「エンストばかりするとエンジンは壊れる?」
2006.08.19 クルマ生活Q&A エンジン「エンストばかりするとエンジンは壊れる?」
松本様、初めまして。新車でMT車を購入したばかりの頃、クラッチワークのコツがなかなか掴めず思い切りエンストや急発進ばかり繰り返していました。友達には「エンストやノッキングを起こすとエンジンを傷めるよ」と注意されました。やはりエンストやエンジン回転数が低すぎるときに生じるノッキングはエンジンにとってよくないのでしょうか?(アメリカ HK さん)
お答えします。本当は滑らかに回転を上げたいところに、エンストなどでエンジン停止をすれば、予想もしない部分に無理な負担がかかります。ノッキングも同様で、エンストよりもさらにエンジンへのダメージは大きいのです。相当頻繁に行われると、エンジンの寿命は確実に短くなるといってよいでしょう。
特にクランクシャフトのベアリングやピストン側面の摺動部への負担は大きいはずです。さらにエンジンだけでなく、その衝撃によってトランスミッションなどの動力伝達系が傷んだり、各部マウントのゴム類の消耗も予想以上に早く進みます。
とはいえ、現実的に考えるとそんなことでエンジンは簡単に壊れないものです。最近のクルマは点火系の制御の進歩によってノッキングすることもほとんどなくなりました。丁寧に扱うに越したことはありませんが、古いクルマではない限り、それほど神経質になる必要はないと思います。

松本 英雄
自動車テクノロジーライター。1992年~97年に当時のチームいすゞ(いすゞ自動車のワークスラリーチーム)テクニカル部門のアドバイザーとして、パリ・ダカール参加用車両の開発、製作にたずさわる。著書に『カー機能障害は治る』『通のツール箱』『クルマが長持ちする7つの習慣』(二玄社)がある。