トヨタ・アルファードV MX 8人乗り FF(4AT)【ブリーフテスト】
トヨタ・アルファードV MX 8人乗り FF(4AT) 2002.07.19 試乗記 ……372.5万円 総合評価……★★★
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人を動かす“何か”があるか?
“ミニバンのフラッグシップ”を標榜する、トヨタで最も大きく豪華なミニバン。ライバルはいうまでもなく日産「エルグランド」で、奇しくも両車の試乗会は同じ日に、富士五湖周辺のそう遠く離れていないところで行なわれた。
大型ミニバンは、大きくふたつに分類することができる。ひとつは商用バンから発展した、室内高を高くとり、最大級の室内空間を確保しようとするもの。もうひとつは、ステーションワゴンの延長線上にあって、室内空間の大きさよりもスタイリングや操縦性を重視したものだ。アルファードは前者に分類され、後者にはホンダ・オデッセイなどが入る。
アルファードは、エスティマの前輪駆動用プラットフォームを流用し、広大な室内空間を獲得した。もっとも、ボディサイズが、全長×全幅×全高=4800×1805×1935mmと巨大だから、車内は広くて当然である。ホンダ「フィット」のセンタータンクレイアウトのような、何か革新的なアイデアによる驚きを伴うものではない。もっと煮詰めればさらに室内空間を稼げるのに、という点がいくつかあった。たとえばインパネまわりとダッシュボード。各種スイッチが雑然とただ並んでいるだけといった感じだ。整理整頓し、ロジックを考え直してセンターコンソールほかの造形を工夫すれば、前席の有効空間はもっと広がるはずだ。
エンジンは、3リッターV6と2.4リッター直4の2本立てだが、3リッター版でも力不足は否めない、と感じた。「この大きさ、この成り立ち、この広さを好む“確信犯的な”ユーザーは確固として存在しているのです」という、開発担当者の言葉が印象に残った。そういうユーザーには、劇画っぽいスタイリングなども含めて大いにアピールするのだろう。けれどもそうではないユーザーの心までを動かす、“何か”があるのかどうか。また、新たなユーザー層を開拓しようという使命まで担っているのかどうかはわからない。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
2002年5月22日に発売された、7/8人乗りの大型ミニバン。「グランビア」「レジアス」「グランドハイエース」「ツーリングハイエース」の後継にあたる。「アルファードG」はトヨペット店、「アルファードV」はトヨタビスタ店で販売される。
プラットフォーム、2.4リッター直4と3リッターV6エンジン、4段AT「SuperECT」、2WDとフルタイム4WDの駆動系基本コンポーネンツは、2000年1月デビューの「エスティマ」と共通。両側パワースライドドアなどを与え、トヨタは「最上級ミニバン」を謳う。
グレードは、2文字のアルファベットで表される。最初の1文字目が「M」なら3リッター、「A」なら2.4リッターモデル。2文字目のアルファベットが、トリムレベルや装備品のグレードを表す。ベーシックは「AX」「MX」で、これに最廉価モデルの“Jエディション”と、豪華装備の“Lエディション”がラインナップ。スポーツメーターや、225/55R17&アルミホイールなどで、スポーティを演出する「MS」「AS」グレードと、3リッターのみの最上級グレード「MZ」が用意される。「MS」「AS」以外には、2列目の助手席側に乗員の乗り降りをサポートする、「サイドリフトアップシート」を装着するモデル(7人乗り)が用意される。
(グレード概要)
「MX」は、アルファード3リッターモデルの標準グレード。上級グレードに対して、ディスチャージヘッドランプがハロゲンに、パワースライドドアが非搭載になるなど、装備が若干異なる。また、車両の安定性を高める「VSC」や、サスペンションの減衰力を制御する「H∞-TEMS」、リアハッチゲートを室内のスイッチで開閉するバックドアイージークローザーなどの設定がない。
プライバシーガラスや、スライドドアイージークローザーなど、装備品がさらに省かれる“Jエディション”と、パワースライドドアやディスチャージヘッドランプを備える豪華装備の“Lエディション”が、それぞれに用意される。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
ごくごく常識的なインパネまわりの造形。あえて特徴を述べれば、ほかのミニバンでも試みられる、インパネから生えたシフトレバー。従来のフロアシフトやコラムシフトなどよりも、使いやすい。
装備は至れり尽くせり。セカンドシートやサードシート用の装備が、特に充実している。雑然としてるが。
(前席)……★★
エスティマより着座位置が125mm高い運転席からの見晴らしはいいが、ノーズ先端を目視することができない。フロントガラスの傾斜角度が急で、圧迫感がある。ドライバーズシートのかけ心地も、芯がなくホールド感に乏しい。
(2列目シート)……★★★
試乗車は8人乗り仕様。2列目シートは、2:3で分割可倒する。当然くつろげるのは、進行方向右側の大きなシートの方。かけ心地は、可もなく不可もない。左側の小さなシートに掛けて、ドライバーがハイペースでコーナリングしたら、ドアとシートの間にお尻が落ちた。運転が悪いともいえるが……。
(3列目シート)……★★★
2列目シートを前へスライドさせて3列目に座ると、レッグスペースは最大限に拡大される。このクルマの広さのメリットを目一杯享受できるのは、こうした乗り方かもしれない。しかし、3列目は後車軸上にあるから、路面からの直接的な突き上げやロードノイズが2列目より気になるデメリットもある。
(荷室)……★★
カタログには、「ラゲージスペースは8人乗車の状態で、ゴルフバッグを8セット収納可能な容量を確保」とあるが、どうすればそんな芸当が可能なのだろう。シートをキチキチに詰めて8人乗車し、ゴルフバッグを(縦に積むのだろうか?)ギチギチに8つ詰め込んでゴルフに行っても、あまり楽しいとは思えないが。
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【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★
テスト車は、220psと31.0kgmを発生する、3リッターV6を搭載。それでも、3名乗車で、富士スバルラインの登り坂を走ってみたが、パワーもトルクも不足気味だった。4段ATを3速、あるいは2速にまで落とさないと、スムーズに上り坂を駆け上がることができない。トランスミッション自体に、不満はない。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★
大きなボディの四隅を目視することができないから、取りまわしが心許ない。「ブラインドコーナーモニター」という、前方左右から接近するクルマや人を、液晶画面に表示する運転支援システムがオプションで装備できるが、スタイリングやパッケージングで根本的に解決するべきではないだろうか。順番が逆のような気がする。
着座ポジションが高いから、通常のセダンと同じようなペースで走らせるわけにはいかない。小さな径のコーナーに、50km/h程度で進入しただけでタイヤが鳴った。
乗り心地に関しては、いずれのシートで特に優れてるわけでもなく、かといって降りたくなるほど不快なわけでもない。ただし、静粛性に関してはとても優れており、二重丸。
(写真=峰昌宏)
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【テストデータ】
報告者: 金子浩久
テスト日:2002年5月26日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2002年型
テスト車の走行距離:2926km
タイヤ:(前)205/65R16/(後)同じ
オプション装備:SRSサイドエアバッグ(フロントシート)&SRSカーテンシールドエアバッグ(フロント・セカンドシート)(8.5万円)/<アルファードV・ライブサウンドシステム>=DVDボイスナビゲーション付ワイドマルチAVステーション(6.5型液晶ワイドマルチディスプレイ+MD/CD一体AM/FMマルチ電子チューナー付ラジオ+6スピーカー)(29.0万円)/<リヤシートエンターテインメントシステム>=リモコン付後席7型液晶ワイドマルチディスプレイ+ヘッドホンジャック+プッシュ式ボリュームスイッチ(15.0万円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(3):高速道路(4):山岳路(3)
テスト距離:303.3km
使用燃料:24.8リッター
参考燃費: 8.2km/リッター

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