「ディスチャージランプとは?」
2001.06.01 クルマ生活Q&A その他「ディスチャージランプとは?」
「ディスチャージランプ」とはなんですか?(NTさん)
お答えします。「ディスチャージランプ」とは「H.I.D.(HighIntensity Discharge)」ともよばれ、最近、乗用車に多く採用されるようになってきたヘッドランプの一方式です。「アーク放電式ランプ」というのが正式な名称で、従来のヘッドランプとの違いは、フィラメントを使っていないところにあります。いわば蛍光灯のような構造で、密閉されたガラス管の中にクセノンガスが封入してあります。
フィラメントタイプに比べ、半分弱の電力でよいため電気系の負担が少なくなる、ということに加え、フィラメントを使用していないので、振動にも強く寿命が4、5倍というメリットをもっています。照射範囲が通常のフィラメントタイプに比べ、全体的に1.5ないし2倍広くなり、夜間の視認性が高くなる、という点も特徴にあげられています。
クセノンランプの放電とは雷のようなもので、2つの電極に高電圧をかけることによって、クセノンガスが徐々に活発になり、青白い光から白い光になります。ただし構造上の特徴としてクセノンガス封入タイプのヘッドランプでは、内部に封入された水銀が熱によって完全に蒸発するのにやや時間がかかります。そこで所期の明るさを得るにはやや待たなければならないのです。

松本 英雄
自動車テクノロジーライター。1992年~97年に当時のチームいすゞ(いすゞ自動車のワークスラリーチーム)テクニカル部門のアドバイザーとして、パリ・ダカール参加用車両の開発、製作にたずさわる。著書に『カー機能障害は治る』『通のツール箱』『クルマが長持ちする7つの習慣』(二玄社)がある。