オペル・アストラ 1.8 Sport(4AT)/アストラ 2.0 Turbo Sport(6MT)【試乗記】
花も実もある 2004.11.01 試乗記 オペル・アストラ 1.8 Sport(4AT)/アストラ 2.0 Turbo Sport(6MT) ……291万2500円/334万9500円 可変ダンパー「CDC」、2リッターターボ+6MTを武器に、オペルが強豪ひしめくセグメントに送り込むニューモデル「アストラ」。スポーティさでイメージ転換を図るブリッツマークのニューモデルに、『webCG』記者が試乗した。アストラが変わった
輸入車のコンパクトカークラスには、各社が濃いラインナップを揃える。「フォルクスワーゲン・ゴルフ」「アルファ147」「フォード・フォーカス」「BMW1シリーズ」「プジョー307」「ルノー・メガーヌ」などなど、車種も豊富。手堅かったり、スポーティだったり、スタイリッシュだったりの強豪がひしめく。
そのなかにあって、「オペル・アストラ」、失礼ながら、地味なクルマである。サイズ的に手頃で質実剛健なドイツ車、つまり、ちょっと地味目。乗って悪いこともないのに、なんとなく印象に残らないというか……。
しかし、新型アストラはかなり違った。まず見た目。失礼ながら、先代のちょっと田舎クサいイメージから、街で人目を惹きそうなくらい変わった。フォルムは下まわりがややドッシリめのハッチバックだが、「スピードスター」を彷彿とさせるフロントライトや、V字ラインを強調した前後マスクの処理、リアへいくほど絞り込まれるルーフラインなどで、キャビンスペースなど実用性を損なうことなくスポーティなイメージを演出する。
メイングレードと目される「1.8 Sport」、200psを発する2リッターターボ搭載の「2.0 Turbo Sport」は、タイヤサイズが215/45R17インチとやや大きいことも、アグレッシブな印象を与える。
インテリアはオペルらしく、シンプルでクリーンな“仕事場”っぽいが、センターパネルの見た目やステアリングホイールの手触りが上質。ボンネット上のモールドを反映したダッシュボード&センターコンソールなどが、無機質とはひと味違うシャープさを感じさせる。先代と比べてひとまわり大きく、ライバルと目されるゴルフより全長が50mm、ホイールベースは40mm長いボディサイズにより、室内幅はフロントが30mm、リア20mm拡大。ヘッドルームはリアで40mmプラス。広さも1クラス上である。
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「CDC」と「IDS-Plus」
「IDS-plus」の採用で、中身も代わった。IDSは、新型「ベクトラ」に採用した、ESP、ブレーキを左右別にコントロールする「CBC」、前後に適正な制動力を配分する「EBD」、緊急時のブレーキをアシストする「BA」などを備えるシャシーシステムだが、ニューアストラはさらに、電子制御可変ダンパー「CDC」(Continuous Damping Control)が加わり、「IDS-plus」となった。
CDCは、センサーでフロントサスペンション&ボディの上下移動、ステアリングの切れ角をモニタリングし、1000分の1秒単位でサスペンションを適切なダンピングに調節。加減速時の姿勢変化を抑え、コーナリングで踏ん張る、いわゆる可変ダンパーである。スイッチで“硬さ”を変える可変ダンパーはミニバンにすら見られるが、シャシーダイナミクスを変化させるシステムが、コンパクトカーに搭載されるのは珍しい。さらに、パワーステアリングのマッピング、シフトタイミング、スロットルレスポンス、そしてダンピングを、「Sport」スイッチで切り替えることができる。
総じてビックリ
「1.8 Sport」で箱根の山を走ると、ニューアストラ、とってもアグレッシブだった。最高出力125ps、トランスミッションは4段AT、リアサスペンションはトーションビームと、スペックは最新の欧州ハッチにはヒケをとるが、CDCのおかげでとにかくよく曲がる。しかも無理してる感がまったくない、自然なロールとともに走ることができる。まるで運転がうまくなったような気分である。Sportモードでは、ブレーキングやコーナリングでの安定感を高めつつ、乗り心地はノーマル並み。総じてビックリ。
ただ、トランスミッションが4ATなのはいただけなかった。オペルのエンジンは低速トルクに優れるため4ATでも不足はないとはいえ、“スポーティ”を標榜するには物足りない。燃費やスムーズネスを考慮しても、5段以上のトランスミッションが相応しいのではないかと思った。
2リッターターボに、アストラシリーズ初の6段MTを組み合わせた「2.0 Turbo Sport」は、200psと26.7kgmのアウトプットを発生する2リッターターボユニットを搭載するだけあって、動力性能は充分スポーティだ。ターボユニットでありながら低回転からトルキーなので、やや盛り上がりに欠ける一方、シフトをサボった怠惰な運転もできるところがオトナっぽいクルマである。
ニューアストラの価格は、1.8 Sportが265.0万円、2.0 Turbo Sportは315.0万円。お買い得感という意味でも、「BMW 1シリーズ」(288.8万円〜)、「フォルクスワーゲン・ゴルフ」(240万4500円〜)らのライバルと較べて、花も実もある1台だと思う。
(文=webCGオオサワ/写真=峰昌宏/2004年11月)

大澤 俊博
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