フォルクスワーゲン・ザ・ビートル フェンダー エディション(FF/7AT)
ドライブしなけりゃ意味ないね 2013.07.10 試乗記 「ムスタング」「ジャガー」「ブロンコ」「マーヴェリック」と聞いて、クルマではなくフェンダーのエレキギターを思い出したアナタは相当なギター通。そこに今回、「ザ・ビートル」が加わった(!?)というオハナシ。クルマもギターも、ドライブしなけりゃ意味がない!ボディーカラーは「ブラッキー」のみ
ドアを開けるたびニンマリしてしまう。運転席に座れば、サンバースト仕上げのダッシュボードを前に、ココロウキウキ。ハンドルを握るのが楽しくて仕方ない!
そんな方に買ってほしいのが、いや、そうした人でないと購入する意味がないのが、「フォルクスワーゲン・ザ・ビートル フェンダー エディション」である。言うまでもなく、フォルクスワーゲンが、エレキギター&アンプ・メーカーと手を組んだスペシャルエディション。特別な内外装と、凝ったオーディオシステムが特徴だ。
ふだんのお堅いイメージとは裏腹に、時にボン・ジョヴィとコラボしたり、アディダスやユニクロと手を結んだり。ウォルフスブルグのパートナー選びにはなかなか図りがたいものがあるが、今回は、どうしてビートルとフェンダーの組み合わせ?
「常に理想を追い求め、妥協のない物作りへの姿勢を徹底し続けてきたこと。時代を経て変わらないその情熱は響き合い」とカタログに記載される。なるほど。そういえば、「フェンダー、ギブソン、オモチャじゃねぇんだ」と斉藤和義も歌っている(「幸福な朝食 退屈な夕食」)。ちなみにギブソンの方は、本拠地たるテネシー州ナッシュビルつながりで、同地にスマーナ工場を持つ日産と仲がいいらしい。
さて、ザ・ビートル フェンダー エディションのボディーカラーは、ブラックパールのみ。メッキされたディッシュタイプのホイールがよく似合う。「235/45R18」と、16インチから始まるカタログモデルよりずいぶんアグレッシブなサイズのタイヤを履くのは、接地面積を増やしてコーナリング性能を上げるため、というよりは、もちろん、クラシカルな大径タイヤを装着したオリジナルビートルへのオマージュだろう。そのほか、ドアミラーにもクロムメッキが施され、雰囲気を盛り上げる。付け根の前には、“Fender"のレタリング入り。
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ドアを開けばフェンダーワールド!
ドアを開けて、ザ・ビートル フェンダー エディションの中へ。試乗車のリアシートには、親切にもフェンダーのギターが置かれていた(標準装備、ではない)。ソフトケースから取り出してダッシュボートの“サンバースト"と比較してみると、意外と色味が違うのがご愛嬌(あいきょう)。でもまあ、そんな意地悪をするのはやぼというもの。インストゥルメントパネルに使われたサンバーストが、記憶の中の色と合っていればいいのだから、ノープロブレム。
フェンダー エディションの前席は、織りの粗いグレーファブリックとブラックレザレットのコンビネーションとなる。おそらくあえて選んだのだろう、いまひとつ垢(あか)抜けない感じが、純朴なドイツ人が精いっぱいオシャレしているようで、ほほ笑ましい。でも、夏場にはちょっぴり暑苦しいかな。クッション厚めな座り心地に、ビニールレザーが使われたオリジナルビートルのシートを思い出す人がいるかもしれない。
頭上には、電動パノラマスライディングルーフ。カタログモデルの「デザイン・レザー・パッケージ」では14万7000円のオプション装備だが、フェンダー エディションでは標準で付いてくる。
さらに! 400Wの大出力アンプと10チャンネル、9つのスピーカーで構成されるプレミアムオーディオ「フェンダーサウンドシステム」を特別装備!! 4つのツイーターが「繊細でよどみなく延びる高音域」を再現し、同じく4カ所に設置される200mm口径フルレンジスピーカー(後席は160mm)が、ミドレンジを担当。「ひずみが少なく、音割れのないダイナミックな響きを実現」する。そのうえ、左リアに積まれた200mm口径のウーハーが「臨場感を一層高め」るのだとか!
用意されたCDをかけてみると、まるで目の前で奏者がギターをつま弾いているような……と、あまりに陳腐な感想で恥ずかしいのだが、「ギター好きはタマランだろうなぁ」と思いました。
18インチタイヤの“ドライブ感”は?
ザ・ビートル フェンダー エディション、機関面では、カタログモデルと違いはない。エンジンは、1.2リッターの4気筒ターボ。「全長4270mm、全幅1815mmのボディーサイズで、1.2リッター!?」とあらためて驚くが、最高出力105ps/5000rpm、最大トルク17.8 kgm/1500-4100rpmと、かつての1.6リッター並のアウトプットを発生させる。1310kgのクルマに、過不足ない動力性能を与える。
高速巡航も得意で、黒いカブトムシは、フェンダーギターのサウンドを響かせながら、気楽にロングツーリングをこなす。18インチの足まわりは、見かけほど走りに影響を与えないが、ただ、リアシートに座っていると、路面からの突き上げが、少々「直接的」と感じることがある。
ところで、ザ・ビートル フェンダー エディションのカタログには、野外ライブの会場に、エレキギターと置かれたビートルの姿が使われる。1960~70年代のフラワーピープルをイメージさせるものだが、リアルタイムで当時を体験した人たちは、21世紀のビートルを使った演出を見て、どう感じるのだろう? ちょっと聞いてみたい気がする。
ギター好きのなかには、クルマの色を、お気に入りのギターのそれと合わせる人もいる。なかにも、わざわざオールペンしてしまう猛者も! だから、ザ・ビートル フェンダー エディションも、一定の支持を得るに違いない。車両本体価格は、デザイン・レザー・パッケージより6万円高い315万円。600台の限定販売となる。
(文=青木禎之/写真=高橋信宏)
テスト車のデータ
フォルクスワーゲン・ザ・ビートル フェンダー エディション
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4270×1815×1495mm
ホイールベース:2535mm
車重:1310kg
駆動方式:FF
エンジン:1.2リッター直4 SOHC 8バルブターボ
トランスミッション:7段AT
最高出力:105ps(77kW)/5000rpm
最大トルク:17.8kgm(175Nm)/1500-4100rpm
タイヤ:(前)235/45R18 94V/(後)235/45R18 94V(コンチネンタル・コンチスポーツコンタクト3)
燃費:17.6km/リッター(JC08モード)
価格:315万円/テスト車=315万円
オプション装備:なし
テスト車の年式:2013年型
テスト車の走行距離:3404km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(1)/高速道路(7)/山岳路(2)
テスト距離:302.6km
使用燃料:29.8リッター
参考燃費:10.2km/リッター(満タン法)/10.5km/リッター(車載燃費計計測値)

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
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