アルファ・ロメオ・アルファ・ブレラ3.2 V6(4WD/6MT)/2.2 JTS(FF/6MT)【海外試乗記】
美しいけど、身持ちはしっかり 2005.11.15 試乗記 アルファ・ロメオ・アルファ・ブレラ3.2 V6(4WD/6MT)/2.2 JTS(FF/6MT) 「159」に続き、新世代アルファ・ロメオの幕開けを告げるモデルが「ブレラ」である。ジウジアーロがデザインを手がけたアルファのフラッグシップクーペの試乗記を、イタリア・トリノからお届けする。ドイツの血が注ぎ込まれた
グループ化が進み、自動車のナショナリティがなくなっていく昨今。しかし、イタリアンテイストどっぷりのアルファ・ロメオだけは、そんなことはあり得ないだろう、と思っていたし、同時に洗練についても、半ば諦めていた。だが、カール-ハインツ・カルプフェル(前アルファCEO、現在はアルファ・マセラティのスポーツ部門のボス。そのキャリアの多くをBMWのモータースポーツ部門のトップとして過ごした人物)が加わった途端、アルファは変わった。
今回の国際試乗会の舞台はトリノ。ジウジアーロのコンセプトモデルに端を発したブレラの試乗の舞台となったのは、アルファのテストコース「バロッコ」である。数々の歴史が刻まれたコースを走れる感激に終始してしまわないよう、気合いを入れてブレラQ4のスロットルを踏みつける。
ジェット機のように爽快なサウンドで響く新設計V6エンジン。不安なく高速移動を続けるシャシー。これまでのアルファが200km/h近いスピードで巡航をしたときに与えていたある種の緊張感は、どこかへ消え去っていた。アウトバーンという無制限速度域が日常で存在するドイツの血が、きっちりと新生アルファに注ぎ込まれたのである。
「華麗なるトラクション」
しかし、新世代アルファのフラッグシップクーペであるブレラが、まるっきりドイツ車になったのかといえば、もちろんそんなことはない。バロッコの荒れた路面から伝わるはずのハーシュネスは、「突き上げはあるが堅牢なボディがそれを受け止め……」というドイツ的な作法ではなく、昔のアルファがもっていた、腰のある味わいでいなされたのである。
汗ひとつかかずに、初めてのバロッコを攻略できるブレラ。タイトターンでも、フロントからタイヤが大きな悲鳴を上げることはない。それではと意地悪をして早めにアクセルを開けていくと、一瞬4WDのブレーキング現象が出たと思った瞬間、するするとフロントをイン側に寄せていった。Q4に搭載される4WDのトルクスプリットは、機械式のトルセンデフを介してとことんジェントリーに駆動力を後ろ側へ配分したのである。
この大人っぽい「華麗なるトラクション」にこそ、ブレラの神髄がある。156GTAならば全開をかました瞬間に前足をばたつかせる場面でも、ブレラは予想より内側のラインで、こともなげに立ち上がる。コースを目一杯使い切るような走り方をするには、今までのアルファよりずっと攻め込まなくてはいけない。……まったく驚きだ。アルファがこんなことをやるなんて。
拡大
|
拡大
|
拡大
|
廉価版ではないFFモデル
2.2JTSも素晴らしかった。Q4に対しシンプルなFFモデルだけに圧倒的に動きが軽い。高速コーナーでのヨーモーメントがかかりながらのブレーキングも、破綻しないから怖さがない。156で登場したハイマウントダブルウィッシュボーンは熟成を経てより深くストロークし、マルチリンクとなったリアの接地性の良さを利して、ひゅんひゅんとコーナーを駆け抜ける。絶対速度はQ4に較べ遅いが、抜群に楽しい。
159のときは単なる廉価版と感じたFFモデルも、より軽くてショートホイールベースの短いブレラになると、ひとつの選択肢にまで昇格した。180psを発揮するエンジンもスカッと爽やかで、トランスミッションもQ4と同じ6MT。お買い得感があるのは、むしろこっちのモデルだと断言する。
惜しむらくはこのブレラ、インテリアがほとんどセダンである159と同じなのだ。しかしカラーは4種類と発表され、試乗会場には2トーンのちょいエロな仕様も存在したから、その導入に期待したい。ヨーロッパでの価格は、34000〜45000ユーロ(470〜630万円)。日本での価格はもう少し上がるだろう。
ドイツメーカーのトップが、「最後の仕事をイタリアで」と選んだアルファ・ロメオ。そこで生まれたブレラは、ドイツとイタリアのハーフのような、美しくもしっかりとした身持ちの女の子に育ったようだ。ちょっとイカついのが、好みの分かれ目だけどね。
(文=山田弘樹/写真=フィアットオート・ジャパン/2005年11月)

山田 弘樹
ワンメイクレースやスーパー耐久に参戦経験をもつ、実践派のモータージャーナリスト。動力性能や運動性能、およびそれに関連するメカニズムの批評を得意とする。愛車は1995年式「ポルシェ911カレラ」と1986年式の「トヨタ・スプリンター トレノ」(AE86)。
-
ホンダCR-V e:HEV RSブラックエディション(4WD)【試乗記】 2026.6.1 「ホンダCR-V」がフルモデルチェンジ。新型は適切なボディーサイズと高品質な内外装を持ち、乗れば最新のホンダ車らしい気持ちよさが味わえる。ただし、その月販目標は400台。ちょっと弱気ではあるものの、周辺事情にも考えを巡らせると極めて妥当な数字にも思えてくる。
-
トヨタRAV4 GRスポーツ(4WD/CVT)【試乗記】 2026.5.30 新型「トヨタRAV4」のプラグインハイブリッド車ではEV走行換算距離が約150kmにまで到達。もちろん電池容量の拡大によるところも大きいが、何よりも最新のハイブリッドシステムによる効率向上が効いている。「GRスポーツ」をドライブした印象をリポートする。
-
キャデラック・リリックV(4WD)【試乗記】 2026.5.29 キャデラック初の電気自動車(BEV)「リリック」に、最高出力646PSのハイパフォーマンスモデル「リリックV」が登場。“ブランド史上最速”をうたう豪速SUVだが、実際に乗ってみると、高い動力性能がもたらすゆとりや心地よさにも魅力を感じる一台となっていた。
-
DS N°8エトワールAWD(4WD)【試乗記】 2026.5.28 前衛を身上とするフランスのラグジュアリーブランド、DSオートモビルから、新たなハイエンドモデル「DS N°8(ナンバーエイト)」が登場。当代屈指の性能を誇る電気自動車であり、かの地では大統領専用車にも選ばれる一台の、独創の魅力に触れた。
-
メルセデスAMG GLC53 4MATIC+(4WD/9AT)【海外試乗記】 2026.5.27 「メルセデス・ベンツGLC」にスポーティーな「メルセデスAMG GLC53 4MATIC+」が仲間入り。「43」と「63」の中間、AMGとしては松竹梅の竹にあたるモデルだが、今後はそのポジションの重要性がさらに増すことになるという。本国ドイツでドライブした印象をリポートする。
-
NEW
レクサスES350h(FF/CVT)/ES350e(FWD)/ES500e(4WD)【海外試乗記】
2026.6.3試乗記「レクサスES」がフルモデルチェンジ。シャシーがFFベースというのは歴代モデルと同じだが、新型ではボディーサイズがググッと拡大。「LS」の6輪ミニバンコンセプトが登場したこともあり、今後のレクサスセダンの総代を担うことになる。北米で乗った印象をリポートする。 -
NEW
ミドシップ化で運動性能はどう変わる? 「GRヤリスMコンセプト」の現時点での完成度を体感
2026.6.3デイリーコラム「GRヤリス」をベースとしたミドシップ4WDとして市販化を目指す「GRヤリスMコンセプト」。現在もスーパー耐久に投入されるなどして鍛えられているが、その開発車両をドライブできた。普通のGRヤリスとの運動性能の違いや、新開発エンジンの印象などをリポートする。 -
NEW
第115回:メイク・アメリカ・グレート・アゲイン!(後編) ―デザインもサイズも規格外! 魅惑のアメリカ車はなぜ“主役”になれないのか?―
2026.6.3カーデザイン曼荼羅トヨタ&ホンダが発表した、米国生産車の日本導入計画。しかしアメリカには、規格外に面白いクルマがまだたくさんあるのだ! カーデザインの識者とともに魅惑の日本“未”導入車を探すとともに、魅力的なアメリカ車が、それでも主役になれない理由を考えた。 -
どうしてピアノブラックの内装材は多用されるのか?
2026.6.2あの多田哲哉のクルマQ&Aよく目にするピアノブラックの内装材は、「キズや脂汚れが目立つ」などネガティブな評価もしばしば。それでも多用されているのはなぜか? 車両開発者の多田哲哉さんに聞いてみた。 -
BSAゴールドスター650(5MT)【レビュー】
2026.6.2試乗記かつて一世を風靡(ふうび)した英国の名門、BSAが復活! 新生第1号モデルである「ゴールドスター650」は、クラシックで優雅なお散歩バイク……と思いきや、ツインカムの大排気量シングルで、ライディングも前のめりに楽しめるマシンに仕上がっていた。 -
レストモッドがイメージ 特別なオニツカタイガーの魅力に迫る
2026.6.1オニツカタイガーの新作ドライビングシューズを知る<AD>オニツカタイガーが、“レストモッド”と呼ばれるクルマのレストア&カスタム手法に着想を得たドライビングシューズを発表。4タイプ製作された、「MEXICO 66 DRIVING」のスペシャルバージョンの魅力に迫る。




























