酒ってそんなに悪いわけ?
友人: 酒は万病の元ですよ。僕も飲まなくはないけど、百害あって一理なし。特に北欧は寒くて天気が常に薄暗いから、飲む人が多くて、アル中は慢性的な社会問題になってる。それに彼らは元々、酒に強い体質ですしね。
小沢: なんだかんだクリーンな今の日本では、それほどヘビーなアル中は見ないよね。そういえば昔、とある有名アル中マンガ家に会ったことがあるんだけど、毎日お風呂に浸かってるように白くフニャフニャになってた。完全に縮んじゃってたよ。
友人: 僕も食事でお酒に付き合った後にドライビングゲームをすることがあるからわかるんですけど、判断を最後に投げちゃうんですよね。最後の最後にステアリング操作、ペダルワークを投げちゃってる自分がわかる。思考能力、反射神経がギリギリの部分で衰えてるんですよ。
小沢: わかる気がするなぁ。俺も飲んで原稿書くことがあるからわかるけど、おもしろい発想が出てこないんだよね。いつもなら浮かんでくるはずのキャッチーなフレーズが出てこない。全体的に粘りがなくなってる自分がいる。
友人: お酒を完全否定するわけじゃないんですけど、スポーツマンがお酒を飲んでちゃダメですよ。イチローなんてビール一杯も飲まないっていうじゃないですか。優勝した後のビールかけでも飲んでない。
小沢: そうなんだよ。昔のマリナーズ佐々木とか今の清原なんて、飲まなかったら今もバリバリイケてたって説もあるからね。40代でも凄い現役メジャーリーガーみたいに。奴ら朝まで一人ボトル2本は当たり前で、ビールみたいにウィスキー飲むって言うしさ。つまり逆言うと、それだけ彼らは天才だったという。
友人: もったいない話だとは思いますよ。いちモータースポーツファンからすればね。
まっこと同感。この説が本当なら今からでもジャン・トッドかシューマッハに無理やり監禁してもらって禁酒させてから1ヵ月後に走らせてみたいもんだ。っていうかさすがにプライドあるはずなんで、今の悔しさをバネに自ら気づいてくれないものだろうか。
キミ・ライコネン27歳。あと10年間、いや5年間は禁酒してほしい。2、3回チャンピオン取ったらその後はいくら酔っ払ってもいいからさ。そんときは俺がおごるよ! なーんちゃってね。
(文=小沢コージ/写真=Ferrari)

小沢 コージ
神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 YouTubeチャンネル『小沢コージのKozziTV』
-
第454回:ヤマダ電機にIKEAも顔負けのクルマ屋? ノルかソルかの新商法「ガリバーWOW!TOWN」 2012.8.27 中古車買い取りのガリバーが新ビジネス「WOW!TOWN」を開始。これは“クルマ選びのテーマパーク”だ!
-
第453回:今後のメルセデスはますますデザインに走る!? 「CLSシューティングブレーク」発表会&新型「Aクラス」欧州試乗! 2012.7.27 小沢コージが、最新のメルセデス・ベンツである「CLSシューティングブレーク」と新型「Aクラス」をチェック! その見どころは?
-
第452回:これじゃメルセデスには追いつけないぜ! “無意識インプレッション”のススメ 2012.6.22 自動車開発のカギを握る、テストドライブ。それが限られた道路環境で行われている日本の現状に、小沢コージが物申す!?
-
第451回:日本も学べる(?)中国自動車事情 新婚さん、“すてきなカーライフに”いらっしゃ〜い!? 2012.6.11 自動車熱が高まる中国には「新婚夫婦を対象にした自動車メディア」があるのだとか……? 現地で話を聞いてきた、小沢コージのリポート。
-
NEW
トヨタ・カローラ クロスGRスポーツ(4WD/CVT)【試乗記】
2025.10.21試乗記「トヨタ・カローラ クロス」のマイナーチェンジに合わせて追加設定された、初のスポーティーグレード「GRスポーツ」に試乗。排気量をアップしたハイブリッドパワートレインや強化されたボディー、そして専用セッティングのリアサスが織りなす走りの印象を報告する。 -
NEW
SUVやミニバンに備わるリアワイパーがセダンに少ないのはなぜ?
2025.10.21あの多田哲哉のクルマQ&ASUVやミニバンではリアウィンドウにワイパーが装着されているのが一般的なのに、セダンでの装着例は非常に少ない。その理由は? トヨタでさまざまな車両を開発してきた多田哲哉さんに聞いた。 -
NEW
2025-2026 Winter webCGタイヤセレクション
2025.10.202025-2026 Winter webCGタイヤセレクション<AD>2025-2026 Winterシーズンに注目のタイヤをwebCGが独自にリポート。一年を通して履き替えいらずのオールシーズンタイヤか、それともスノー/アイス性能に磨きをかけ、より進化したスタッドレスタイヤか。最新ラインナップを詳しく紹介する。 -
NEW
進化したオールシーズンタイヤ「N-BLUE 4Season 2」の走りを体感
2025.10.202025-2026 Winter webCGタイヤセレクション<AD>欧州・北米に続き、ネクセンの最新オールシーズンタイヤ「N-BLUE 4Season 2(エヌブルー4シーズン2)」が日本にも上陸。進化したその性能は、いかなるものなのか。「ルノー・カングー」に装着したオーナーのロングドライブに同行し、リアルな評価を聞いた。 -
NEW
ウインターライフが変わる・広がる ダンロップ「シンクロウェザー」の真価
2025.10.202025-2026 Winter webCGタイヤセレクション<AD>あらゆる路面にシンクロし、四季を通して高い性能を発揮する、ダンロップのオールシーズンタイヤ「シンクロウェザー」。そのウインター性能はどれほどのものか? 横浜、河口湖、八ヶ岳の3拠点生活を送る自動車ヘビーユーザーが、冬の八ヶ岳でその真価に触れた。 -
第321回:私の名前を覚えていますか
2025.10.20カーマニア人間国宝への道清水草一の話題の連載。24年ぶりに復活したホンダの新型「プレリュード」がリバイバルヒットを飛ばすなか、その陰でひっそりと消えていく2ドアクーペがある。今回はスペシャリティークーペについて、カーマニア的に考察した。