「ドライサンプとはなんですか?」

2001.07.13 クルマ生活Q&A 松本 英雄 エンジン
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「ドライサンプとはなんですか?」

「ドライサンプ」とはなんですか?(ONさん)

お答えします。ドライサンプとはエンジンの「サンプ(オイルパン)」に潤滑油を貯めず、別体のオイルタンクを使う構造のものをいいます。

ドライサンプの構造は次のようになっています。エンジンオイルはクランクシャフト、コンロッド、ピストン、カムシャフト、バルブなどを潤滑すると同時に、エンジンの燃焼時に発生する熱を吸収してエンジンの下へと落ちていきます。落ちてきたところにオイルポンプがついておりどんどん吸い取って別のオイルタンクへと運びます。そのタンクから潤滑に必要な量のオイルをエンジンへとまた戻すわけです。

ほとんどの量産車は、ウエットサンプといって、エンジン内部で使われる潤滑油をエンジン下部のサンプからポンプで吸いながら潤滑する方式をとっています。これにたいしてドライサンプは2倍以上のオイルを蓄えています。それによってオイルの劣化も少なくまたエンジンを効率良く冷却することが可能なのです。それにサンプが無いぶんエンジンを低く搭載できるという利点もあります。それによって車体の重心を低くし、より安定感を生むことができます。

F1マシンはすべてドライサンプです。量産車でもポルシェのような高級スポーツカーでは使っています。あいにく構造が複雑でコストがかさむため、一般的には採用されていません。通常の運転ならばオイルの温度が過度に上がったりすることもないため、あえてドライサンプにする必要はないからです 。

松本 英雄

松本 英雄

自動車テクノロジーライター。1992年~97年に当時のチームいすゞ(いすゞ自動車のワークスラリーチーム)テクニカル部門のアドバイザーとして、パリ・ダカール参加用車両の開発、製作にたずさわる。著書に『カー機能障害は治る』『通のツール箱』『クルマが長持ちする7つの習慣』(二玄社)がある。