アルファ147 2.0TSセレスピード(5MT)【海外試乗記】
『アルファロメオ・プラス・アルファ』 2000.10.27 試乗記 アルファ147 2.0TSセレスピード(5MT) ここぞという時には、ものすごくカッコ良くて着心地も最高だけれど、すぐ綻びるしお手入れも大変、家で洗濯するなんてもってのほかというジャケット。喩えて言えばアルファロメオはこんな車だったように思う。だった、と書いたのは、新しいアルファ147はどうもそうではないらしいのだ。日本車みたいに
2000年10月上旬、モンテカルロで正式発表された147は、アルファロメオの新しいベーシックモデルである。つまり1994年デビューの145/146シリーズの後継車、もっと遡れば33、さらにはアルファスッドに行きつくのだけれど、その延長線上にあると思われるとちょっと困る。
アルファによれば、この車は「プレミアム」コンパクトであり、敵はアウディA3やBMWの3シリーズコンパクトであるという。伝統的なスポーティーさと伊達なスタイルに加えて、アウディやBMW並のクオリティと最新装備を併せ持っている、と彼らは高らかに宣言したのである。
確かに156や166の成功でアルファはいま絶好調だが(2000年は1997年に比べて45%増の21万台以上のセールスを達成しそうだという)。それにしても、フォーリングスやBMWと同水準とは……。
ところが、実際にトップグレードの147「2リッターセレスピード」に乗りこんでみると、それがイタリア的な誇張ではないことに気づく。
立体的なダッシュボードはマルベリーの鞄の生地に似たソフトで見栄えの良い材質で作られており、(少なくとも試乗車は)パーツ同士の隙間もきっちり揃っている。それにグラブボックスもカップホルダーも、日本車みたいにダンパー付きでスーッと開くではないか! しかもセレスピードは、クルーズコントロールやオートエアコン、BOSEサウンドシステムなど、およそあらゆる装備が標準である。
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タイヤが悲鳴をあげる瞬間まで
2リッター4気筒16バルブのツインスパークユニット(150ps/6300rpm、18.5mkg/3800rpm)や、前ダブルウィッシュボーン、後ストラット式のサスペンションなど、基本メカニズムは兄貴分の156譲りだが、エンジンはより静かにスムーズに軽々と吹けるようになった。
またセレスピードのシステムも改善されたらしい。「シティモード」でのクラッチワークが多少上手になった。何より156のボタン式からフェラーリのようなパドル式(ステアリングと一緒に回る。タッチも抜群)に変更されたことが嬉しい。
乗り心地は、日本仕様の156セレスピードよりソフトで、ボディもむしろこちらのほうがガッチリしている。
そのぶん(?)ステアリングのレスポンスは156ほどは鋭くはない。とはいえ、相変わらずリニアで自然な手応えを持ち、タイアが悲鳴をあげるその瞬間のインフォメーションまで掌に伝える性格は、やはりかつてのアルファスッドなどに似ていると思う。
問題は、156よりホイールベースが50mm短いのに、逆に最小回転半径が5.75mとわずかながら大きくなったこと。これも伝統か。
そうそう、言い忘れたがカタチについては、誰からも文句はでないだろう。145ほどの斬新さはないが、ボディサイドのキャラクターラインに夕陽がハイライトを入れたりすると、「もうウットリ……」である。
この車が予定通りに来年の夏、イタリア本国とあまり変わらない値段(今はユーロが安いのでセレスピードでも約240万円)で日本にやってきたら、これはもうアウディ、BMWどころか、ゴルフを擁するフォルクスワーゲンでさえうかうかしていられないはずである。
(CG編集部 高平高輝/2000年10月)

高平 高輝
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