トヨタ・ハイラックスサーフ2700ガソリン 4WD SSR-G(4AT)【ブリーフテスト】
トヨタ・ハイラックスサーフ2700ガソリン 4WD SSR-G(4AT) 2003.04.08 試乗記 ……377.2万円 総合評価……★★★★睥睨して走る
1960年代に、1トン積みトラックとしてスタートした「ハイラックス」だが、時は流れ、「ハイラックスサーフ」になって3代目にあたる先代からは、ジープ系「ランドクルーザープラド」と姉妹車に。4代目になったいまは、「ラダーフレーム+リアのリジッドサス」というヘビィデューティなスペックはそのままに、乗用車化するライバルに負けまいと、オンロードでの乗り心地がグッとリファインされた。
テスト車の「2700SSR-G」においては、“木目調ならぬ石目調パネルが付く最廉価バージョン”というよりも、“4輪のサスペンションを有機的に結ぶX-REASを装備する小排気量版”というよりも、“メカはともかく、プラス26.5万円で本革内装が選べる”のがいちばん大事かも。路上で「マークII」や「ウィンダム」を睥睨するヨロコビ。アメリカン調SUV。プラドより、ちょっと若向き。
|
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
「ランドクルーザー プラド」と、エンジンやフレームなどを共用する「ハイラックス サーフ」。現行モデルは、2002年10月7日にフルモデルチェンジを受けた4代目。高級&上質指向のプラド、若者向けのサーフとキャラクターが分けられる。プラドには3ドアが設定されるが、サーフは5ドアモデルのみとなる。
メカニズムは、基本的にプラドと同じだが、高度な電制4WDシステムをもつプラドに対し、ハイラックスはコンベンショナルに、「2WD-4WD」をスイッチで切り替えるタイプを採用。サスペンションはフロントがダブルウイッシュボーン、リアはリジッド式だ。
エンジンは、2.7リッター直4DOHC16バルブ(150ps/4800rpm、24.0kgm/4000rpm)と、3.4リッターV6DOHC24バルブ(185ps/4800rpm、30.0kgm/3600rpm)のガソリンエンジンに加え、コモンレール式ディーゼルの3リッター直4DOHCターボ・インタークーラー付き(170ps/3400rpm、35.9kgm/1400〜3400rpm)の3種類が用意される。トランスミッションはすべて4段AT。
(グレード概要)
ハイラックスサーフのトリムレベルは、上級版「SSR-G」と標準グレード「SSR-X」に大別される。後者には、さらにフェンダー、バンパーなどがメタリックになり、スチールホイールを履く廉価版「アメリカンバージョン」もカタログに載る。SSR-Xには4WDほかFR(後輪駆動)の2駆モデルも用意されるが、テスト車の「SSR-G」は4駆のみ。
SSR-Xと比較して、タイヤが65扁平の17インチとスポーティなものになり、前後にフォグランプを装着。機関上では、4輪のダンパーを対角線上に結んで、中間に置かれたユニットが減衰力を補助して走行安定性を高める「X-REAS」を搭載するのが大きな違い。インテリアでは、ステアリングホイールが革巻きになり、パネル類が「メタル調」から「石目調(!)」に変更される。本革内装をオプションで選べるのもSSR-Gだけだ。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
アッケラカンと機能的にまとめられたインパネまわり。インテリアカラーは、テスト車のベージュのほかグレーが用意される。多少よごれが気になるかもしれないが、ベージュの方が車内が明るく楽しげ。革内装のありがたみも増す、ような気がする。全体にデザイン面の主張は曖昧だが、パーツで見ると、5(または4)方向に傾けることで機能を選ぶ皿型(?)ダイヤルが目につく新しい試み。助手席側のエアバッグは、その装備を意識させない「インビジブル」仕様となった。エアバッグも、装着を主張する必要がなくなったほど、一般化したわけだ。
(前席)……★★★
外観から想像するより、床が高いのが第一印象。数値的には、先代より25mm低くされたのだが。とはいえ、ヘッドクリアランスはじゅうぶん。7ウェイの本革シートの座り心地も、しっかりしていてイイ。運転席側には、やはり電動のランバーサポートが付く。トンネルコンソールの大きなモノ入れは便利。その前に、小さな小物入れがあるのが、また便利。さらに、二人分のカップホルダーが、ATシフター前に用意される。
(後席)……★★★
旧型より前後に28mm広くなったリアシート。膝前、頭上とも、スペーシィ。が、前席同様フロアが高いため、実際に腰かけると、思いのほかゆったりできない。実用上は問題ないが。
大きなアームレストには、二人分のカップホルダーが仕組まれる。トンネルコンソール後端に、リアシート用のエアコン噴き出し口が備わる。ゴミ袋を固定するための「トラッシュホルダー」はご愛敬。
(荷室)……★★★★
ボディサイズ相応に大きなラゲッジルーム。床面最大幅142cm、奥行き100cm。SSR-Gは、トレイを利用して、上下2つに仕切ることも可能だ。リアガラスは、運転席のスイッチまたはカギにつくリモートコントロール機能で上下できる贅沢なもの。荷物の出し入れに便利。閉め忘れて走ると寒い。
なお、テスト車は10スピーカーの「JBL SYNTHESISプレミアムサウンドシステム」をオプション装備(38.7万円)しているため、荷室内に2つのスピーカーとひとつのウーハーが設置される。ただ、JBLを選ぶと、ラゲッジルーム後端上部左右にはめ込まれた2つの補助ミラーが装着されなくなるのが残念。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★
平成12年基準排出ガス50%低減レベル(☆☆)を達成した2.7リッターユニット。最高出力150ps、最大トルク24.0kgm。3.4リッターV6比35psと6.0kgm小さなアウトプットで、1800kg超のボディを動かす。「さぞや遅いだろう」と思うが、クルマの性格ゆえか、意外に気にならない。街乗りに使うなら、十分だろう。実用燃費も妥当なところだ。
4WDシステムは、センターデフにトルセン式を採用。通常、前:後=4:6で駆動力が配分される。「2駆-4駆」は、コンソール上のダイヤル式スイッチで切り替え可。同様に、センタークラスター上のスイッチで、前後を直結するデフロックも選択できる。ハイラックスサーフの上級グレードたる「SSR-G」は、テスト車のように、リアにLSDをオプション装着(3.0万円)して、走破性をさらに向上させることができる特権付き。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★
ラダーフレームから見直された新しいシャシー。オンロードでは、“フレーム付き”とはにわかに信じられない乗り心地のよさを見せる。全体にソフトだ。ハンドリングは、クルマの性格通り(?)大ざっぱなものだが、ステアリング操作に対する挙動の遅れ、過大なロール、といった従来のクロカンに見られがちだった欠点が、大いに改善された。法定速度内で走るぶんには、ハイウェイクルージングも安楽なもの。
(写真=永嶋勝美)
|
【テストデータ】
報告者:webCG青木禎之
テスト日:2002年12月11日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2002年型
テスト車の走行距離:2320km
タイヤ:(前)265/65R17 112S(後)同じ(いずれもブリヂストン Dueler H/T840)
オプション装備:リアLSD(3.0万円)/前席サイド&カーテンエアバッグ+スライド機構付きサンバイザー(8.0万円)/本革シート+7ウェイアジャスタブル機構付き本革パワーシート+合皮ドアトリム(石目調)(26.5万円)/JBL SYNTHESISプレミアムサウンドシステム(DVDナビゲーションシステム+ラジオ/カセット/MD/CD+10スピーカー/38.7万円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(3):高速道路(6):山岳路(1)
テスト距離:245.9km
使用燃料:35.0リッター
参考燃費:7.0km/リッター

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
-
BSAゴールドスター650(5MT)【レビュー】 2026.6.2 かつて一世を風靡(ふうび)した英国の名門、BSAが復活! 新生第1号モデルである「ゴールドスター650」は、クラシックで優雅なお散歩バイク……と思いきや、ツインカムの大排気量シングルで、ライディングも前のめりに楽しめるマシンに仕上がっていた。
-
ホンダCR-V e:HEV RSブラックエディション(4WD)【試乗記】 2026.6.1 「ホンダCR-V」がフルモデルチェンジ。新型は適切なボディーサイズと高品質な内外装を持ち、乗れば最新のホンダ車らしい気持ちよさが味わえる。ただし、その月販目標は400台。ちょっと弱気ではあるものの、周辺事情にも考えを巡らせると極めて妥当な数字にも思えてくる。
-
トヨタRAV4 GRスポーツ(4WD/CVT)【試乗記】 2026.5.30 新型「トヨタRAV4」のプラグインハイブリッド車ではEV走行換算距離が約150kmにまで到達。もちろん電池容量の拡大によるところも大きいが、何よりも最新のハイブリッドシステムによる効率向上が効いている。「GRスポーツ」をドライブした印象をリポートする。
-
キャデラック・リリックV(4WD)【試乗記】 2026.5.29 キャデラック初の電気自動車(BEV)「リリック」に、最高出力646PSのハイパフォーマンスモデル「リリックV」が登場。“ブランド史上最速”をうたう豪速SUVだが、実際に乗ってみると、高い動力性能がもたらすゆとりや心地よさにも魅力を感じる一台となっていた。
-
DS N°8エトワールAWD(4WD)【試乗記】 2026.5.28 前衛を身上とするフランスのラグジュアリーブランド、DSオートモビルから、新たなハイエンドモデル「DS N°8(ナンバーエイト)」が登場。当代屈指の性能を誇る電気自動車であり、かの地では大統領専用車にも選ばれる一台の、独創の魅力に触れた。
-
NEW
レクサスES350h(FF/CVT)/ES350e(FWD)/ES500e(4WD)【海外試乗記】
2026.6.3試乗記「レクサスES」がフルモデルチェンジ。シャシーがFFベースというのは歴代モデルと同じだが、新型ではボディーサイズがググッと拡大。「LS」の6輪ミニバンコンセプトが登場したこともあり、今後のレクサスセダンの総代を担うことになる。北米で乗った印象をリポートする。 -
NEW
ミドシップ化で運動性能はどう変わる? 「GRヤリスMコンセプト」の現時点での完成度を体感
2026.6.3デイリーコラム「GRヤリス」をベースとしたミドシップ4WDとして市販化を目指す「GRヤリスMコンセプト」。現在もスーパー耐久に投入されるなどして鍛えられているが、その開発車両をドライブできた。普通のGRヤリスとの運動性能の違いや、新開発エンジンの印象などをリポートする。 -
NEW
第115回:メイク・アメリカ・グレート・アゲイン!(後編) ―デザインもサイズも規格外! 魅惑のアメリカ車はなぜ“主役”になれないのか?―
2026.6.3カーデザイン曼荼羅トヨタ&ホンダが発表した、米国生産車の日本導入計画。しかしアメリカには、規格外に面白いクルマがまだたくさんあるのだ! カーデザインの識者とともに魅惑の日本“未”導入車を探すとともに、魅力的なアメリカ車が、それでも主役になれない理由を考えた。 -
どうしてピアノブラックの内装材は多用されるのか?
2026.6.2あの多田哲哉のクルマQ&Aよく目にするピアノブラックの内装材は、「キズや脂汚れが目立つ」などネガティブな評価もしばしば。それでも多用されているのはなぜか? 車両開発者の多田哲哉さんに聞いてみた。 -
BSAゴールドスター650(5MT)【レビュー】
2026.6.2試乗記かつて一世を風靡(ふうび)した英国の名門、BSAが復活! 新生第1号モデルである「ゴールドスター650」は、クラシックで優雅なお散歩バイク……と思いきや、ツインカムの大排気量シングルで、ライディングも前のめりに楽しめるマシンに仕上がっていた。 -
レストモッドがイメージ 特別なオニツカタイガーの魅力に迫る
2026.6.1オニツカタイガーの新作ドライビングシューズを知る<AD>オニツカタイガーが、“レストモッド”と呼ばれるクルマのレストア&カスタム手法に着想を得たドライビングシューズを発表。4タイプ製作された、「MEXICO 66 DRIVING」のスペシャルバージョンの魅力に迫る。





































