スズキKeiスポーツ(4AT)【ブリーフテスト】
スズキKeiスポーツ(4AT) 2000.10.23 試乗記 ……127.8万円 総合評価……★★★★「ケイ」っていったい……
1998年10月に3ドアボディでデビューするも、「軽のスペシャルティ」とは認知されず、いつの間にか5ドアモデルに。
2000年10月12日のマイチェンで心機一転、シャコタン「Keiスポーツ」とスッキリ「Kei」で、アルトの上級車種として棲み分ける。
「横桟+メッシュ」グリルが雄々しいKeiスポーツは、内装も黒のセミバケットシートと大径タコメーターがスポーティ。
自主規制上限の64psを発生するツインカムターボ(インタークーラー付き)は、厚いトルクと穏やかなパワーカーブをもつ大人のユニット。「ドコいっちゃうの?」感皆無。
15mmダウンのサスを組んだ足まわりも良くて、路面からの突き上げの角をとり、接地感高し。運転していると、隣の人と肩が触れあわんばかり、ということをのぞけば、「ホントに軽?」
プライスタグは、127.8万円。車両本体価格だけなら、ヴィッツだってマーチだって買えちゃいます。「ケイ」っていったい……?
【概要】 どんなクルマ?
(シリーズ概要)
1998年の軽自動車の規格改変で登場したスペシャルティ、Kei。クルマのコンセプトより、もっぱらネーミングのうまさが話題をさらった。当初3ドアだけだったが、すぐに5ドアが追加され、主流に。3ドア、NAモデルはフェードアウトした。2000年10月にマイチェンを受け、「Kei」と「Keiスポーツ」にラインを分け、アルトからの上位車種移行組の受け皿となる。パワーソースは、DOHC、SOHC、2種類のターボユニットと、ツインカムNAユニット。いずれも直列3気筒である。
(グレード概要)
Keiスポーツは、その名の通りKeiのスポーティバージョン。シングルカムターボ(60ps)搭載の「スポーツF」と、DOHCターボ(64ps)の「スポーツ」の2種類。FFのほか4WDあり。いずれもパワステ、パワーウィンドウ、キーレスエントリー、電動ドアミラーなど、装備は充実。
【車内&荷室空間】 乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★
簡潔かつ機能的なインパネまわり。革巻きステアリングホイールが浮かない全体の品質感。ステアリングコラム、グローブボックス下の、横いっぱいにわたるモノ入れはいかにも便利そう。 本革ステアリングホイール、4スピーカー、助手席下のトレイが、下位グレード「スポーツF」との差別ポイント。
(前席)……★★
フンワリとあたりが柔らかく、無闇にお尻が沈まない、座り心地のいいシート。ただ、MTモデルでのクラッチ操作を考慮したためか、座面長が短く、落ち着かない。
(後席)……★★★
スクエアな車型が奏功。後席は意外なほど広い。頭部まわりに余裕あり。足先が自然に前席の下に入ることもあって、膝前スペースもじゅうぶん。バックレストはリクライニング可能。高さ調整付きのヘッドレストが備わる。
(荷室)……★★
前後席にスペースを取られるため、トランクルームは必要最低限。幅120cm、奥行き50cm、天井までの高さは約80cm。「グランドツーリングという、オリジナルなコンセプト」(カタログ)はともかく、日常の買い物には不便あるまい。後席背もたれは分割可倒式だ。
【ドライブフィール】 運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★
3気筒を感じさせないスムーズなツインカムターボ。パワーの出方がプログレッシブで、ターボバンでステアリングが取られる、といったことはない。これでVVT(可変バルブタイミング)が搭載されれば、軽のターボユニットは完成!? 3500rpmを超えるとさすがにウルサイが、大抵その前にシフトアップする。なお、4段ATはロックアップ機構付き。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★
165/60R15というスポーティなサイズのタイヤを履く。「軽」の軽々しさがない乗り心地。ハンドリングも、タイヤのグリップに過度に頼ったところがなく、落ち着いている。乗り心地、ハンドリングとも、車高を落とした弊害が感じられない、というより、むしろ向上した印象を得た。
【テストデータ】
報告者:web CG 青木禎之
テスト日:2000年10月18日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2000年型
テスト車の走行距離:737km
タイヤ:(前)165/60R15 77H(後)同じ(いずれもブリヂストン Potenza RE88)
オプション装備:-
テスト形態:ロードインプレッション(プレス向け試乗会)
走行状態:市街地(6):山岳路(4)
走行距離:-
使用燃料:-
参考燃費:-

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
-
ビモータKB4RC(6MT)【レビュー】 2025.9.27 イタリアに居を構えるハンドメイドのバイクメーカー、ビモータ。彼らの手になるネイキッドスポーツが「KB4RC」だ。ミドル級の軽量コンパクトな車体に、リッタークラスのエンジンを積んだ一台は、刺激的な走りと独創の美を併せ持つマシンに仕上がっていた。
-
アウディRS e-tron GTパフォーマンス(4WD)【試乗記】 2025.9.26 大幅な改良を受けた「アウディe-tron GT」のなかでも、とくに高い性能を誇る「RS e-tron GTパフォーマンス」に試乗。アウディとポルシェの合作であるハイパフォーマンスな電気自動車は、さらにアグレッシブに、かつ洗練されたモデルに進化していた。
-
ボルボEX30ウルトラ ツインモーター パフォーマンス(4WD)【試乗記】 2025.9.24 ボルボのフル電動SUV「EX30」のラインナップに、高性能4WDモデル「EX30ウルトラ ツインモーター パフォーマンス」が追加設定された。「ポルシェ911」に迫るという加速力や、ブラッシュアップされたパワートレインの仕上がりをワインディングロードで確かめた。
-
マクラーレン750Sスパイダー(MR/7AT)/アルトゥーラ(MR/8AT)/GTS(MR/7AT)【試乗記】 2025.9.23 晩夏の軽井沢でマクラーレンの高性能スポーツモデル「750S」「アルトゥーラ」「GTS」に一挙試乗。乗ればキャラクターの違いがわかる、ていねいなつくり分けに感嘆するとともに、変革の時を迎えたブランドの未来に思いをはせた。
-
プジョー3008 GTアルカンターラパッケージ ハイブリッド(FF/6AT)【試乗記】 2025.9.22 世界130カ国で累計132万台を売り上げたプジョーのベストセラーSUV「3008」がフルモデルチェンジ。見た目はキープコンセプトながら、シャシーやパワートレインが刷新され、採用技術のほぼすべてが新しい。その進化した走りやいかに。
-
NEW
カタログ燃費と実燃費に差が出てしまうのはなぜか?
2025.9.30あの多田哲哉のクルマQ&Aカタログに記載されているクルマの燃費と、実際に公道を運転した際の燃費とでは、前者のほうが“いい値”になることが多い。このような差は、どうして生じてしまうのか? 元トヨタのエンジニアである多田哲哉さんに聞いた。 -
NEW
MINIカントリーマンD(FF/7AT)【試乗記】
2025.9.30試乗記大きなボディーと伝統の名称復活に違和感を覚えつつも、モダンで機能的なファミリーカーとしてみればその実力は申し分ない「MINIカントリーマン」。ラインナップでひときわ注目されるディーゼルエンジン搭載モデルに試乗し、人気の秘密を探った。 -
なぜ伝統の名を使うのか? フェラーリの新たな「テスタロッサ」に思うこと
2025.9.29デイリーコラムフェラーリはなぜ、新型のプラグインハイブリッドモデルに、伝説的かつ伝統的な「テスタロッサ」の名前を与えたのか。その背景を、今昔の跳ね馬に詳しいモータージャーナリスト西川 淳が語る。 -
BMW 220dグランクーペMスポーツ(FF/7AT)【試乗記】
2025.9.29試乗記「BMW 2シリーズ グランクーペ」がフルモデルチェンジ。新型を端的に表現するならば「正常進化」がふさわしい。絶妙なボディーサイズはそのままに、最新の装備類によって機能面では大幅なステップアップを果たしている。2リッターディーゼルモデルを試す。 -
ランボルギーニ・ウルスSE(後編)
2025.9.28思考するドライバー 山野哲也の“目”レーシングドライバー山野哲也が「ランボルギーニ・ウルスSE」に試乗。前編ではエンジンとモーターの絶妙な連携を絶賛した山野。後編では車重2.6tにも達する超ヘビー級SUVのハンドリング性能について話を聞いた。 -
ビモータKB4RC(6MT)【レビュー】
2025.9.27試乗記イタリアに居を構えるハンドメイドのバイクメーカー、ビモータ。彼らの手になるネイキッドスポーツが「KB4RC」だ。ミドル級の軽量コンパクトな車体に、リッタークラスのエンジンを積んだ一台は、刺激的な走りと独創の美を併せ持つマシンに仕上がっていた。