ボルボC30(FF/5AT)【海外試乗記】
子育てが終わったら小さなボルボを 2007.01.25 試乗記 ボルボC30(FF/5AT)2006年のパリモーターショーで正式発表されたボルボの新型3ドアハッチバック「C30」。ガラス製のテールゲートが特徴の小さなボルボにスペインで試乗した。
フル4シ−タ−のスポーティモデル
一番ちいさなボルボ、「C30」が登場。ネ−ミングの数字が示すように、C30は「S40」の全長より220mm短く4250mmとなる。「C」の文字はセダンの「S」やワゴンの「V」のように、クーペやカブリオレなどスポ−ティな車種に冠せられる記号だが、一見すると3ドアハッチバックながら、C30はフル4シーターのスポーティな車種として仕上げられている。このC30の国際試乗会が地中海に浮かぶスペイン領の小島マヨルカ島で行われた。
C30は2006年秋のパリサロンでデビューしたが、年頭のデトロイト・ショーでデザイン・コンセプトが発表されていた。記憶を呼び戻せば、セーフティ・コンセプトカーの「SCC」、さらにはオランダのネッドカーで造られていた「480」と、一連のモデルはガラスハッチのスタイリングが特徴である。それもそのはず開発スタッフは、その頃からの関わりをもつメンバー。あのボルボ・イメ−ジが継承されているのも合点がいく。
ターゲットは活動的な若者か熟年夫婦
ボルボといえば何といっても、「V70」に代表されるワゴンのような実用車造りを得意とするが、C30はもっと遊び心が与えられている。S40/V50シリーズの仲間としてC30が追加されたと考えれば、その性格やポジションがはっきりするだろう。C30のライバルは「アウディA3」であると明言するように、独身者および子供のいないカップルなど活動的な遊び道具としてのクルマを求める層、あるいはもう子育ての終わったエンプティー・ネスタ−ズと呼ばれる人たちが使うことを想定している。
基本的なコンポーネントはS40やV50でお馴染みのものが流用される。5気筒2.5リッターターボの220psから4気筒は1.6リッターの100psまで、欧州ではさらにディーゼルの5気筒2.4リッターターボの180psから1.6リッターの109psまで、スウェーデンとベルギーを合わせるとエンジンは10種類も用意されている。
ギアボックスはMTが7種類、ATは1種類で、日本へはお馴染みのアイシン5ATが主となるが、T5は6MT仕様の輸入も期待できるかもしれない。なにしろこのC30の年間販売計画は6万5000台(欧州のみでこのうちの75%)と言われ、そのほとんどを新規のユーザーが占めると見込まれている。日本市場も同様だろう。若者よりも熟年層向けとしてMT需要があることを期待したい。
実態は2シ−タ−・スポーツカー!?
実際に走らせてみると、思いの外C30はなかなかにスポーティである。S40も走り込むと面白いクルマだが、C30は幅広いトレッドでグイッと回り込み、短い全長ゆえに車体の遅れを伴わないから、まるで前輪だけで走っている感覚さえある。
サスペンションもさらにチューニングが進み、ソフトに路面の凹凸を吸収しながらボディの姿勢は常にフラット。コーナーでも同様、ロールをほとんど感じないまま旋回してゆく。4シータ−とは言え、実態は2シーター・スポーツカーとして操縦を楽しめるクルマだ。
マヨルカ島内の道路は狭く、対向車とのすれ違いにも気を使わなければならない。前を走るC30を観察すると、ボディの張り出しはキャビンの大きさに比してかなり大きく、ガードレールや岩の壁そして対向車のドアにも極く近い。
しかし中に乗っているとそうとは感じないほど気軽に運転できる、ということになるだろうか。バックミラーに映るC30はなかなか立派な顔をしている。「S60」や「S80」にも負けないくらい幅広で目元もしっかりしている。車高が低いのでよけい幅は広く見える。追いつかれれば道を譲るクルマも多いだろう。
室内は広々としている。シートが中央に寄って設置された効果は、側面衝突に対する安心感とともに、視界を良好なものにしている。これもボディの衝突安全性に対する信頼感とはまた違った、より積極的な意味での安全に繋がる。この安全に対する取り組みは、唐突に登場したのではない。ボルボのメーカーとしての姿勢は、連綿と続く歴史が継続された流れの中にある。それがボルボのボルボたる所以だろう。
ガラスハッチの3ドアボディは、スタイリングとしてもスポーティであるが、使い勝手もいい。中からの視界の良さを思うと外から見え過ぎではないかと懸念されるかもしれないが、効果的なシェードも用意されている。
日本市場へは夏ごろお目見えするかもしれない。
(文=笹目二朗/写真=ボルボ・カーズ・ジャパン/2007年1月)

笹目 二朗
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