ホンダ・ステップワゴン スパーダ クールスピリット(FF/CVT)/ステップワゴンG(FF/CVT)
ミニバンってすばらしい 2015.05.21 試乗記 縦にも横にも開く「わくわくゲート」と、新開発のダウンサイジングターボエンジンで注目を集める新型「ホンダ・ステップワゴン」。気になるその使い勝手と、走りの実力をチェックした。テールゲートに横開きのドアをプラス
ステップワゴンはどうやらママがターゲットらしい。でも私、ママだけど、何を隠そう、気持ちはオトコ(!?)。ウチは男女逆転夫婦で、クルマ選びも運転も私の担当。今のクルマ以外は夫が運転できないMT仕様の激安欧州車ばかりで、国産ミニバンは一番遠い存在でした。気性も荒く(笑)、4歳の息子には「ママちゃんのほうがコワイ」と言われています。
そんな私が、新型ステップワゴンに乗ってみました。といっても、ステップワゴンには先代から一目置いていました。5ナンバーサイズミニバンで唯一、3列目シートが床下収納できることがその理由。その後登場したトヨタの新型「ヴォクシー/ノア」が跳ね上げ式だったので、「これってトヨタでもマネできないスゴ技なのかも」なんて。ところが、新型のタテにもヨコにも開く「わくわくゲート」を見たら、「なんで今までなかったんだろう?」 消費者は勝手で申し訳ありません。
大きなテールゲートを上下に開閉する動作って、筋肉量の少ない女性には、結構大変なんですよ。私のようによわい40を超えてくると、腰痛もあるし、周囲からは「肩があがらない」「運動するとひざが痛い」といった声も耳にします。特に未就学児を持つママたちは、自分の時間が持てず、運動不足になりがち。お肉はつくのに、筋肉は落ちるので、腰痛がひどくなる。そのうえ、子供はところかまわず抱っこをねだる。ウチの子なんて17kgもありますからね! ヒアルロン酸やコンドロイチンに手を出したいのは、おばあさんより私たち世代なんです! だからこそ、テールゲートはチョイ開けできる横開きが正解。普段使いは、こっちがメインになるでしょうし、これからはきっとミニバンのスタンダード装備になるでしょうね。
それに、このゲートを付けることで、3列目シートの使い勝手まで圧倒的によくなっています。これまでの3列目シートは、“狭い、出にくい、入りにくい”の三重苦を抱えた、「ザ・ガマン」的空間でした。新型ステップワゴンは、そこに内側からも開けられる専用のお勝手口を付けることで、安心・快適なスペースにしています。しかもシートはストラップを引くだけで、ほぼ瞬間的に床下へ。音もなく優雅に収納される様は圧巻です!
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
10年乗るクルマとしてのデザイン
見た目の第一印象は、「ずいぶん、おとなしくなったなぁ」というもの。ギラギラ感の強かった先代に比べ、かなり優しい顔立ちになっています。開発陣によれば、「子供が育つ間の10年は使用することを考え、はやりに左右されないオーソドックスな顔を目指した」とか。「スパーダ」も同様、オラオラ度は控えめです。
サイドビューは、直線的なラインが強調されていた先代に比べ、フェンダーまわりのアーチを深くし、より躍動感のあるデザインに。サイドウィンドウが「トヨタ・ハイエース」よりも立っているため、真後ろから見れば“真四角”。個性的な、左右非対称のリアビューに、大槻ケンヂを思い浮かべたのは、私だけ……ですよね。
ステップワゴンとスパーダ、どちらが好みかと聞かれたら、私はコワモテギラギラが好みなので“スパーダ・リアウイング抜き”でお願いしたいです。でも、ウイング抜きでは買えないんですって、残念。さすがに“ラーメン・ネギ抜き”のようにはいきません。
インテリアはシンプルで落ち着いた雰囲気。装備も徹底してユーザー目線を貫き、メーターまわりがスポーティー過ぎないのも女性好みです。ソファのファブリック生地には肌になじむやわらか素材を使用するほか、ケチャップやコーヒーといった汚れが目立たないブラウンカラーも申し分なし。現行「フィット」から1人につき2個ずつ設置するようにしたというカップホルダーは、2個×8人乗りで16個を確保。開発リーダーの袴田 仁LPLが、このテのミニバンを“白物家電”と言い切るところから推測すると、日本車におけるカップホルダーの重要度は、もはや冷蔵庫における卵ケースレベル、といってもいいかもしれません。
軽快な身のこなしと力強いエンジン
新型ステップワゴンの足まわりは、国産5ナンバーサイズミニバンのなかでは、わりとしっかりタイプ。新開発の1.5リッターダウンサイジングターボのおかげで、箱根のワインディングロードでもトルクフルに走り、まったく息切れを感じさせません。コーナリングも得意で、ボディーが一体感を持って路面をトレースしてくれます。ステアリングの操作感は、走りだしからカルッカルのママさん仕様。街中では、電動アシスト自転車感覚で気軽に運転できます。とりわけ好感が持てたのは、乗り心地のよさ。道路のつなぎ目でガツガツとした突き上げを感じることもなく、とてもソフトにいなしてくれます。ふんわりスーッと走る、軽快な身のこなしを味で表現すると、あっさり塩味風味。
では、スパーダはガッツリニンニク風味? と思いきや、「気持ちコクがでたかな?」というレベル。聞けば、「カッコは威張っていたいが、走りは普通でいい」という男性ユーザーが多く、ダンパーのセッティングを少しだけ引き締め気味にしたのだとか。草食系というよりも、家族に優しいイクメンが増えてるってことかもしれませんね。ウチもそれで救われています。感謝!
ただひとつだけ、欧州車を乗り継いできた私には、どうしても気になることが。それは、電動パワステが軽くて、手応えがないこと。普段使いを重視し、ママの負担を軽くするような配慮でしょうが、長距離や山道などでは、逆に疲れそうに感じました。それに、エンジンがダウンサイジングターボで軽く、その分前輪荷重が軽くなっているので、高速道路ではフロントが頼りなく感じてしまいます。バリアブル・ギアレシオ・ステアリング的なものがこのクラスにも採用されるといいな、なんて。まったく、ワガママばかりで申し訳ありません。
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
今まで以上にママに優しく
冒頭で、ママではあるけれど、ミニバンとはあまり縁のない人間であることを明かしました。ところが、こうして試乗してみると、本当にファミリーに便利な装備がいっぱいで、ほぼ無条件で受け入れたい気分です。唯一、ステアリングが軽すぎるという部分以外は。
息子との休日は、とにかく外で過ごすのが基本。最近は新調したばかりのキッズ自転車をクルマに載せて大きな公園へ出掛け、遠足気分で動きまわっています。ウチのようなファミリーは多いのでしょう。休日の昼過ぎに、都心から電車で30分圏内にある某都立公園の駐車場で観察してみたところ、全240区画のうち73台、全体の30%をミニバンが占めていました(5ナンバー、3ナンバー合わせて)。実際の割合以上に四角い箱型ボディーが目立つのは、軽自動車でもハイトワゴン系が多いから。そんななか、小さい赤ちゃんを抱っこしたママが、コンパクトカーのテールゲートを開け、3歳ぐらいのお兄ちゃんのストライダーと、ベビーカーを下ろす姿が見えます。2人もいるのに、大変そう。
考えてみると、やっぱり日本のミニバンってよくできていますよね。子供も安心して乗せられて、荷物もたくさん収納できる。特に新型ステップワゴンは、ママの負担を少しでも軽くしたいという思いから、これまで以上に優しい設計になっています。「そこのママ、ステップワゴンならもっとラクですよ! もっと甘えていいんですよ!」 そう心のなかで声をかけたら、なぜかじんわり目頭が熱くなってきました。ちょっとヘンなママだけど、やっぱり同じママなんですよね~。
(文=スーザン史子/写真=荒川正幸)
拡大 |
テスト車のデータ
ホンダ・ステップワゴン スパーダ クールスピリット
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4735×1695×1840mm
ホイールベース:2890mm
車重:1700kg
駆動方式:FF
エンジン:1.5リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ
トランスミッション:CVT
最高出力:150ps(110kW)/5500rpm
最大トルク:20.7kgm(203Nm)/1600-5000rpm
タイヤ:(前)205/55R17 91V/(後)205/55R17 91V(ブリヂストン・トランザER33)
燃費:15.4km/リッター(JC08モード)
価格:288万7000円/テスト車=347万5600円
オプション装備:ボディーカラー<プレミアムスパイスパープル・パール>(3万7800円)/Hondaインターナビ+リンクアップフリー ETC(22万6800円)/マルチビューカメラ&リアエンターテインメントシステムパッケージ(10万8000円)/Honda SENSING(10万8000円)/リア右側パワースライドドア(5万4000円) ※以下、販売店オプション フロアカーペットマット(5万4000円)
テスト車の年式:2015年型
テスト開始時の走行距離:1435km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター
参考燃費:--km/リッター
拡大 |
ホンダ・ステップワゴンG
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4690×1695×1840mm
ホイールベース:2890mm
車重:1650kg
駆動方式:FF
エンジン:1.5リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ
トランスミッション:CVT
最高出力:150ps(110kW)/5500rpm
最大トルク:20.7kgm(203Nm)/1600-5000rpm
タイヤ:(前)205/60R16 92H/(後)205/60R16 92H(ブリヂストン・トランザER33)
燃費:16.2km/リッター(JC08モード)
価格:248万円/テスト車=302万円
オプション装備:ボディーカラー<スーパープラチナ・メタリック>(3万7800円)/Hondaインターナビ+リンクアップフリー ETC(22万6800円)/2列目ベンチシート<8人乗り>(2万1600円)/1列目サイド&サイドカーテンエアバッグシステム+Honda SENSING(14万5800円)/リア右側パワースライドドア(5万4000円) ※以下、販売店オプション フロアカーペットマット(5万4000円)
テスト車の年式:2015年型
テスト開始時の走行距離:1437km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター
参考燃費:--km/リッター

スーザン史子
-
BSAゴールドスター650(5MT)【レビュー】 2026.6.2 かつて一世を風靡(ふうび)した英国の名門、BSAが復活! 新生第1号モデルである「ゴールドスター650」は、クラシックで優雅なお散歩バイク……と思いきや、ツインカムの大排気量シングルで、ライディングも前のめりに楽しめるマシンに仕上がっていた。
-
ホンダCR-V e:HEV RSブラックエディション(4WD)【試乗記】 2026.6.1 「ホンダCR-V」がフルモデルチェンジ。新型は適切なボディーサイズと高品質な内外装を持ち、乗れば最新のホンダ車らしい気持ちよさが味わえる。ただし、その月販目標は400台。ちょっと弱気ではあるものの、周辺事情にも考えを巡らせると極めて妥当な数字にも思えてくる。
-
トヨタRAV4 GRスポーツ(4WD/CVT)【試乗記】 2026.5.30 新型「トヨタRAV4」のプラグインハイブリッド車ではEV走行換算距離が約150kmにまで到達。もちろん電池容量の拡大によるところも大きいが、何よりも最新のハイブリッドシステムによる効率向上が効いている。「GRスポーツ」をドライブした印象をリポートする。
-
キャデラック・リリックV(4WD)【試乗記】 2026.5.29 キャデラック初の電気自動車(BEV)「リリック」に、最高出力646PSのハイパフォーマンスモデル「リリックV」が登場。“ブランド史上最速”をうたう豪速SUVだが、実際に乗ってみると、高い動力性能がもたらすゆとりや心地よさにも魅力を感じる一台となっていた。
-
DS N°8エトワールAWD(4WD)【試乗記】 2026.5.28 前衛を身上とするフランスのラグジュアリーブランド、DSオートモビルから、新たなハイエンドモデル「DS N°8(ナンバーエイト)」が登場。当代屈指の性能を誇る電気自動車であり、かの地では大統領専用車にも選ばれる一台の、独創の魅力に触れた。
-
NEW
第290回:商用バンで砂漠を行く親子が向かうのは天国か地獄か 『シラート』
2026.6.4読んでますカー、観てますカー失踪した娘を探して親子はモロッコの砂漠へ。砂漠で開催されていたレイブパーティーが最高潮に達した頃、軍隊がやってきて中止させられる。親子が乗るFFの商用バンは次のパーティー会場にたどり着けるのか……。 -
NEW
ホンダCR-V e:HEV RSブラックエディション(前編)
2026.6.4あの多田哲哉の自動車放談ひさびさに日本市場に戻ってきた、ホンダを代表するSUV「CR-V」。最新世代の仕上がりを、トヨタの車両開発者だった多田哲哉さんはどう評価する? まずは、ワインディングロードを走らせた第一印象から。 -
NEW
第964回:フィアットグッズのコレクターから学ぶ人生訓
2026.6.4マッキナ あらモーダ!イタリア在住の大矢アキオが、トリノで著名なフィアットグッズのコレクターを取材。若き日の苦労を経て大成した人物が語る、人生で大切なものとは? フィアットやイタリアの歴史を物語る、貴重なコレクションの数々とともに紹介する。 -
NEW
気づけばすでに4モデル スバルのBEV戦略と水平対向エンジンの未来を考える
2026.6.4デイリーコラム「ソルテラ」に続き、「トレイルシーカー」「アンチャーテッド」「ゲッタウェイ」と、いつの間にか4モデルが顔をそろえたスバルのBEV。伝統的な水平対向エンジンやシンメトリカルAWDはこの先どうなるのか? スバルの未来戦略を探る。 -
レクサスES350h(FF/CVT)/ES350e(FWD)/ES500e(4WD)【海外試乗記】
2026.6.3試乗記「レクサスES」がフルモデルチェンジ。シャシーがFFベースというのは歴代モデルと同じだが、新型ではボディーサイズがググッと拡大。「LS」の6輪ミニバンコンセプトが登場したこともあり、今後のレクサスセダンの総代を担うことになる。北米で乗った印象をリポートする。 -
ミドシップ化で運動性能はどう変わる? 「GRヤリスMコンセプト」の現時点での完成度を体感
2026.6.3デイリーコラム「GRヤリス」をベースとしたミドシップ4WDとして市販化を目指す「GRヤリスMコンセプト」。現在もスーパー耐久に投入されるなどして鍛えられているが、その開発車両をドライブできた。普通のGRヤリスとの運動性能の違いや、新開発エンジンの印象などをリポートする。
































