スバル・レガシィシリーズ【試乗速報(後編)】
使い切りの満足感を求めて(後編) 2006.05.26 試乗記 スバル・レガシィシリーズ 走りと環境性能の両立を目指したマイナーチェンジでは、エンジンにもチューニングが加えられている。その中でも注目されるのは、エンジン特性を変化させる新機軸「SI-DRIVE」。果たしてその正体は?同じペダル操作でも違う
「ツーリングワゴン 2.0GT(5AT)」を含め試乗した3グレードはどれもSI-DRIVEを搭載する。もちろんサーキット走行中も、モードを変えて変化を試してみた。操作はシフトレバー手前にあるダイヤルを「左」「右」「押す」の3系統に動かし、それぞれが「スポーツ」「スポーツ#(シャープ)」「インテリジェント」(以下文中「S」「S#」「I」)モードへの切り替えとなる。
「I」では出力そのものを抑制し、およそ2リッターNA同等に制御されている。そして「S」と「S#」では、最大トルクは同じながらも、トルクの出方が違うそうだ。
エンジニアに詳しく仕組みを伺った。
まず、SI-DRIVEで切り替えを行えるモードの違いは、(1)アクセル開度に対する燃料噴射量や点火時期、(2)アクセルペダル踏み込みに対するスロットル開閉の速度、の差になっているという。つまり、同じペダル操作でも反応が違うということで、ちょっと踏んでもバッと出るか、ちょっと踏んだ時はじんわり出るかの違いといえばわかりやすいだろうか。
ガマンしないで気持ちいい
「I」での出力を2リッターNAレベルに抑えたことについては「通常の使い方なら、2リッターNAで十分ですから」という理由。開発陣の思惑通りともいえるが、レガシィはシリーズ全体の約4割が2リッターNAだ。よくわかってらっしゃるユーザーさんが多いと感心しながらも、もう少しスポーティな味を楽しんでほしい気持ちの表れが「SI-DRIVE」なのだ。
「踏めないエンジンより、踏めるエンジンのほうが楽しいですよね」とエンジニア氏はおっしゃる。そういえば我々も「使い切れる歓び」なんて言葉を使うことがあるわけで、一般道で使い切れないパワーをもてあますクルマも多い。
さらに「I」は、従来の「Info-ECO」モードに代わる環境対応のモードでもある。「燃費走行をしているときにランプが点く」という仕組み「Info-ECOモード」は、すなわちガマンモードだったという。ランプを点けるために、走行に遠慮が出て、ストレスのたまる運転になってしまう。これでは面白くないので、しっかり踏めて、なおかつエコなモードという「I」が生まれたのだ。
なお2リッターターボエンジンを例にとると、エンジン単体で5%、「I」モードの制御を加えると、従来よりおよそ10%の実用燃費改善が図られたという(社内テストによる)。これはアイドリングストップを行っているのとほぼ同じだけの貢献度とのことだ。
運転を楽しむことと環境性能は両立できれば、これほど喜ばしいことはない。例えば「いくら食べても痩せられる」ように。
(文=webCG本諏訪裕幸/写真=荒川正幸/2006年5月)
・スバル・レガシィシリーズ (前編)
http://www.webcg.net/WEBCG/impressions/000018189.html

本諏訪 裕幸
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