ダイハツ・ミラV(5MT)【ブリーフテスト】
ダイハツ・ミラV(5MT) 2003.02.05 試乗記 ……92.0万円 総合評価……★★★ベータ版
カタログスペック「リッター30.5km」という驚異のネンピを誇る(走ることに関しては)エコノミーなミラ。ただし、車両本体価格92.0万円と最も高いモデルのひとつにして、「3ドア」「マニュアル」「鉄チンホイール」、そして「手動ウィンドウ」「手動ミラー」「オーディオレス」というストイックな内容。「ミラV」は、技術的に勇気あるトライアル「直噴エンジン」の生産が軌道に乗るまで、または、組み合わされるのに最適かつ安価な「CVT(無段階変速機)」が開発されるまで「待ちきれない!」という奇特なヒトのための、いわば“お試し”ベータ版(完成度高し)。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
2002年12月20日から販売が開始された6代目「ミラ」。先行デビューした「ムーヴ」にも使われる新開発プラットフォームを採用。先代より30mm長い2390mmのホイールベースに、軽規格いっぱいのボディを載せる。ユーザー年齢層の上昇に歯止めをかけるため、「お洒落で活動的なミセス」(プレス資料)向けの従来型ミラに加え、「知的でアクティブな若い女性」をターゲットとしたミラアヴィをラインナップ。後者は、縦型の大きなヘッドランプとボリュームアップしたボンネットで差別化を図る。ちなみに、アヴィとは「Attractive & Vivid Mini」の略。ミラには3ドアと5ドア、アヴィには5ドアのみが設定される。パワーソースは、ミラに0.66リッター直列3気筒のSOHCとDOHC、ミラアヴィには同DOHCとDOHCターボが用意される。組み合わされるトランスミッションは、3段AT、4段AT、5段MT、そしてCVTと多彩。FF(前輪駆動)ほか、4WDモデルあり。
(グレード概要)
ミラのグレード構成は、SOHC6バルブ(48ps、5.7kgm)を積む廉価版「L」(3/5ドア)と、ツインカム12バルブ(58ps、6.5kgm)の「X」(5ドア)に大別される。テスト車の「V」は、シリンダー内に燃料を直接噴射することできめ細かく燃焼を制御、省燃費を狙うDIユニットを搭載したスペシャルモデル。3ドアと5段MTのみの設定で、まずは販売数より技術の熟成が主目的。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★
「清貧」という言葉が思いうかぶ簡素なインパネまわり。ウィンドウを開閉するには手回しハンドルを回さなければいけないし、ミラーを合わせるには、窓から手を出す必要がある。AMラジオさえ付かないのはさすがにツラいが、しかし、道行くクルマが装備満載になったのは、そう遠い昔のことではない。ミラVには、機能上必要な装備はすべて備わり、エアコンまで付くのだ! ……といったレベルに消費者が満足できるなら、世の燃料問題、環境負荷は、だいぶ立ち向かいやすい相手になるであろう。
(前席)……★★★
ヘッドレスト一体型の簡便なシート。ほどほどのサイズがあり、腰はないが不満ない座り心地を提供する。広い開口部と、高めのシート位置ゆえ、乗降性はいい。前席ダブルエアバッグを備える。
(後席)……★
3ドアボディゆえ乗り込みに苦労するのはともかく、さらに平板な座り心地は我慢できるとして、ヘッドレストがキレイさっぱりと省略されているのは恐れ入る。これは、低燃費トライアルカーたる「V」のみならず、ミラシリーズ全体に言えること。追突されたら、後席の乗員はどうなるのか? “荷物置き”と割り切るべきで、ヒトを乗せるなら、やや割高な「ミラアヴィ」を買う必要がある。
(荷室)……★★
後席スペースに取られ、奥行きは40cmとミニマム。日常の買い物では、助手席や後席に荷物を置くから、とのこと。もっともである。床面の最大幅は90cm。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★
シリンダー内に燃料を直接噴射するDIユニットは、通常のインジェクターとは比較にならない高圧力に耐えうるメカニズムを備えるハイテクユニット。絶対的な排気量の小ささからリーン燃焼は行えず、燃費の向上は精緻な噴射制御によっている。そのコントロール技術を活かし、燃費がよいのみならず、平成12年基準排出ガス75%低減レベル、いわゆる3ツ星認定をも獲得した。60psと6.6kgmのアウトプットを発生。これは、従来型エンジンの58psと6.5kgmより大きな数字だ。ダイレクトなフィールを得やすいマニュアルギアボックスと組み合わされていることもあるが、ドライバーに、まったく“省エネ”エンジンを感じさせないのが立派。停車するとアイドリングが止まり、クラッチペダルを踏み込むとエンジンが再スタートする「DAIHATSU STOP AND GO SYSTEM」を搭載する。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★
ブランニューのプラットフォームがジマンの6代目ミラ。前マクファーソンストラット、後トーションビームのサスペンション形式は変わらないが、フロントサスのスロトーク量が約20%増加して、小型車並になったという。テスト車は「Hankook Centum K708」という珍しいタイヤを履くが、省燃費ターゲットモデルにありがちな、硬く、不自然なフィールはなかった。エンジンの力強さ同様、乗り心地においても、平均的な「軽」のそれに劣るところはない。
(写真=高橋信宏)
【テストデータ】
報告者:webCG青木禎之
テスト日:2003年1月14日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2002年型
テスト車の走行距離:1793km
タイヤ:(前)145/80R12 74S(後)同じ(いずれもHankook Centum K708)
オプション装備:−−
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(3):高速道路(6):山岳路(1)
テスト距離:359.3km
使用燃料:19.9リッター
参考燃費:18.1km/リッター

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
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