オペル・シグナム3.2(5AT)【ブリーフテスト】
オペル・シグナム3.2(5AT) 2004.03.20 試乗記 ……433.5万円 総合評価……★★★★ 「オペル・ベクトラセダン」のホイールベースを130mm延長して後席の居住スペースにあてた、ベクトラシリーズのトップグレード「シグナム」。ハッチバックのユニークなラクシャリーカーに、自動車ジャーナリストの笹目二朗が乗った。
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穏健実力派
このクラスのハッチバックは、日本市場では売りにくい車種だ。しかし、セダンより広く居住性のいいリアシートは、ここで仕事ができるほど。テスト車には、ディーラーオプションの「トラベルアシスタント」(11.5万円)が装着され、後席でメモがとれるなど、ショファードリブンのエグゼクティブ気分が味わえる。セダンでは飽き足らず、また、ワゴンのワーキング気分を払拭したい向きには、こんなハッチバックで個性を主張するのもヨシ。高価格ゆえの存在感は十分あるし、サイズ的な押し出しも、いわゆる高級車に負けてはいない。あまり目立ち過ぎるのも困るというような、穏健実力派のアシとして恰好のクルマか。すくなくとも、ブランドでクルマ選びをするような、消極的な(?)人間とは見られないだろう。
ひとつだけ、どうしても馴染めなかったのが、電子式ウィンカースイッチだ。ベクトラシリーズに共通するそれは、ウィンカーレバーをすこし動かすと3回、フルストロークでウィンカーランプの点滅が継続する仕組み。だが、上記の使い分けがわかりにくく、「右」へ出した合図を消そうと「左」へ動かすと、左に合図が出てしまうなど、意思を忠実に伝えることができないケースが多々あった。レバーに従来のような機構を組み込むことも可能なはず。早急な改善を望みたい。
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【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
「ベクトラ」シリーズのトップグレードを担う5ドアハッチバック。ホイールベースを130mm延長して2830mmとし、後席の居住性を拡大したことがジマンである。
リアシートは、13cmのスライド量を誇るほか、レバー操作でリクライニング可能。シングルフォールドながら、荷室とほぼフラットになるシートアレンジも備える。
日本では2003年12月から、新開発の直噴2.2リッター直4(155ps)モデルと、3.2リッターV6(211ps)の2モデルが導入された。トランスミッションは、いずれもシーケンシャルモード付き5段ATのみ。2.2リッターにはスポーツシャシーが採用され、スポーティな性格が与えられる。
(グレード概要)
トップグレード「シグナム3.2」は、スポーティな2.2に対してラクシャリーな性格が与えられる。フルレザーシート(電動調節、ヒーター付き)を装着するのは3.2のみ。ほかに、クルーズコントロール、外気温などを表示する「オンボードコンピューター」などを標準装備する。外観上の識別点は、デュアルマフラーと7本スポークアルミホイール(2.2は5本スポーク)。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
ベッコウ(鼈甲)調の装飾パネルは、木目に代わる新しい試み。ただし、ダッシュボードデザインとして新鮮さはなく、落ちついた感覚もやや古典的で地味だ。しかしフィニッシュは上々。現在のオペル“最高価格車”としての重責を果たす。ナビ/オーディオ/空調/物入/灰皿と続く、センター居住区の配列処遇も手慣れている。欲を言えば、セダンから抜け出た個性が欲しい。
(前席)……★★★★★
シートはたっぷりサイズで、形状も良好。スライドやリクライン、ランバーサポートなど、各種調整機構も充実する。特に、ランバーサポートの調整幅は大きい。ステアリングホイールは、チルトに加えてテレスコピックも可能。好みのシートポジションがとれる。革シートは表皮が滑りやすいので嫌う人もいるが、耐久性が高くヘビーデューティではある。頭上の眼鏡ケースをはじめ、小物入れがあちこちにあるのも便利。クッションの当たりは硬めだが、長く座っているとクッションが沈み込んで馴染んでくるタイプだ。
(後席)……★★★★★
このクルマ最大のウリとなる部分は、リアシートの居住性。たっぷりサイズのシートは座面の長さも十分、背面は肩まですっぽり覆ってくれ、寝過ぎない角度も良好だ。ルーフを深くえぐったドアは乗降性がよく、足もとも前席下に空間がたっぷりとられている。倒して荷室として使うにしても、ワンタッチで簡単操作が可能。「ファーストクラス並み」の後席を演出するコンソールボックスは、収納だけでなく引き出して使うテーブルも備え、文字を書く際などに便利。
(荷室)……★★★★
ボディ形態はハッチバックであるが、容量的にはワゴンなみの収容力がある。サスペンションの張り出しはほとんどなく、ホイールハウスを後部まで覆った壁により、スクエアな使いやすい空間が確保される。4ドアセダンのトランクより、天地方向は確実に広い。
リアシートのシートバックは、アームレスト部分との3分割になり、必要に応じて倒して、乗員と荷物のスペース配分ができる。ゲートは単なるハッチ以上に大きく開くから、たとえば、ラジコンヘリなども運べそう。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★
お馴染み、54度のバンク角をもつ3.2リッターV6は低回転からトルクがあり、「ルルルル……」と軽いハミングを伴って滑らかにまわる。トップエンドまでその勢いは衰えない。
5段ATは、1、2、3速間のギア比がほぼ均等に割り当てられ、リズミカルに加速していく。シフトショックもすくない。ブレーキを踏んだまま停止していると、ギアがニュートラルに戻る機能も健在。マニュアルモードを備え、シフトノブの上下でギアチェンジも可能だ。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★
すこし硬めのセッティングながら、ドイツ車の標準をもってすればフラット感はまずまず。コーナーでは頑強にロールを拒否することなく、適度なしなやかさで外輪に荷重をかけて曲がる。前後重量配分は前:後=59:41だから、とくに頭が重い感覚はない。スポーティさをウリにはしていないが、知らず知らずのうちにコーナーを攻めてしまう誘惑がある。外観からは意外なほど、ドライビングが楽しいクルマだ。
(写真=郡大二郎)
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【テストデータ】
報告者:笹目二朗
テスト日:2004年1月14日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2003年型
テスト車の走行距離:3630km
タイヤ:(前)215/50R17(後)同じ(いずれもグッドイヤー イーグルNCT5)
オプション装備:トラベルアシスタント(大型センターアームレスト/DVDナビゲーションシステムプレーヤーホルダー/左右席独立式トレー/クーラーボックス/12V電源ソケット/カップホルダー/収納ボックス=11.5万円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(2):高速道路(5):山岳路(3)
テスト距離:295.1km
使用燃料:39.0リッター
参考燃費:7.6km/リッター

笹目 二朗
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