日産ラフェスタ ハイウェイスターG(5AT/FF)【試乗記】
同じ名前の別のクルマ 2011.07.13 試乗記 日産ラフェスタ ハイウェイスターG(5AT/FF)……243万750円
「マツダ・プレマシー」の兄弟車として生まれ変わった、日産のミニバン「ラフェスタ ハイウェイスター」。クルマとしての実力は、どれほどのものなのか?
日産らしいスタイリング
「ラフェスタ」シリーズは3列シート7人乗り、という大容量ピープルムーバーながら、背の高いミニバンというより、どちらかといえばステーションワゴン的な、細長くスマートなスタイリングを特徴としてきた。
今度の「ラフェスタ ハイウェイスター」は、従来型のコンセプトを継承する発展型ではなく、まったく別のクルマとして登場した。その実体は「マツダ・プレマシー」をベースとする、マツダからOEM供給を受ける新型車である。とは言っても外観はプレマシーとは異なり、一見して日産車とわかるスタイリングが与えられている。だから名前は同じでも、モデルチェンジではなく新車種の追加という見方もできる。また従来型も消滅することなく、「ラフェスタJOY」という名で、廉価版のみ継続販売される。これは従来型を利用している現ユーザーにとっても、パーツ供給などの点で有利に働く。
新型ラフェスタ ハイウェイスターのウリは、最新のミニバンらしい空力的なスタイリング、2列目シートの多彩なアレンジによる高い機能性、ローエミッションと低燃費を両立させたエンジン進化型エコカー、といった点だ。もちろん「環境対応車普及促進税制」により、自動車取得税及び重量税の75%、もしくは50%減税の対象となる。
注目のひとつはアイドリングストップ機構を搭載していることだが、試乗日当日は35度を超す猛暑日で、エアコンの運転状況や気温などが設定された諸条件を満たさず、一度も作動することはなかった。これもどんな時でも無条件に停止させれば済む問題ではなく、やはり実情に則した対応という意味では正しい設定と思われる。不要な人向けにもちろんオン/オフスイッチもある。
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マツダゆずりの短所と長所
大きなドアを開けて乗り込めば、敷居やフロアも低め。乗降性は上々だし、目線は高く、視界も良好だ。ボンネットもわずかながら見えるので、この手のクルマにありがちな、前が見えないことによる不安は比較的少ない。唯一の小さな不満は、フロントピラーの三角窓周辺に、ドアミラーのステーを隠すカバーがあり死角になっていること。これはプレマシーそのものも同様で、気になる点として記憶している。ステーそのものは低く下方にあり、なぜ目隠しがあそこまで必要なのか、またなぜ斜めなのか必然性が感じられない。
ラフェスタ ハイウェイスターの特徴のひとつ、両側のスライドドアは確かに便利だ。コンビニの駐車場など狭い場所での開閉は、通常の片開きタイプでは隣のクルマにドアをぶつけてしまいがち。これはドアの厚みだけ、プラスのスペースがあれば十分開閉できる。開閉構造もよく考えられており、ドアの内張りが擦れているように見えるほどギリギリまで詰められている。
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またリアシートからの乗り降りだけでなく、フロントドアの開閉スペースが限られる場所では、前席に座っている人も後方へウォークスルーしての利用が可能だ。電動ゆえ、子供やお年寄りなど非力な人にも優しい。メインスイッチはダッシュボード右にあり、ドライバーのコントロール下にあるという点でも安心できる。
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優れた操縦安定性
走り出せば、エンジン駆動系をはじめとする騒音は低めだし、嫌な振動もなくスムーズだ。バネ系の反発感も少なく、ダンパーはきちんと役目を果たし、おおむね車両姿勢はフラット。凸凹した路面でも水平に移動する感覚は良好に保たれ、総じて快適な乗り心地が得られる。
操縦安定性はこの手のミニバンにしては秀逸。見た目には高そうな重心高もそれなりに対策され、予想以上の低重心を実現している。また広いトレッドや高めのロールセンターも奏功して、上がグラグラするロール感は皆無。バネレートやスタビライザーを固めることなく、スタビリティをしっかり確保している。また最小回転半径は5.3mと小さく、ホイールベース2750mmのクルマながら、狭い路地でもボディを持て余すことはない。
テスト車「G」の直噴エンジンのスペックは、150psと19.0kgm。2リッター4気筒エンジンとして特別パワフルにチューンされてはいないが、高圧縮比エンジン(圧縮比11.5)特有のスロットルを開けた瞬間の好レスポンスを味わえる。
変速機は5段オートマチック。これはフォード系の常で、レバーを前方に倒して「−(マイナス)、手前に引いて「+(プラス)」のマニュアルモード付きとなるが、慣れれば問題なく理論上も正しい。とはいえ長く日産車と付き合ってきたユーザーにとっては、この車種だけ違う(日産車はレバーを前方に倒してプラス、引いてマイナスとなる)というのも戸惑いはあろう。電気接点を入れ替えるだけの簡単な処置で済むのであるから、ちょっと考慮する余地はありそう。
このマツダ製の日産車、思わぬ余得もある。補修パーツや消耗部品の価格はどちらの系列店でも同額であるという。だから出先での緊急調達時など、わざわざ行きつけの店に行かなくとも、どちらかの最寄りで間に合わせることが可能だ。
メーカーやブランドに特別なこだわりを持たないユーザーにとって、プレマシーを選ぶかラフェスタ ハイウェイスターを選ぶかは、主にスタイリングの好みが鍵となろう。ちなみにヘッドランプは両車共通だ。
価格は、エントリーグレードで比べるならラフェスタ ハイウェイスターの方が19万円高いが、豪華になるほど差は縮まり、トップグレード同士では10万円の価格差となる。
(文=笹目二朗/写真=荒川正幸)

笹目 二朗
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