ルノー・メガーヌ スポーツツアラーGT(FF/7AT)
“ツアラー”の名に偽りなし 2017.12.02 試乗記 40mm長いホイールベースを持つ新型「ルノー・メガーヌ」のワゴンモデル「メガーヌ スポーツツアラー」。ロングドライブの機会が多いモデルだからこそ浴することのできる、4輪操舵の恩恵とは? “別立て”のボディーがかなえる、5ドアハッチバックとは一味違う走りをリポートする。 拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
ロングランのための後輪操舵
「ツーリングワゴン」「エステート」、そして「スポーツツアラー」。ルノー・メガーヌのワゴンは世代交代するたびに名前も一新している。メガーヌの中でのワゴンの位置付けが常に変化しているということなのだろう。
一方で不変の部分もある。そのひとつがホイールベースで、常にハッチバックより長い。その差は先代までの60mmから40mmに縮まったものの、現在日本で買えるこのクラスのワゴンで、このような作り分けをしているのは、他には同じフランス生まれの「プジョー308」ぐらいだ。
新型メガーヌのワゴンはスポーツツアラーという名前に加え、日本仕様は「GT」のみにラインナップを限定。スタイリングもリアクオーターウィンドウを小さめにしてワゴンにありがちなリアまわりの“重さ”を薄めるなど、スポーティーな雰囲気をアピールしようという意思が伝わってくる。
それでいて、後席に身長170cmの僕が座ると、頭上のみならずひざの前の空間もハッチバックを上回る。後方に広がる荷室は580リッターと、当然ながらハッチバックに大きく差をつけているし、2分割のフロアパネルで多彩な空間が構築できるという小技も併せ持つ。ワゴンとハッチバックでは求められる性能が違うので、ホイールベースを含めて作り分けたということだろう。バカンスの国らしいこだわりを感じる。家族が3人以上というファミリーにはスポーツツアラーのほうが向いているし、長旅をひんぱんにこなすユーザーにもこちらをオススメしたい。
それにしても驚かされるのが新型メガーヌの“電脳化”だ。カード型のキーを持って車両に近づくだけでドアロックが解除されてサイドミラーが開き、ドアを開けると「ドクンドクン」と脈打つ“ウエルカムサウンド”がドライバーの気持ちを高める。センターコンソールやドアトリムには、メーターともども5色から選べるアンビエントライトの帯が走る。
フランス車らしくないと思う人がいるかもしれないが、パリのセーヌ左岸、サン・ジェルマン・デ・プレあたりのカフェバーに繰り出せば、メガーヌのような演出を当然のように体感する。今のフランス文化をクルマに反映した存在と受け取った。
1480kgという車両重量はハッチバックより50kg重い。同時に比較試乗したわけではないので、1.6リッターターボと7段デュアルクラッチ式トランスミッションによる加速に違いを見つけることはできなかった。低速では硬めだが速度を上げると絶大なフラット感に支配される乗り心地も大差ない。ハンドリングについては少しだけ、ハッチバックよりおっとりしているという印象を抱いた。車重とホイールベースの違いが関係しているのだろう。それでも「4コントロール」と呼ばれる4輪操舵の効果ははっきり体感できる。
後輪が前輪と逆方向に切れる低速での小回り性能の高さは、ハッチバックより長いボディーのスポーツツアラーではありがたい。そして4輪が同じ向きに切れる高速コーナーでは、斜めに平行移動していくようなフィーリングが感じ取れる。この安定感はロングランでの疲労軽減に貢献してくれるはずだ。この後に発売される「ルノースポール」にも搭載される4輪操舵が、スポーツツアラーにもふさわしいテクノロジーであることが分かった。
(文=森口将之/写真=荒川正幸/編集=堀田剛資)
拡大 |
【スペック】
全長×全幅×全高=4635×1815×1450mm/ホイールベース=2710mm/車重=1480kg/駆動方式=FF/エンジン=1.6リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ(205ps/6000rpm、280Nm/2400rpm)/トランスミッション=7段AT/燃費=--km/リッター/価格=354万円

森口 将之
モータージャーナリスト&モビリティジャーナリスト。ヒストリックカーから自動運転車まで、さらにはモーターサイクルに自転車、公共交通、そして道路と、モビリティーにまつわる全般を分け隔てなく取材し、さまざまなメディアを通して発信する。グッドデザイン賞の審査委員を長年務めている関係もあり、デザインへの造詣も深い。プライベートではフランスおよびフランス車をこよなく愛しており、現在の所有車はルノーの「アヴァンタイム」と「トゥインゴ」。
-
BSAゴールドスター650(5MT)【レビュー】 2026.6.2 かつて一世を風靡(ふうび)した英国の名門、BSAが復活! 新生第1号モデルである「ゴールドスター650」は、クラシックで優雅なお散歩バイク……と思いきや、ツインカムの大排気量シングルで、ライディングも前のめりに楽しめるマシンに仕上がっていた。
-
ホンダCR-V e:HEV RSブラックエディション(4WD)【試乗記】 2026.6.1 「ホンダCR-V」がフルモデルチェンジ。新型は適切なボディーサイズと高品質な内外装を持ち、乗れば最新のホンダ車らしい気持ちよさが味わえる。ただし、その月販目標は400台。ちょっと弱気ではあるものの、周辺事情にも考えを巡らせると極めて妥当な数字にも思えてくる。
-
トヨタRAV4 GRスポーツ(4WD/CVT)【試乗記】 2026.5.30 新型「トヨタRAV4」のプラグインハイブリッド車ではEV走行換算距離が約150kmにまで到達。もちろん電池容量の拡大によるところも大きいが、何よりも最新のハイブリッドシステムによる効率向上が効いている。「GRスポーツ」をドライブした印象をリポートする。
-
キャデラック・リリックV(4WD)【試乗記】 2026.5.29 キャデラック初の電気自動車(BEV)「リリック」に、最高出力646PSのハイパフォーマンスモデル「リリックV」が登場。“ブランド史上最速”をうたう豪速SUVだが、実際に乗ってみると、高い動力性能がもたらすゆとりや心地よさにも魅力を感じる一台となっていた。
-
DS N°8エトワールAWD(4WD)【試乗記】 2026.5.28 前衛を身上とするフランスのラグジュアリーブランド、DSオートモビルから、新たなハイエンドモデル「DS N°8(ナンバーエイト)」が登場。当代屈指の性能を誇る電気自動車であり、かの地では大統領専用車にも選ばれる一台の、独創の魅力に触れた。
-
NEW
レクサスES350h(FF/CVT)/ES350e(FWD)/ES500e(4WD)【海外試乗記】
2026.6.3試乗記「レクサスES」がフルモデルチェンジ。シャシーがFFベースというのは歴代モデルと同じだが、新型ではボディーサイズがググッと拡大。「LS」の6輪ミニバンコンセプトが登場したこともあり、今後のレクサスセダンの総代を担うことになる。北米で乗った印象をリポートする。 -
NEW
ミドシップ化で運動性能はどう変わる? 「GRヤリスMコンセプト」の現時点での完成度を体感
2026.6.3デイリーコラム「GRヤリス」をベースとしたミドシップ4WDとして市販化を目指す「GRヤリスMコンセプト」。現在もスーパー耐久に投入されるなどして鍛えられているが、その開発車両をドライブできた。普通のGRヤリスとの運動性能の違いや、新開発エンジンの印象などをリポートする。 -
NEW
第115回:メイク・アメリカ・グレート・アゲイン!(後編) ―デザインもサイズも規格外! 魅惑のアメリカ車はなぜ“主役”になれないのか?―
2026.6.3カーデザイン曼荼羅トヨタ&ホンダが発表した、米国生産車の日本導入計画。しかしアメリカには、規格外に面白いクルマがまだたくさんあるのだ! カーデザインの識者とともに魅惑の日本“未”導入車を探すとともに、魅力的なアメリカ車が、それでも主役になれない理由を考えた。 -
どうしてピアノブラックの内装材は多用されるのか?
2026.6.2あの多田哲哉のクルマQ&Aよく目にするピアノブラックの内装材は、「キズや脂汚れが目立つ」などネガティブな評価もしばしば。それでも多用されているのはなぜか? 車両開発者の多田哲哉さんに聞いてみた。 -
BSAゴールドスター650(5MT)【レビュー】
2026.6.2試乗記かつて一世を風靡(ふうび)した英国の名門、BSAが復活! 新生第1号モデルである「ゴールドスター650」は、クラシックで優雅なお散歩バイク……と思いきや、ツインカムの大排気量シングルで、ライディングも前のめりに楽しめるマシンに仕上がっていた。 -
レストモッドがイメージ 特別なオニツカタイガーの魅力に迫る
2026.6.1オニツカタイガーの新作ドライビングシューズを知る<AD>オニツカタイガーが、“レストモッド”と呼ばれるクルマのレストア&カスタム手法に着想を得たドライビングシューズを発表。4タイプ製作された、「MEXICO 66 DRIVING」のスペシャルバージョンの魅力に迫る。





































