ジャガーXタイプ(5AT)【海外試乗記】
ジャガーらしい 2001.08.21 試乗記 ジャガーXタイプ(5AT) 噂の"ベイビージャガー"ことジャガー「Xタイプ」が、いよいよ世界の道を走り始める時がやってきた。日本では、2.5リッターモデルが「2.5V6」(425.0万円)「2.5V6スポート」(455.0万円)「2.5V6SE」(475.0万円)の3種類、3リッターは「3.0V6SE」(525.0万円)が用意される。日本での発売開始に先立ち、自動車ジャ−ナリスト、河村康彦がフランスで乗ってきた。高いギアで粛々と走る
フランスの、ベルサイユ宮殿にほど近いリゾートホテルのエントランスにずらりと並んだジャガーXタイプのたたずまいは、ぼくの目には、先輩格にあたるSタイプ以上に「ジャガーしている」と映った。滑らかで優しい微妙な曲面によって構成されるボディは、XJシリーズに負けず劣らずの気品と優雅さをもつ。
ジャガーは、このクルマの直接のライバルとして、メルセデスベンツCクラスやBMW3シリーズを挙げる。前者のウリが「道具としてのトータルバランス」、後者が「スポーティな走りのテイスト」とすれば、Xタイプのそれは、まぎれもなく「デザイン」にあると思う。
インテリアの雰囲気も、質実剛健とした合理的イメージが最初に顔を覗かせるドイツのライバルとは明らかに異なる。まずは優しくソフトなタッチが印象に残る。ちょっと高めに位置する張りの強いダッシュボード、質感の高い木目パネル、そして厚み感の強いシート……。そこかしこに“ジャガーらしさ”が漂うXタイプのインテリア。
一方で、ジャガーファミリーの一員としては、ドアの閉まり音や樹脂パーツの質感などに、少々疑問が残るところもなくはない。このあたりは、早急にレベルアップを要するところだ。
日本製5段ATとジャガー製V6DOHCユニットからなるパワーパックは、Xタイプに"スポーティサルーン"と呼ぶにふさわしい動力性能を与えた。2.5/3リッターと2種類の排気量が用意されるなか、5段ATが適切なシフトを行うこともあり、2.5リッターモデルでも動きに鈍さは感じない。けれでも“ジャガー”のイメージに相応しい“高いギアを使って粛々と走る”というドライブフィールが欲しければ、「やはり選ぶのは3リッターモデル」というのが、ぼくの考えだ。
素直なハンドリングと高い高速直進性
乗り心地はなかなかにヨロシイ。意外だったのは45%扁平率の17インチタイヤにスポーツセッティング・サスペンションを組み合わせる「スポーツ」グレードのフットワークの方が、むしろ標準仕様よりも爽やかな乗り味を提供してくれる場面が少なくなかったことだ。路面の細かな凹凸上をトレースした場合、ばね下のウェットな動きの感触は、標準サスに16インチシューズを組み合わせたモデルの方が強めであったりもした。
FWD(前輪駆動)レイアウトを持つフォード・モンデオ(Xタイプとコンポーネンツを共有する)に対し、ジャガーならではの走りへのこだわりを示すという意味合いもあり、このクルマは「トラクション4」と呼ばれる4WDシャシーが標準となる。ただし単に“差別化”を目的としただけの4輪駆動でないことは、センターデフにプラネタリーギアを用い、前後アクスルに40:60という不等トルク配分を行うという凝ったシステムを採用した点からも明らか。
そうしたこだわりの甲斐あってか、ハンドリングは素直。静粛性の高さとあいまって、リラックスした高速ツーリングを堪能できたる。その陰には、4WDシステムのバックアップによる直進安定性の高さがあったのだろう。
(文=河村康彦/2001年5月)

河村 康彦
フリーランサー。大学で機械工学を学び、自動車関連出版社に新卒で入社。老舗の自動車専門誌編集部に在籍するも約3年でフリーランスへと転身し、気がつけばそろそろ40年というキャリアを迎える。日々アップデートされる自動車技術に関して深い造詣と興味を持つ。現在の愛車は2013年式「ポルシェ・ケイマンS」と2008年式「スマート・フォーツー」。2001年から16年以上もの間、ドイツでフォルクスワーゲン・ルポGTIを所有し、欧州での取材の足として10万km以上のマイレージを刻んだ。
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