第274回:新イメージリーダーにチョイ乗り
クーペ407に変貌するラテン系を見た!(小沢コージ)
2006.08.15
小沢コージの勢いまかせ!
第274回:新イメージリーダーにチョイ乗りクーペ407に変貌するラテン系を見た!
■フランス車らしさをどうするか
のっけから難しい話ですけどね。漠然と今後のプジョー、どこに行くのかなぁと思ってた部分があるわけです。というのもいまだ売れてるってハナシの、かつてオレも愛用した206シリーズはモデル末期も末期だし、かといって来年日本に入ってくる207は写真で見る限り206のかわりになりそうもない。実際、以前インタビューしたプジョー・ジャポンの社長さんはおっしゃっておりました。
「正確に言うと、207は206の後継ではありません」
それはサイズ的に拡大することもそうだし、要するに206的な大ヒット作はそうそう生まれ得ないってことでしょう。既にトータル500万台以上の超ビッグセールス。過去のプジョーラインナップのなかでも断トツナンバーワンだ。
それとオレが昔から危惧している問題があって、それは今後ますますクルマ作りがガッチリ、安全指向になっていくなかで、プジョーは独自のフランス車らしい“しなやかさ”“軽さ”と言った魅力をどう持っていくのかと。
ルノーを見ても妙にガッチリしてしまって、昔のしなやかさをなくしつつあるように思うし、プジョー307にしても、出た当初はドイツ車っぽい、ドイツ車っぽいって言われ続けたしね。
■典型的なラテン車テイストと決別
ってなわけで先日乗ったプジョーの新たなイメージリーダーカー、クーペ407。これは一つ考えさせられる出来映えでした。
一般的にはピニンファリーナ・デザインで有名な406クーペの後継に当たるわけだけど、プジョーは“407クーペ”とは呼ばずに、あえて“クーペ407”とひっくり返している。つまり、まったく違うラインであることをアピールしてるわけで、実際印象は406クーペとはかなり違っていた。
まずはデザインだけど、見るとかなりデジタルなテイスト。特にフロントサイドの“エラ”のような切りかきは、妙に装飾的で取って付けたよう。リアデザインのスクエアさにもびっくり。驚くほどシンプルだ。
走りも驚くほどのガッチリ感重視。ドアを開けた瞬間からして剛性感の高さが伝わってきて、実際ドアはかなり重い。インテリアの精度も質感も高く、昔の良くも悪くもいい加減というか、ラテン的な作りではなくなっているのだ。
走りもプジョーらしいしなやかさは残っているが確実に昔より骨太。なんとなく新しい味を模索しているように感じた。
そう、もはやラテンブランド車は、旧来の典型的なラテン車テイストとは決別する時期が来てるのだ。それはアルファ159にも感じたことで、GMと資本提携していた時に開発された国際基準のプラットフォームが使われているわけだけど、マジでドイツ車顔負けのガッチリした土台の上にアルファ・ロメオが味付けしたって感じだった。
そう、今後ラテンは変わるのよ。それはワインやサッカーと同じことで、昔みたいな“古きよきいい加減さ”ではいられない。ベーシックな部分、つまりボディ剛性や安全性はどこも同じような高いレベルとなり、あとはセンスの問題。逆に考えると味付け勝負になるわけだから、個性的で華やかなラテン車有利なのかも?まさにお手並み拝見って感じですな。
(文と写真=小沢コージ/2006年8月)
【webCGアーカイブで一気読み!】
「小沢コージの勢いまかせ!!」第1回〜第259回までは、「webCGアーカイブ」に収録されています。ご覧いただくには、「webCG Members」の会員登録(入会無料、年会費なし)が必要です。メルマガも読めます。詳しくは、ここをクリック!

小沢 コージ
神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 YouTubeチャンネル『小沢コージのKozziTV』
-
第454回:ヤマダ電機にIKEAも顔負けのクルマ屋? ノルかソルかの新商法「ガリバーWOW!TOWN」 2012.8.27 中古車買い取りのガリバーが新ビジネス「WOW!TOWN」を開始。これは“クルマ選びのテーマパーク”だ!
-
第453回:今後のメルセデスはますますデザインに走る!? 「CLSシューティングブレーク」発表会&新型「Aクラス」欧州試乗! 2012.7.27 小沢コージが、最新のメルセデス・ベンツである「CLSシューティングブレーク」と新型「Aクラス」をチェック! その見どころは?
-
第452回:これじゃメルセデスには追いつけないぜ! “無意識インプレッション”のススメ 2012.6.22 自動車開発のカギを握る、テストドライブ。それが限られた道路環境で行われている日本の現状に、小沢コージが物申す!?
-
第451回:日本も学べる(?)中国自動車事情 新婚さん、“すてきなカーライフに”いらっしゃ〜い!? 2012.6.11 自動車熱が高まる中国には「新婚夫婦を対象にした自動車メディア」があるのだとか……? 現地で話を聞いてきた、小沢コージのリポート。
-
NEW
トヨタ・カローラ クロスGRスポーツ(4WD/CVT)【試乗記】
2025.10.21試乗記「トヨタ・カローラ クロス」のマイナーチェンジに合わせて追加設定された、初のスポーティーグレード「GRスポーツ」に試乗。排気量をアップしたハイブリッドパワートレインや強化されたボディー、そして専用セッティングのリアサスが織りなす走りの印象を報告する。 -
NEW
SUVやミニバンに備わるリアワイパーがセダンに少ないのはなぜ?
2025.10.21あの多田哲哉のクルマQ&ASUVやミニバンではリアウィンドウにワイパーが装着されているのが一般的なのに、セダンでの装着例は非常に少ない。その理由は? トヨタでさまざまな車両を開発してきた多田哲哉さんに聞いた。 -
2025-2026 Winter webCGタイヤセレクション
2025.10.202025-2026 Winter webCGタイヤセレクション<AD>2025-2026 Winterシーズンに注目のタイヤをwebCGが独自にリポート。一年を通して履き替えいらずのオールシーズンタイヤか、それともスノー/アイス性能に磨きをかけ、より進化したスタッドレスタイヤか。最新ラインナップを詳しく紹介する。 -
進化したオールシーズンタイヤ「N-BLUE 4Season 2」の走りを体感
2025.10.202025-2026 Winter webCGタイヤセレクション<AD>欧州・北米に続き、ネクセンの最新オールシーズンタイヤ「N-BLUE 4Season 2(エヌブルー4シーズン2)」が日本にも上陸。進化したその性能は、いかなるものなのか。「ルノー・カングー」に装着したオーナーのロングドライブに同行し、リアルな評価を聞いた。 -
ウインターライフが変わる・広がる ダンロップ「シンクロウェザー」の真価
2025.10.202025-2026 Winter webCGタイヤセレクション<AD>あらゆる路面にシンクロし、四季を通して高い性能を発揮する、ダンロップのオールシーズンタイヤ「シンクロウェザー」。そのウインター性能はどれほどのものか? 横浜、河口湖、八ヶ岳の3拠点生活を送る自動車ヘビーユーザーが、冬の八ヶ岳でその真価に触れた。 -
第321回:私の名前を覚えていますか
2025.10.20カーマニア人間国宝への道清水草一の話題の連載。24年ぶりに復活したホンダの新型「プレリュード」がリバイバルヒットを飛ばすなか、その陰でひっそりと消えていく2ドアクーペがある。今回はスペシャリティークーペについて、カーマニア的に考察した。