トヨタ・プレミオ 2.0G EXパッケージ(CVT)【ブリーフテスト】
トヨタ・プレミオ 2.0G EXパッケージ(CVT)【ブリーフテスト】 2002.01.26 試乗記 ……250.4万円 総合評価……★★★実演販売できるセダン
ユーザーの高齢化はなはだしい「コロナ」の車名をついに捨て、先代ではサブネームとして使用された「プレミオ」をモデル名に昇格させたドメスティックセダン。かつての上級車種「ビスタ」のプラットフォームを使った5ナンバーサイズのボディに、カローラからの「1.5/1.8リッター+4AT」、もしくは同じくビスタをベースとした多目的車「オーパ」からの「2リッター+CVT」のドライブトレインを載せる。
2リッターモデルは、最上級らしくゆったり走り出す。トヨタとしてはオーパで初めて採用したベルト式CVTは、グッとリファインが進み、より自然なフィールに。2つのプーリーによるギア比の変化より、エンジンのトルク変動によってクルマを運ぶ味つけだ。
プレミオは、2700mmという長いホイールベースによる大きなキャビンがジマン。実際、広い。シートアレンジも豊富。前席を一番前にスライドしてヘッドレストを抜けば、いわゆるフルフラットにもできる。リアシートは、荷室との隔壁をなくし、リアガラス下端から後席までのラゲッジルーム天井前半分を、折り曲げ/取り外し可能とすることで、背もたれを大きくリクライニングできるようになった。もちろん、ダブルフォールディングも可。
セダンとしては邪道かもしれないが、「フォーマル感」「乗員と荷物の分離」「ボディ剛性の確保」といった従来のウリ言葉だけでは商売にならないと判断されたのだろう。トヨタの新型3ボックスは、セールスマンが実演販売できるシートアレンジでミニバンに対抗する。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
プレミオ/アリオンは、2001年12月25日から販売が開始されたトヨタのミディアムセダン。プレミオはコロナ、アリオンはカリーナの後継モデルとなる。グリル上下やドアハンドル、細いモールなどにメッキ調の“光りモノ”を使用したのがプレミオ。アリオンはボディ同色となる。5ナンバー枠内のサイズながら、長いホイールベースによる広いキャビンと豊富なシートアレンジを実現。特にリアシートは、荷室との隔壁をなくすことで、背もたれを大きく後にリクライニングできるようになった。エンジンは、いずれも1.5、1.8、2リッターの3種類。FFのほか、1.8リッターモデルには4WDも用意される。
(グレード概要)
プレミオは排気量によって小さい順に「F」「X」「G」と分けられ、2.0Gは、最上級モデル。EXパッケージは、アルミホイールが標準となり、トリム、シート地が、ファブリックながらより滑らかなエクセーヌ調となる。空気清浄器たる「エアピュリファイヤー」が天井にビルトインされるのも、EXパッケージならでは。1.8リッターモデルの「X」でもEXパッケージを選択可能だ。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
プレミオは、全グレードにわたって木目調パネルが使われる。計器類は、トヨタ自慢の盤面発光式「オプティトロンメーター」。「文字盤から光が漏れ出したようにして立体感のある表示を実現した木漏れ日調タイプ」(広報資料)だそう。好き嫌いは別にして、インパネまわりはトヨタの総合力を感じさせる品質感。なお、EXパッケージのステアリングホイールは、革巻きと木目調のコンビネーションタイプとなる。
(前席)……★★★
柔らかいラグジュアリーな、腰のない座り心地。小柄なサイズ、ホールド感のなさは、ターゲットユーザー層に合わせたためか。ドライバー側に、シートクッションとバックレストが一体で上下するダイヤル式のシートリフターが装備されたのは朗報。左右シート間に、小物入れとしても使えるカップホルダー、CDケース14枚を収納できる大型コンソールボックスが設置される。
(後席)……★★★★
長いホイールベースの恩恵を実感できるリアシート。足もと広々。「可動式パッケージトレイ」と呼ばれる後席うしろのトレイを折れば、20度もシートバックを倒すことができる。これは安楽。ただし、可動式トレイの使用にはある程度の慣れが要求される。リアシートはダブルフォールディングも可能。後端が跳ね上がったショルダーライン(窓枠下端)、太いCピラーの影響で、後席は意外と開放感がないから、控えめなカンパニーカーとして使用してもいいかも。
(荷室)……★★★
床面最大幅153cm、奥行き105cm、高さ53cmのラゲッジルーム。荷室の奥に、左右に横断する補強材があるため、フロアは完全にフラットではない。ホイールハウス、ストラットタワーが張り出して複雑な形状をなしているが、容量自体は462リッターとミディアムクラスではトップレベルだという。「ゴルフバッグセット(9インチのゴルフバッグ+スポーツバッグ+シューズケース)なら4セットが収納可能」と、カタログの解説がやけに詳しいのも、旧コロナならではか。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★
152psと20.4kgmを発生する2リッター直噴D-4エンジン搭載。「Super CVT」こと2つのプーリーを組み合わせた無段変速機と組み合わせることで、「10・15モード」で16.4km/リッターと、カタログ燃費では1.8リッターモデルをしのぐ数値を実現した。VVT-i(可変バルブタイミング機構)を備えた中低速域での実用性を活かし、CVTモデル特有の「エンジン回転数が上がってから車速が追いついていく」という特性を抑え、従来よりエンジントルクによってクルマを加速させる設定が採られた。全体におとなしいドライブトレインだ。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★
トヨタ車らしい、とらえどころのないソフトな乗り心地のよさ。軽いステアリング、静かな室内、適度な動力性能と、上司やお客さまをゴルフ場にお連れするドライバーを疲れさせないのがプレミオのいいところだろう。フロントシート前面を横切る補強材や、リアバルクヘッドがないのに対応するため各部に入れられたスティフナーの恩恵で、走りはじめに「オッ!?」と思わせる剛性感の高さもある。といった具合に数々の美点あれど、ことさら運転が楽しいわけではない。
(写真=河野敦樹)
【テストデータ】
報告者:webCG青木禎之
テスト日:2002年1月10日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2002年型
テスト車の走行距離:--km
タイヤ:(前)195/65/R15 91S(後)同じ(いずれもヨコハマ S221)
オプション装備:2灯式マルチリフレクターディスチャージヘッドランプ(4.5万円)/DVDボイスナビ付きMD・CD・6スピーカー(29.9万円)/音声案内付きクリアランスソナー+バックガイドモニター(4.0万円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(6):高速道路(2):山岳路(2)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター
参考燃費:--km/リッター

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
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