ホンダ・オデッセイ アブソルート 2.3リッター(FF・6人乗り/4AT)【ブリーフテスト】
ホンダ・オデッセイ アブソルート 2.3リッター(FF・6人乗り/4AT) 2002.05.08 試乗記 ……306.5万円 総合評価……★★★★
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平日ツアラー
ホンダを総合ミニバンメーカーに押し上げる原動力となった「ピープルムーバーのカタチをした乗用車」。1999年12月に2代目が登場。日欧米など、マーケットごとの最適化政策にのって、オデッセイも北米用(邦名ラグレイト)と国内向けに分けられた。もちろん、ドメスティック専用モデルでも手抜きなし。キープコンセプトかつ入魂のモデルチェンジは、まるでホンダのレガシィ(!?)。
テスト車の「アブソルート」は、2001年11月のマイナーチェンジにともなって登場したスポーティ版。ノーマルより15mmシャコタン化され、17インチホイールで足もとをキメる。タイヤサイズは、215/55R17。
中低速の多い街なかドライブでは、足まわり、ちょっと硬いかなァ。道路の継ぎ目で「コツン、コツン」くる。ところが、ひとたびハイスピードクルージングに移ると、滑るようなフラットライド。交通量の少ない平日に休みがとれるヒトにはいい……けど、子供、学校じゃん。
アブソルートが「あたらしいオデッセイの道を切りひらいてゆく」(カタログ)かどうかは疑問だが、「操舵感」「乗り心地」「室内のつくり」「機能・快適性」など、好き嫌いは別にして、各部の品質感に死角なし。質の高いドライブを後席乗員にも味わってもらうためには、6人乗り「キャプテンシート仕様」がオススメ。2人しか乗らないのなら、2−3列目がベッドになる7人乗りが、なにかと便利。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
アコードワゴンをベースにした初代オデッセイの登場は1994年10月。5年後の1999年12月にフルモデルチェンジを受けた。ヒンジ式の4枚ドアをもつミニバン、という車型は変わらず。セカンドシートがベンチ、キャプテンタイプのものがあり、前者は7人、後者は6人乗りとなる。エンジンは、3リッターV6(210ps、27.5kgm)と2.3リッター直4(150ps、21.0kgm)の2種類。6気筒には5段AT、4発には4段ATが組み合わされる。いずれのエンジンでも、FF(前輪駆動)のほか、ホンダ独自の「デュアルポンプシステム」を採る4WDを選ぶこともできる。
(グレード概要)
「アブソルート」は、2001年11月21日のオデッセイマイナーチェンジに合わせて登場した“走り”寄りグレード。V6、直4あり。FF、4WDとも車高を15mm落としサスペンションを硬めた。専用の17インチホイールに215/55R17とスポーティなサイズのタイヤを履く。専用のグリル、バンパー、ディスチャージ式ヘッドランプなどを装備、黒基調のインテリアもスペシャルだ。「ミラノレッド」「レイズンモーブパール」がアブソルート専用色。
【車内&荷室空間】 乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★
よく考えられ機能的にまとめられたインパネまわり。大きく見やすいアナログ式の速度計と回転型をドライバーの真正面に配置。オプション装備であるナビゲーションシステムのディスプレイも同列の高さに配置され、必要以上の視線移動が抑えられる。新しい試みたるインパネシフトも、コンベンショナルなインストゥルメントパネルにうまく溶け込んでいる。シフトノブがステアリングホイールから近くていい。さらに短いシフターまわりのパネルに角度がつけられ、そこに組まれたオーディオ類、空調スイッチなどの使いやすさに配慮された。アブソルート専用の黒木目調パネルは、好みが分かれるところ。“スポーティ”の演出なら、メタル調素材を使う手もあるのでは?
(前席)……★★★★
国内モデルらしく(?)やや小ぶりなシート。足踏み式パーキングブレーキとインパネシフトの恩恵で、スッキリした左右フロントシートの足もと、セカンドシートへのウォークスルーのしやすさなど、いかにも手慣れたつくりだ。左右シート間に設けられた折り畳み式テーブルを「便利」と感じるようになったら、もう立派なミニバンオーナー。オプション本革シートの座り心地はやや硬めだが、座面、シートバックともクッション多めで、ロングドライブでも疲れにくい。運転席側のみ8ウェイの電動調整機能が備わる。これまたアブソルート専用、ドア内張上半分のバックスキン調トリムもまた好き嫌いが分かれるところ。イタリア車で多く見られる(といっても素材の発案は日本だが)「アルカンタラ」の和風処理といった感じだ。
(2列目シート)……★★★★
30cmほどのスライド量をもつセカンドシート。左右独立のキャプテンシートなら、前席となんら変わらぬ座り心地を享受できる。足もと、ヘッドクリアランスとも不満なし。サイドガラスがルーフに向かうに従って大きく内側に湾曲しているが、もともとシートからドアまでの距離が十分採られているので、意外と気にならない。願わくば、座面があとわずか高からんことを。それからシートベルトの上下機能もあった方が、セカンドシートの乗員に親切だと思う。感心するのは、(前席にもある)肘掛けで、大きく上下するほか、背もたれのリクライニングに合わせ、5段階に角度を微調整することができる。セカンドシート左右間にも折り畳みテーブルあり。天井の2分割式ライトの場所に、リアエアコン用コントロールスイッチが備わる。
(3列目シート)……★★
「エマージェンシー用」というよりは立派で、実用的なサードシート。座面は低く、短く、頭上のスペースも最小限。しかし、カタチこそ平板だがあたりが柔らかいバックレスト、後頭部を支える高さまで伸ばせるヘッドレスト、そしてちゃんと締められる3点式シートベルトが装備される。「ヒトが座ることを考慮していないのではないか」と感じさせられる3列シート・ミニバンが散見されるなか、良心的といっていいだろう。ホイールハウスの侵入をうまく利用した肘置き(左側は、小物入れさえある!)はみごと。天井に、丸いエアコン吹き出し口が2つ設置される。
(荷室)……★★
3列シート使用時の荷室はごく小さく、奥行きはわずか40cmしかない。しかし、サードシートを簡単に床下に収納できるのが、2代目オデッセイのウリ。3列目シートの背もたれを前に倒し、今度はそのまま後にひっくり返せば、フロアの下に収まる。たちまち床面最大幅120cm、奥行き140cmのカーゴスペースが出現。ちなみに天井までの高さは1mを超える。
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【ドライブフィール】 運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★
150ps/5800rpmの最高出力と21.0kgm/4800rpmの最大トルクを発生する2.3リッターVTEC。“エンジンのホンダ”と考えると、スペック的には「もう一声!」といったところだが、実用上の不足はない。バルブタイミングおよびリフト量を可変化するVTECは、オデッセイの場合、いうまでもなく「スポーティ」より「フラットトルク」に効果を発揮する。回しても、遮音よく、静か。6気筒には5段、4気筒エンジンには4段ATが組み合わされる。テスト車は後者で、1速少ないため、高速巡航時に追い越しをかけるときにギアが落ちすぎる感があるが、それはミニバンの使い方としては特殊な例だ。5AT、4AT、ともにシーケンシャルシフトが可能な「Sマチック」を備えるが、走り重視の「アブソルート」といえども、積極的に使う気にはならなかった。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★
「ロウダウン+17インチホイール」という見た目ほどは、ハードでない乗り心地。よくチューニングされている。それでも軟弱なリポーターは、街なかでや路面の継ぎ目が目立つ首都高速道路では、「ミニバンなのに……」と、アブソルートのコンセプトがいまひとつ理解できなかった。ステアリングを切った量によって切れ角が変わる、つまりオーバーに言うと加速度的に前輪が曲がる「可変ステアリングギアレシオ」や、パワステの重さを制御する「可変容量パワーステアリングポンプ」を搭載する2.3リッターFFモデル。どちらも自然なハンドリングのためで、アブソルートのステアリングホイールを握っていて、不自然さを感じることはなかった。乗用車然としたドライブフィールはノーマルそのままに、しかしスポーツカーというほどは楽しくない。
(写真=高橋信宏)
【テストデータ】
報告者:webCG青木禎之
テスト日:2002年3月28日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2001年型
テスト車の走行距離:9118km
タイヤ:(前)215/55R17 93V/(後)同じ(いずれもヨコハマ Aspec)
オプション装備:ホンダナビゲーションシステム/BOSEサウンドシステム/本革内装
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(4):高速道路(5):山岳路(1)
テスト距離:281.0km
使用燃料:41.2リッター
参考燃費:6.8km/リッター

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
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