トヨタ・マークIIブリット 2.0iR Jエディション(4AT)【ブリーフテスト】
トヨタ・マークIIブリット 2.0iR Jエディション(4AT) 2002.05.11 試乗記 ……287.2万円 総合評価……★★★★FRでの復活
いうまでもなく「ブリット」はマークIIのステーションワゴン。何でもかんでも名前を変えてしまう最近のトヨタの戦略(?)は個人的にどうかと思うが、このクルマの場合、正式には「マークIIブリット」と、30年を大きく越す歴史あるブランド名がまだ(かろうじて?)アタマに与えられる。
ベースとなったのは当然マークIIセダン。先代のマークIIワゴン「クオリス」が、FF(前輪駆動)の「カムリ」ベースであったことを思うと、この期に及んで「FRでの復活」はちょっとばかり謎めいているが、実は燃料タンクをリアシート後方に背負っていた従来型FRプラットフォームでは「やりたくても出来なかった」だけのハナシ。というわけで、今度の新しいマークIIワゴン「ブリット」は、ボディ骨格の面からみると、ひと足先に誕生の「クラウン エステート」と、多くの部分を共有する一台である。
【概要・どんなクルマ?】
(シリーズ概要)
2002年1月25日にデビューしたマークIIのワゴンバージョン。FF(前輪駆動)の「カムリ」をベースとした先代「クオリス」と異なり、マークIIセダンのプラットフォームを使う「ブリット」はFR(後輪駆動)。リアサスペンションに、自動車高調節機能が付いた「セルフレベリングショックアブソーバー」(一部グレードには搭載されず)などによる高い走行性能と、ワゴンならではの収納性を兼ね備えたのがウリだ。荷室に設けられた折り畳み式収納ボックスも、目玉の一つ。
エンジンラインナップはセダンと同様。形式はすべて直列6気筒DOHCで、2リッター、2.5リッター直噴(2WDのみ)、2.5リッター(4WDのみ)、2.5リッターターボの4種類。2リッターと2.5リッターには、FRのほかに4WDモデルも用意される。
(グレード概要)
ブリットのグレードは、排気量別に「2.0iR」「2.5iR-S」「2.5iR-V」と分けられ、名前の後ろに「Four」とつくのがヨンクモデル。「Jエディション」はターボモデル以外に設定された廉価バージョンで、アルミホイールやアルミ製ペダル、バックドアイージークローザー、電動格納ドアミラーなどの機能装備が省かれる。またブリットのウリである、自動車高調節機能のついたリアダンパー「セルフレベベリングショックアブソーバー」も搭載されない。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
ブリットのインテリアは、デザイン/パッケージング共に基本はマークIIセダンと共通。かつてのトヨタ車といえば、インテリアクオリティでは世界的に迷うことなくトップにランクできたものだが、最近では他のメーカーが力をつけ、相対的な優位性があまり感じられなくなったのが残念だ。それでも、マークIIの場合は最廉価バージョンの「Jエディション」でも文句ナシの仕上がり。ただし、売り物のひとつであるアルミ製ペダルは、Jエディションには付かない……。
(前席)……★★★★
シートももちろんマークIIセダンからの“流用”。230万円に満たない最廉価グレードではあるがドライバーズシートには上級グレード同様、8ウェイ調整機構が奢られる。シートリフターがクッションだけでなく、シート全体を持ち上げてくれる点も評価したい。シート地はファブリックのみの設定。2リッターモデルにレザーシートの設定はない。
(後席)……★★★
居住スペースはセダンと同等。センタートンネルが大きいために“中央席”での長時間乗車はツラいが、ふたりがけならば足元にも余裕シャクシャク。ただしCピラー前傾が強いので、乗降時の頭部の運びにはちょっと気を使う。シートバックにリトラクターを内蔵させた中央席用の3点式ベルトは大いに評価したいアイテム。実際に使われる頻度は限りなく小さいかも知れないが、安全に対するメーカーの真摯な姿勢を垣間見ることができる。
(荷室)……★★★★
日本でワゴンを使う場合、絶対容量よりもむしろ使い勝手の良し悪しの方が気になるもの。となると、ブリットのラゲッジスペースはかなりの高得点。スライド式のトノボードや折り畳み式のユーティリティBOXなど、“使えるアイディア”が満載されている。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★
もはや登場時期も思い出せないほどの遠い昔にデビューしたのが、ブリットの2リッターモデルに搭載される1G型直列6気筒エンジン。乗ってみれば直列ユニットらしくスムーズに、そして(期待よりも)パワフルなことに感心するが、それでもさすがにマークIIに搭載されるのも現行モデル限りだろう。4段ATもシフトフィールはごく滑らか。ただし、1速でわずかに聞こえるギアノイズが、全体に静粛ななかで、気になるといえば気になる。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★★
ブリットのフットワークはベースとなったセダンのそれよりも、ずっとポテンシャルが高い。どうやらそれは、スカイラインやステージアの脚の良さに危機感を抱いた開発陣が一発奮起したためらしい。走りだした瞬間からしなやかな乗り味。高速走行時のフラット感の高さは、良い意味で「日本車離れ」している。Jエディションに自慢のセルフレベライザー付きリアダンパーは付かないが、一人乗りならば同等の走り味を確保してくれる。
(写真=高橋信宏)
【テストデータ】
報告者:河村康彦
テスト日:2002年2月4日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2002年型
テスト車の走行距離:1093km
タイヤ:(前)195/65/R15 91H(後)同じ
オプション装備:SRSサイドエアバッグ&SRSカーテンシールドエアバッグ(前後席)(8.0万円)/DVDボイスナビゲーションTV付きEMV(エレクトロマルチビジョン)(27.0万円)/インダッシュCDチェンジャー+MD一体AM/FMマルチ電子チューナー付きラジオ+6スピーカー(4.2万円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(9):高速道路(0):山岳路(1)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター
参考燃費:--km/リッター

河村 康彦
フリーランサー。大学で機械工学を学び、自動車関連出版社に新卒で入社。老舗の自動車専門誌編集部に在籍するも約3年でフリーランスへと転身し、気がつけばそろそろ40年というキャリアを迎える。日々アップデートされる自動車技術に関して深い造詣と興味を持つ。現在の愛車は2013年式「ポルシェ・ケイマンS」と2008年式「スマート・フォーツー」。2001年から16年以上もの間、ドイツでフォルクスワーゲン・ルポGTIを所有し、欧州での取材の足として10万km以上のマイレージを刻んだ。
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