三菱ディオン Exceed Superパッケージ FF(CVT)【ブリーフテスト】
三菱ディオン Exceed Superパッケージ FF(CVT) 2002.10.18 試乗記 ……246.5万円 総合評価……★★★考えすぎ
4枚ヒンジドアだけど、つまりはスリーダイヤモンド版「コドモトイッショニ、ドコイコ?」ミニバン。「ドコも行かないで、倹約しなさい」と言わんばかりの無粋なカッコはともかく、広い室内、チャイルドシート装着義務化に対応した、つまり乗り降りのたびにはずさないですむよう左右別々にスライドするセカンドシート、いうまでもなく豊富なシートアレンジ、不要なときには床下にキレイに収まるサードシート、装備充実、そのうえ手頃な値段と、三菱らしい真面目なモデル。
同社ジマンの直噴「GDI」ユニットとCVTを組み合わせた新採用の動力系はスムーズ。乗り心地もほどほど。「トヨタ・ノア」がノンポリ向け、「ホンダ・ステップワゴン」ユーザーがユッスー・ンドゥール派(?)だとしたら、ディオンは“ミセス・ディオン”の……って、グループ社員向けかい!?
閑話休題。三菱ディオンは、「5ナンバー3列シート7人乗り」を謳う。しかし、実際には、実用性の低いサードシートは、ラゲッジスペースを確保するため荷室床下に収納されがち。セカンドシートは形状から実質2人用。つまり、ディオンは「ドンガラの大きな4人乗り」として使われることになろう。欲張りな消費者に応えんがための、考えすぎのアブハチとらず、といったら酷かしらん?
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
2000年1月にデビューした「5ナンバー3列シート7人乗り」ワゴン。ディンゴのプラットフォームをストレッチした車台に、ヒンジ式4枚ドアのボディを載せた。手頃なサイズとリーズナブルな価格で、デビュー当初は三菱の苦しい台所を支えた。2002年5月21日にマイナーチェンジを受け、2リッターエンジンは同じGDIながら「4G63」型から「4G94」に、トランスミッションが4段ATからCVTに変わった。また、ラインナップに「1.8リッターターボ+4段AT」モデルが加わったのも新しい。いずれも、FF(前輪駆動)ほか4WDも用意される。
(グレード概要)
ディオンのグレードは、ベーシックな「VIE」、ちょっと豪華にメッキモールやメッキドアハンドル、リアエンドスポイラーなどを装着した「Exceed」、そしてスポーティな「Turbo」に大別される。「VIE」の内装はグレーの2トーン、「Exceed」は、ベージュのトリム、ブラウンの木目調パネル、そして「Turbo」はブラックのモノトーンとなる。
テスト車の「Super Package」は、「ディスチャージヘッドランプ」「ウッド&本革巻きステアリングホイール」「7インチディスプレイ+DVDナビ+MDプレイヤー付きラジオ+4スピーカー」「コーナー&バックセンサー」「オートライトコントロール」のセットオプションを装備したモデル。FF、4WDとも「Exceed」の28.2万円高。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★
センターコンソール上部および下部のモノ入れをツブして、ディスプレイとDVDナビ本体を入れたインパネまわり。オーディオ、ナビのボタン表示を日本語にして使いやすさに配慮しているが、ナビゲーションシステムの操作ロジックに関しては、いま一歩の洗練が必要だ。機械オンチのリポーターだと、初見では使いづらかった。
メーターナセル内は、大きな速度計を中央に置いたオーソドクスなもの。味も素っ気もないが、見やすい。ウッドと革のコンビになるステアリングホイールは上下にチルトできるが、コラムシフトのT字ギアレバーも(当たり前ながら)一緒に動く。一番上だと、視界のなかでディスプレイの端に取っ手がかかるので、気になるヒトがいるかもしれない。
電動格納式ドアミラー、オートエアコン、キーレスエントリーはもちろん、リアクーラー、タイミングを調節できる間欠ワイパー、自動的にライトを切り替えるオートライトなど装備充実。
(前席)……★★★
サイドシルが低く、乗り込みやすいフロントシート。着座位置も乗用車と変わらない。シートはほどほどのサイズがあり、クッション感も高いのだが、いまひとつ腰がないので、座っていて頼りない。運転席側のみ、座面の角度調整用ダイヤルが備わる。ペダル式パーキングブレーキとコラムシフトの採用で、運転席と助手席の間に、「1-2列目シート間のウォークスル」を可能とするスペースを確保したのはいいけれど、2名乗車だと離れすぎて、ちょっと寒々しい?
(2列目シート)……★★★
チャイルドシート装着時などに備え、左右別々にスライドできるのがジマン。背もたれはリクライニング可能。座面はやや低めで、そのぶんヘッドクリアランスはじゅうぶん。膝前のスペースにも不満はない。ただ、シートのつくりが前席同様ソフト一辺倒なので、特別に快適なわけではない。背もたれ中央に埋め込まれた「肘かけ」と思われるものは、引き出すと低すぎて肘がかけられない。ふたり用のカップホルダーである。ディオンのセカンドシートは、カタログ上は3人座れるが、真ん中が割れてスライドするので、実質ふたり用だ。
(3列目シート)……★★
床下に燃料タンクほかが置かれるため、フロアそのものが盛り上がる。そのため、シートの座面は低いが頭上空間もミニマム。つま先こそセカンドシート下に入れられるが、乗員は膝を曲げることを強いられ、またお尻後端に上体の重さが集中する。車軸の上のため路面からの振動も伝わりがち。長時間はツラい。
シート自体も簡素なもの。背もたれは薄く平板。リクライニングすることはできる。ヘッドレストは、ステーを伸ばせば、かろじて頭の高さに達する。右の席横にサードシート用のエアコンスイッチが備わり「ON/OFF」ほか、風量を強中弱で変えられるのが、わずかな救い。
乗り込むときはセカンドシートのリクライニングレバーを、降りるときは座面後端下のレバーを操作すればシートが前にズレるので、幸か不幸か、乗り降りは簡単。
(荷室)……★★
40cmという奥行きのなさを、スペアタイヤを床下に吊り、高さを115cmと稼ぐことで、より大きなスペースを得ようとしたディオンの荷室。深い部分の床面最大幅は72cm。
サードシートのヘッドレストと左右肘かけをはずすことで、シートを後向きに床下にスッキリ収納でき、床面最大幅130cm、奥行き105cm(以上)、高さ95cmの荷室が出現する。むしろ、この方がディオンの常態かも。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★
従来の「2リッター“4G63”型+4AT」より20kgほど軽量化された「2リッター“4G94”型+CVT」の動力系。スペック上のアウトプットは最高出力の発生回転数が100rpm下がっただけだが、ギア比が3割ほど広くなったため、走りはスムーズ。CVTにありがちな「実際の速度よりエンジン回転が先に上がってウルサイ」ということは、停車から全力加速でもしなければ、ない。
CVTは、学習機能付きのシフトプログラム「INVECS-III」を搭載。よりアグレッシブに走りたい向きには、「D」ポジションに加え、「Ds」も用意される。
(乗り心地+ハンドリング)……★★
ターボモデルが追加されたのに伴い、前後サスペンション取り付け部、トランスミッションマウント部、リアドア開口部など、ボディ各部が強化された。とはいえ、全体にいまひとつシャキっとしないドライブフィール。ソフトな「トヨタ車系」、ツッぱり気味の「ホンダ車系」と強引にミニバンの運転感覚をわけるなら、三菱のそれはあきらかに前者。ステアリングホイールを握っているのは退屈。運転は、ミセス・ディオンにまかせた方がいい。
(写真=郡大二郎)
【テストデータ】
報告者:webCG青木禎之
テスト日:2002年6月25日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2002年型
テスト車の走行距離:1535km
タイヤ:195/65R15
オプション装備:ツインサンルーフ(チルトアップ&インナースライド/リア:セーフティ機構付)(10.0万円)/TVチューナー&TV用ガラスアンテナ・ピラーアンテナ・リヤビューカメラ(セット価格:8.5万円)
走行状態:市街地(3):高速道路(6):山岳路(1)
テスト距離:203.3km
使用燃料:24.5リッター
参考燃費:8.3km/リッター

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
-
メルセデス・マイバッハSL680モノグラムシリーズ(4WD/9AT)【試乗記】 2026.3.4 メルセデス・マイバッハから「SL680モノグラムシリーズ」が登場。ただでさえ目立つワイド&ローなボディーに、マイバッハならではのあしらいをたっぷりと加えたオープントップモデルだ。身も心もとろける「マイバッハ」モードの乗り味をリポートする。
-
トヨタGRヤリスRZ“ハイパフォーマンス”+エアロパフォーマンスパッケージ【試乗記】 2026.3.3 「GRヤリス」の新仕様として設定された「エアロパフォーマンスパッケージ」装着車に試乗。レースフィールドでの知見を交え開発したというエアロパーツの空力・冷却性能は、リアルワールドでも体感可能なのか。高速道路を経由し、郊外のワインディングロードを目指した。
-
ドゥカティ・モンスター(6MT)【海外試乗記】 2026.3.2 ドゥカティのネイキッドスポーツ「モンスター」が5代目にモデルチェンジ。無駄をそぎ、必要なものを突き詰めてきた歴代モデルの哲学は、この新型にも受け継がれているのか? 「パニガーレV2」ゆずりのエンジンで175kgの車体を走らせる、ピュアな一台の魅力に触れた。
-
フォルクスワーゲンID.4プロ(RWD)【試乗記】 2026.2.28 フォルクスワーゲンのミッドサイズ電気自動車(BEV)「ID.4」の一部仕様変更モデルが上陸。初期導入モデルのオーナーでもあるリポーターは、その改良メニューをマイナーチェンジに匹敵するほどの内容と評価する。果たしてアップデートされた走りやいかに。
-
スズキ・キャリイKX(4WD/5MT)【試乗記】 2026.2.27 今日も日本の津々浦々で活躍する軽トラック「スズキ・キャリイ」。私たちにとって、最も身近な“働くクルマ”は、実際にはどれほどの実力を秘めているのか? タフが身上の5段MT+4WD仕様を借り出し、そのパフォーマンスを解き放ってみた。
-
NEW
実力検証! SUV向けプレミアムタイヤ「ブリヂストンALENZA LX200」を試す
2026.3.62026 Spring webCGタイヤセレクション<AD>目指したのは、人気車種となっているSUVとのベストマッチ。ブリヂストンが開発した新プレミアムタイヤ「ALENZA(アレンザ)LX200」は、どんな乗り味をもたらすのか? モータージャーナリスト石井昌道が試乗を通して確かめた。 -
NEW
BYDシーライオン6(FF)
2026.3.6JAIA輸入車試乗会2026“中国の新興ブランド”BYDにあこがれは抱かずとも、高コスパの評判が気になる人は多いだろう。では、日本に初導入されたプラグインハイブリッド車のデキは? 初めて触れたwebCGスタッフがリポートする。 -
NEW
実に3年半ぶりのカムバック 「ホンダCR-V」はなぜ日本で復活を果たしたのか?
2026.3.6デイリーコラム5代目の販売終了から3年半のブランクを経て、日本での販売が開始された6代目「ホンダCR-V」。世界的なホンダの基幹車種は、なぜこのタイミングで日本復活を果たしたのか? CR-Vを再販に至らしめたユーザーの声と、複雑なメーカーの事情をリポートする。 -
NEW
「ジープ・アベンジャー4xeハイブリッド」発表会の会場から
2026.3.5画像・写真ジープブランドのコンパクトSUV「アベンジャー」に、4WDのハイブリッドバージョン「アベンジャー4xeハイブリッド」が追加された。その発表会(2026年3月5日開催)の場に展示された同モデルの外装・内装を写真で紹介する。 -
NEW
スバル・トレイルシーカーET-HS プロトタイプ(4WD)【試乗記】
2026.3.5試乗記スバルから本格的な電気自動車の第2弾となる「トレイルシーカー」が登場。前後のモーターから繰り出すシステム最高出力はドーンと380PS。ただし、それをひけらかすような設定にはしていないのがスバルらしいところだ。スノードライブの印象をお届けする。 -
ホンダ・インサイト
2026.3.5画像・写真4代目はまさかの電気自動車(BEV)! ハイブリッドからBEVへ、4ドアセダンからSUVへと変身して、「ホンダ・インサイト」が復活を遂げた。ドアトリム/ダッシュボードヒーターにアロマディフューザーと、新たな快適装備を満載したその姿を、写真で紹介する。






























