第3回:実証・実感「V40クロスカントリー」
イチオシの一台 2014.01.06 「ボルボV40」を知る。見る。語る。 日本市場でも人気の、新型「ボルボV40」。中でも異彩を放つ「V40クロスカントリー」には、このモデルならではの見どころがあるという。一般道から雪道まで試したモータージャーナリスト 生方 聡のリポート。2013年はボルボの年
2013年は、輸入コンパクトカーの当たり年だった。中でもCセグメントは、ベンチマークとされる「フォルクスワーゲン・ゴルフ」をはじめ「メルセデス・ベンツAクラス」「アウディA3スポーツバック」が続々とフルモデルチェンジし、さらに「フォード・フォーカス」が再び日本市場に投入されるなど、話題には事欠かなかった。
そんな中で、ひときわ目立っていたのが「ボルボV40」だ。エントリーモデルとして新登場したV40は、クーペのようなスタイリッシュなエクステリアと、質感の高いインテリア、最先端の安全装備、そして、戦略的な価格が功を奏して、発表直後から人気沸騰。2013年2月の発売から12月までに受注台数が1万台を超え、日本におけるボルボの復活を強く印象づけることになった。
V40には1.6リッター直列4気筒ターボエンジンを積む「V40 T4」「V40 T4 SE」と、2リッター直列5気筒ターボを積む「V40 T5 R-DESIGN」、そして、クロスオーバーの「V40クロスカントリー T5 AWD」が用意されている。中でも、私のオススメというか、私ならこれを買いたいというのが、V40クロスカントリーだ。もちろん、スタンダードなV40 T4/T4 SEも、スポーティーなV40 T5 R-DESIGNも魅力的なのだが、V40クロスカントリーには強い存在感や、楽しいカーライフを予感させる演出があるだけに、気になり続けているのだ。
今回、そんなV40クロスカントリーを、冬の北海道で600km以上ドライブし、その魅力を実感することができた。具体的には、「デザイン」「安全」そして「走り」である。順に詳しく解説しよう。
カタチにはこだわりたい
どんなに安全でも、どんなに環境性能が優れていても、カッコ悪いクルマには乗りたくない。クルマの良しあし以前に、デザインの良しあしは重要だ。その点、このV40クロスカントリーは、ベースのV40を含めて、ボルボに対する世間のイメージを変えるほどスタイリッシュでスポーティ。さらに、V40クロスカントリーは、SUV風な仕上げによって、存在感が高まっている。それでいて、威圧的でないのも好ましいところだ。実際、街中に佇(たたず)むV40クロスカントリーは、目立つ存在でありながら上品さを忘れていないし、一方、雪原の中でも自然に負けない力強さがあり、頼もしく思えるほどだ。
インテリアの美しさもV40の魅力のひとつだ。“フリーフローティングセンタースタック”やデジタル液晶メーターパネルなど、特徴的なデザインにより独自の世界をつくりあげているV40のインテリア。ダッシュボードやアルミニウムパネルの質感がとても高く、コックピットに収まっているだけで、これほど心地よくなれるクルマは、ライバルには見あたらない。それは、乗る時間が長くなるほど、強く感じられた。
先進の安全性も、V40クロスカントリーの見どころである。最新のV40では、車両、歩行者、サイクリストを検知する自動ブレーキシステムをはじめ、LKA(レーン・キーピング・エイド)やBLIS(ブラインドスポット・インフォメーション・システム)、CTA(クロス・トラフィック・アラート)といったセーフティーシステムが標準装着となっている。幸い自動ブレーキのお世話になることはなかったが、死角に入った並走車両を知らせるBLISや、後退時に左右から接近する車両を知らせるCTAに、ハッとさせられる場面があったのは事実。雪道では、急ハンドルや急ブレーキは事故を避けるどころか、そのきっかけになるだけに、アクシデントを未然に防いでくれるこうした技術は本当にありがたい。
でも、V40クロスカントリーの良さはこれだけではない。肝心の走りが楽しいのだ。
安心できる走行性能
V40クロスカントリーの走りを楽しくさせるのが、2リッター直列5気筒ターボエンジンだ。V40 T5 R-DESIGNにも採用されるこのパワーユニットは、現時点ではV40だけに搭載されるもので、最高出力213ps、最大トルク30.6kgmを発生する。このエンジン、スペックから想像できるとおり、V40クロスカントリーを走らせるには余裕十分。トルコン式の6段オートマチックトランスミッションとの相性もよく、発進はスムーズかつ軽快。パートスロットルからアクセルペダルを少し踏み増すような状況でもタイムラグなく加速するため、街中でも扱いやすい。
そのうえ、この2リッターターボは、4気筒とは明らかに違うフィーリングでドライバーを楽しませてくれる。言い古されたフレーズだが、アクセルペダルを踏み込むと5気筒特有の“不協和音”がキャビンに漏れ、4気筒にはない緻密さをともないながら回転を上げていくのだ。ボルボに限らず、5気筒エンジンが好きな私としては、このえもいわれぬフィーリングに抗しがたい魅力を感じてしまう。
そして、V40クロスカントリーの駆動方式はフルタイム4WD。今回のように、雪道がほとんどというドライブでは、安心感が違う。今回は撮影のために雪深い山道を走ることもあったが、姿勢を乱す前に最適なトルク配分を行う4WDのおかげで、スタビリティーコントロールの力をあまり借りることがなく、そのぶんストレスを感じずに走ることができた。スタンダードに比べてわずかではあるが、最低地上高が高いというのも安心につながった。
ということで、デザイン、安全装備、そして、走りが際立つV40クロスカントリー。輸入Cセグメントに、これほどの実力の持ち主は見当たらない。369万円という価格も、大いに魅力的である。薦めずにはいられないクルマ……それがV40クロスカントリーなのだ。
(文=生方 聡/写真=郡大二郎)
→ボルボV40クロスカントリー T5 AWD オフィシャルサイト

堀田 剛資
猫とバイクと文庫本、そして東京多摩地区をこよなく愛するwebCG編集者。好きな言葉は反骨、嫌いな言葉は権威主義。今日もダッジとトライアンフで、奥多摩かいわいをお散歩する。
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