ホンダN-BOX G・EX Honda SENSINGプロトタイプ(FF/CVT)/N-BOXカスタムG・EXターボHonda SENSINGプロトタイプ(FF/CVT)
こりゃあ売れないわけがない 2017.09.04 試乗記 2011年のデビュー以来、高い人気を保ち続けているホンダの軽トールワゴン「N-BOX」シリーズが、いよいよ2代目にモデルチェンジ! 従来モデルからすべてが一新されたという新型の実力を、走りと使い勝手の両面からリポートする。人気の秘密はズバリ“使い勝手”
雨の日に子どもと出掛けるのって憂鬱(ゆううつ)。ジュニアシートに座った息子のシートベルトを装着するたびに、ドアが隣のクルマにぶつからないよう気を付けながら、傘もささずにびしょぬれに。あ~~もう、イライラする~!
世のママたちが、私のようにイライラMAXかどうかは知らないが、ママたちをサポートするクルマは、ミニバンや軽自動車を中心に充実してきている。フルモデルチェンジを受けた新型N-BOXもそのひとつだ。「日本のファミリーカーをこれ1台で」をコンセプトに、「ミニバンのお客さん、全部取ってこい!」という強烈な指令のもと開発されたというから恐れ入る。
N-BOXといえば、2011年の発売以来、軽自動車では常に1、2を争う人気モデル。2016年12月にはN-BOXシリーズ全体の累計販売台数が100万台を突破、2017年上半期でもシリーズで新車販売台数ナンバーワンになったばかりだ。人気の秘密は、子育て世代にも使い勝手のいいパッケージ。センタータンクレイアウトならではの低床フロアとクラス最大級の広い室内、後席は跳ね上げ式で、ベビーカーをたたまずに、そのまま入れられることも大きな魅力だった。
今回のフルモデルチェンジでは、構成部品の約9割を見直すという“全面刷新”を敢行。ファミリー対策を強化し、フロントベンチシート仕様と、助手席スーパースライド仕様、スロープ仕様の3パッケージを用意した(スロープ仕様は2018年の発売を予定)。中でも、子育て中のママにおすすめしたいのが、新設定となる助手席スーパースライド仕様だ。
助手席ロングスライドでさらに便利に
助手席スーパースライド仕様とは、助手席を前後570mmの範囲でスライドさせることで、後席に座る子どもの世話をしやすくするアレンジモードのこと。燃料タンクを薄型にし、運転席下に配置したことや、エアコンユニットをダッシュボード裏の中央にレイアウトすることによって、助手席の足元スペースを確保している。
ウチの場合、幼児期は過ぎてしまったが、子どもが乳幼児から4~5歳ぐらいまでなら、信号待ちの際にお菓子やジュースを手渡したり、手を握って安心させることができたりするので、便利だな~とうらやましくなる。
とはいえ、前席と後席を近づけることで子どもの世話をしやすくするという工夫は、今やそれほど目新しいものではない。2列目シートに余裕のあるモデルなら珍しくもない。
そこで新型N-BOXは、さらに一歩踏み込んだサポートを提案している。雨の日でも外に出ることなく運転席まで移動できるよう、助手席のロングスライド機構を利用することで後席と運転席間のウオークスルーを可能にしているのだ。助手席を最大限前に、運転席を最大限後ろにスライドさせると、わりとラクに運転席まで移動することができた。これはありがたい!
さらに、フロア高を75mm下げることによって、自転車も載せやすくなっている。
リッターカーより運転が楽しい!
N-BOXといえば、動力性能の高さでも一目置かれる存在。
新型では新しいプラットフォームの採用をはじめ、前述のとおり構成部品の約9割を見直すことで約150kgもの軽量化に成功。実際には、新たな必要装備を加えたことによる“リバウンド”があったものの、それでも約80kgの軽量化を実現している。自分の体重を1kg落とすのも大変なのに、軽自動車でこんなに軽量化できるなんて! 爪の垢(あか)を煎じて、自分に飲ませたいぐらいだ。
まずはターボ仕様のカスタムに試乗。すると、発進時からとても安定感があり、高速道路の流れに乗って走れる程度の速度域まで、グイグイ加速していけるのに驚いた。しかも、前席、後席に関係なく乗り心地もよく、車内も静か。コーナーでも足元がしっかりと粘ってくれる感じがあり、運転が楽しい。これは、もはやリッターカーを超えているでしょう!
今回の試乗コースはJARI(日本自動車研究所)が所有する城里テストセンターの外周路。路面はフラットかつ継ぎ目がなく、クルマを走らせるには好条件がそろった環境だった。しかし、その良すぎる条件を差し引いても、ターボ付きカスタムの印象はとてもよかった。
次に、ノンターボの標準車に試乗してみた。走りだしからそれなりにパワーの違いは感じられ、4000rpmあたりからはエンジン音が大きめに感じられた。とはいえ、ボディー剛性の高さや安定感はそのままで、運転していて怖さを感じる場面はなかった。安心できるからこそ、楽しむ余裕も生まれる。そんな印象だ。
カスタムと標準車を2台乗り比べて感じたのは、足まわりと静粛性の違いだった。15インチを履くターボ付きカスタムのほうが、14インチを履く標準車よりも、コーナーでしっかりとした踏ん張り感を得られたし、車内も静かに感じられた。そこでこの2点について確認してみたところ、足まわりについてはタイヤサイズの違いに合わせて仕様を変えているけれど、目指す乗り味の方向性は一緒。また静粛性に関しては、カスタムのダッシュボード裏とリアタイヤ付近に、吸音材を多めに施しているということだった。これがかなり効いていた!
2000~3000rpmあたりで街中を走るなら標準車でも十分だが、高速道路を使うこともあるなら、ターボ仕様のカスタムがおすすめ。個人的には、カスタムかな。
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
大幅に強化された運転支援システム
ママに優しく、運転好きなパパにもおすすめの新型N-BOXだが、今回新たに運転支援システム「ホンダセンシング」を全タイプに標準装備し、安全面でも大きな進化を遂げている。
ミリ波レーダーと単眼カメラを用いたこのシステムには、ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)やオートハイビームなど10個の機能が備わっている。その数だけで判断すれば、機能の充実度は「レジェンド」以上とのことだ。試乗時には路外逸脱抑制機能が利き、“ピピッ”という警告音とディスプレイ表示で危険を促してくれた。
すでにでき上がった技術であれば、車格違いのクルマにも簡単に流用できるのだろうと思いがちだが、そうではない。「大きなクルマでできることを小さなクルマでやろうとすることが、こんなに難しいとは思わなかった」。開発者がふと漏らした一言には、660ccの小さなエンジンを動力としながら、上級モデル並みにクルーズコントロールやブレーキ制御なども行わなくてはならないという葛藤がにじみ出ていた。
開発過程では、さまざまな場面で無理難題に直面するということがあったと思うが、試乗車を前にすると、限られた規格のなかで、ママの使い勝手と走りのよさをさらに進化させ、安全性にいたるまでバッチリとカバーされていることに気づく。
ということは、「ミニバンのお客さん、全部取って来い!」という檄(げき)は、あながち冗談でもなかったのか。いや、本気だったのか。
やっぱり、売れないワケがない。
(文=スーザン史子/写真=森山良雄/編集=堀田剛資)
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
テスト車のデータ
ホンダN-BOX G・EX Honda SENSING
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=3395×1475×1790mm
ホイールベース:2520mm
車重:930kg
駆動方式:FF
エンジン:0.66リッター直3 DOHC 12バルブ
トランスミッション:CVT
最高出力:58ps(43kW)/7300rpm
最大トルク:65Nm(6.6kgm)/4800rpm
タイヤ:(前)155/65R14 75S/(後)155/65R14 75S(ヨコハマ・ブルーアース)
燃費:27.0km/リッター(JC08モード)
価格:159万6420円/テスト車=--円
オプション装備:--
テスト車の年式:--年型
テスト開始時の走行距離:--km
テスト形態:トラックインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(レギュラーガソリン)
参考燃費:--km/リッター
拡大 |
ホンダN-BOXカスタムG・EXターボHonda SENSING
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=3395×1475×1790mm
ホイールベース:2520mm
車重:960kg
駆動方式:FF
エンジン:0.66リッター直3 DOHC 12バルブ ターボ
トランスミッション:CVT
最高出力:64ps(47kW)/6000rpm
最大トルク:104Nm(10.6kgm)/2600rpm
タイヤ:(前)165/55R15 75V/(後)165/55R15 75V(ブリヂストン・エコピアEP150)
燃費:25.0km/リッター(JC08モード)
価格:194万9400円/テスト車=--円
オプション装備:--
テスト車の年式:--年型
テスト開始時の走行距離:--km
テスト形態:トラックインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(レギュラーガソリン)
参考燃費:--km/リッター

スーザン史子
-
DS N°8エトワールAWD(4WD) 2026.8.22 DSオートモビルから登場した、新時代の旗艦モデル「N°8」。完全新設計のシャシーにアクティブサスペンションを組み合わせた電気自動車(BEV)は、往年の“ハイドロ”を思わせる乗り味と人車一体の走りを備えた、稀有(けう)なサルーンに仕上がっていた。
-
メルセデス・ベンツCLA220(FF/8AT)【試乗記】 2026.8.21 メルセデス独自のオペレーティングシステムと、フル電動化を見据えた最新プラットフォームを組み合わせて開発された新型「CLA」。その先鋒として発売されたハイブリッドモデルの仕上がりを、セダンの上級グレードに試乗して確かめた。
-
マツダCX-5 L(4WD)【試乗記】 2026.8.19 マツダの販売の中軸を担うミドルクラスSUV「CX-5」が、3代目にフルモデルチェンジ。その完成度にはどうしても期待してしまうところだが、実車の仕上がりはどうだったのか? 絶対に失敗の許されない、マツダの基幹車種の実力に触れた。
-
トヨタbZ4XツーリングZ(FWD)【試乗記】 2026.8.18 クルマの進化か、充電インフラの進化か、それともCEV補助金拡充の効能かは定かではないが、ようやく日本の電気自動車(BEV)も普及期を迎えつつある。ことに「bZ4Xツーリング」は豊かな一充電走行距離と優れたドライバビリティーが自慢のトヨタの最新作だ。FWDモデルの仕上がりをリポートする。
-
BMW iX3 50 xDrive Mスポーツ(4WD)【試乗記】 2026.8.17 BMWの新世代電気自動車の第1弾である「iX3」がいよいよ日本の道を走り始めた。さすが「ノイエクラッセ」をうたうだけあって、内外装だけではなく、運転感覚もまた新しい。「Mスポーツ」グレードの仕上がりをリポートする。
-
NEW
スズキeスカイ プロトタイプ(FWD)【試乗記】
2026.8.24試乗記スズキが満を持して世に問う、軽規格の新型電気自動車「eスカイ」。軽乗用車の本質である、生活の足としてのちょうどよい性能を追求したという一台は、どのようなクルマに仕上がっているのか? 2026年秋の正式発表を前に、プロトタイプモデルに試乗した。 -
NEW
デビュー4年でどう変わる? 最新型「トヨタ・クラウン クロスオーバー」の詳細を予測する
2026.8.24デイリーコラム2022年7月のデビューから4年がたち、仕様変更が予告された「トヨタ・クラウン クロスオーバー」。では、どこがどう変わるのか? 最新型の発売を前に、さまざまな角度からポイントを予測してみよう。 -
トヨタRAV4アドベンチャー(前編)
2026.8.23思考するドライバー 山野哲也の“目”レーシングドライバー山野哲也が新型「トヨタRAV4」に試乗。ご存じのとおり今やトヨタの屋台骨を支えるSUVであり、先代モデルではグローバルでの年間販売台数が100万台に到達。世界で最も多く販売されるトヨタ車の6代目だ。箱根のワインディングロードでの印象を聞いた。 -
DS N°8エトワールAWD(4WD)
2026.8.22試乗記DSオートモビルから登場した、新時代の旗艦モデル「N°8」。完全新設計のシャシーにアクティブサスペンションを組み合わせた電気自動車(BEV)は、往年の“ハイドロ”を思わせる乗り味と人車一体の走りを備えた、稀有(けう)なサルーンに仕上がっていた。 -
メルセデス・ベンツCLA220(FF/8AT)【試乗記】
2026.8.21試乗記メルセデス独自のオペレーティングシステムと、フル電動化を見据えた最新プラットフォームを組み合わせて開発された新型「CLA」。その先鋒として発売されたハイブリッドモデルの仕上がりを、セダンの上級グレードに試乗して確かめた。 -
これは“ヨーロッパ版軽自動車”か? 欧州の新自動車規格「M1E」とニッポンの軽の可能性
2026.8.21デイリーコラム欧州で検討されている、新たな小型電気自動車(BEV)規格「M1E」。手ごろなBEVの普及と域内自動車産業の保護を目的としたこの規格は、軽自動車という独自の小型車を育んできた日本にとってもチャンスとなるのか? 新たな自動車規格の展望と可能性を考察する。














































