「NISMO FESTIVAL at FUJI SPEEDWAY 2014」の会場から(前編)
2014.12.05 画像・写真2014年11月30日、静岡県小山町の富士スピードウェイで「NISMO FESTIVAL at FUJI SPEEDWAY 2014」が開かれた。これは1997年に始まり、今回で17回目となる日産/NISMOのモータースポーツファン感謝イベントだが、昨年の日産創立80周年に続き、今年はNISMO創立30周年を記念しての開催となった。プログラムはNISMOがたどった30年をさかのぼる歴代レーシングカーのデモランをはじめ、ヒストリックカーや現役レーシングカーのエキシビションレースなど、レーシングコースでの走行が中心。また今回の特別企画として、2015年のLMP1マシンでのルマン参戦(復帰)に向けて過去のルマンカーを振り返る「Road to Le Mans 2015」も実施された。NISMO創立30周年の節目となる年に、6年ぶりにSUPER GTのGT500クラスのタイトルを奪還したこともあって、昨年を上回る3万5000人ものファンを集めた会場から、リポーターの印象に残ったマシンやシーンを紹介しよう。(文と写真=沼田 亨)

レーシングコースにおける最初のプログラムは、「GT-R NISMO」や「マーチNISMO」といったNISMOロードカーや、「400R」などのNISMOコンプリートカー、合わせておよそ100台による「NISMOカーパレード」。
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レーシングコースにおける最初のプログラムは、「GT-R NISMO」や「マーチNISMO」といったNISMOロードカーや、「400R」などのNISMOコンプリートカー、合わせておよそ100台による「NISMOカーパレード」。
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続いてのプログラムは歴代のNISMOレーシングカーによる「NISMO 30th ヒストリックカーデモラン」。これは出走車両中もっとも古かった「リーボック・スカイライン」。7代目R31「スカイライン」の「GTS-R」をベースにしたグループAマシンで、1989年の全日本ツーリングカー選手権(JTC)で、長谷見昌弘/アンデルス・オロフソンのドライブによりシリーズチャンピオンを獲得した。
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グループAレースでの勝利を目的に生まれ、デビューした1990年から全日本ツーリングカー選手権(JTC)をはじめ出場した国内グループAレースを完全制覇するという偉業を成し遂げたR32「スカイラインGT-R」。この「カルソニック・スカイライン」はデビューした90年のJTCで6戦中5勝を挙げた(残り1勝は「リーボック・スカイライン」)マシンで、操るのはもちろん星野一義。
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アメリカンなカラーリングをまとったR34「GT-R」ベースの「ペンズオイル・ニスモGT-R」は、SUPER GTの前身である全日本GT選手権(JGTC)の1999年度のGT500チャンピオンマシン。レース規定により駆動方式は2WD(FR)となっている。ご覧になればおわかりのように、助手席にも人の姿が。単なるデモランではなく、来場者を乗せての「レーシングカー同乗走行」なのである。
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GT-Rが不在だった2004年から07年まで、NISMOの看板を背負ってJGTC/SUPER GTのGT500を戦ったZ33「フェアレディZ」。これは2006年シーズンをミハエル・クルムらのドライブで戦った「モチュール・オーテックZ」で、こちらも同乗走行である。
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1992年のデイトナ24時間で長谷見昌弘/星野一義/鈴木利男組が日本車として、そして日本人のドライブで初の総合優勝に輝いたグループCマシンである「R91CP」。エンジンは3.5リッターV8ツインターボで、パワーは800psを発生したという。車名が示すようにそもそもは91年の全日本スポーツプロトタイプカー耐久選手権(JSPC)用に開発されたマシンで、その年にタイトルを獲得している。
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1998年のルマンで、星野一義/鈴木亜久里/影山正彦の日本人トリオのドライブにより、日産のルマン挑戦で最上位となる総合3位を獲得した「R390 GT1」。なんとこれも同乗走行で、同乗者は日産/NISMOファン冥利(みょうり)に尽きるというものだろう。
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1999年のルマンに参戦したがリタイアに終わった「R391」。同年秋のルマン富士1000kmではエリック・コマス/本山 哲/影山正美組が優勝した。600ps以上を発生する自然吸気の5リッターV8エンジンを搭載する。
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「NISMO 30th ヒストリックカーデモラン」の際には、「レーシングカー同乗走行」「サーキットタクシー」「サーキットサファリ」の3つのプログラムも同時に行われた。これはNISMOパフォーマンスパッケージを装着した「エルグランド」によるサーキットタクシー。
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「サーキットサファリ」のバスと並走するのは、今シーズンのSUPER GT GT500クラスの王座を獲得した「モチュール・オーテックGT-R」。
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2011年のFIA GT1世界選手権で、ミハエル・クルム/ルーカス・ルアー組がドライバーズタイトルを獲得した「GT-R GT1」。海外向けのインフィニティのSUVなどに搭載されているVK56DEをチューンした5.5リッターV8エンジンは600psを発生する。
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今シーズン用の「GT-R NISMO GT3」。FIA GT3規定に沿って開発されたレース専用車で、エンジンは最高出力550ps以上、最大トルク65.0kgm以上を発生、駆動方式はFIA規則により2WD(FR)。価格は4980万円。
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2011年に登場した「リーフ NISMO RC」。ノーマルのリーフのモーターおよびインバーターをミドシップし、大型リチウムイオンバッテリーを搭載したゼロエミッションのレーシングマシンである。
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サーキット専用車「GT-Rクラブトラックエディション」によるワンメイクレース「GT-Rプレステージカップ」のエキシビションレースにおける、熾烈(しれつ)なトップ争い。激戦のあまり両車は接触し、2台ともリタイア。3位を走行していたマシンが漁夫の利を得て優勝した。
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Z33とZ34の「フェアレディZ」のオーナーを対象にサーキットトライアルやワンメイクレースを行っているプログラム「Zチャレンジ」の参加者によるエキシビションレース。
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JCCA(日本クラシックカー協会)主催のクラシックカーレースに参戦している車両を中心とした「NISSANヒストリックカーエキシビションレース」。これは1970年代のツーリングカーレースで大活躍した型式名B110こと「サニー・クーペ1200GX」の、故・萩原 光や高橋健二がドライブした「ADVAN東名サニー」のレプリカである。
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丸善テクニカ・カラーの84番「HIROTA 東名サニー」は影山正美選手が駆った。ちなみに彼は2010年に、このマシンで富士スピードウェイにおけるJCCA F-1クラスのコースレコード(1分58秒278)を樹立している。
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型式名KP510こと「ブルーバード1600 SSSクーペ」。「剣自動車+OEブルーバード」と名乗るこの個体は、当時のワークスマシン風に仕上げられている。
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レースで50勝以上を記録し、スカイライン伝説を確立した型式名KPGC10こと「スカイライン・ハードトップ2000GT-R」。この個体は、当時実際にプライベーターによりここ富士スピードウェイで開かれたレースに参戦、豪雨のなかで行われた1973年全日本富士1000Kmレースでの総合5位を筆頭に実績を残しているマシンである。
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34台が出走したこのレースで、前出の影山正美選手の駆る「HIROTA 東名サニー」との激しいバトルを制して優勝したのは、往年の日産カラーであるトリコロールに塗られた「スクーデリアVRKサニー」。ベースは型式名B310こと4代目「サニー・クーペ」である。