日産ラフェスタPLAYFUL(CVT/FF)/20S(CVT/4WD)【試乗速報】
外の景色に包まれる 2004.12.13 試乗記 日産ラフェスタPLAYFUL(CVT/FF)/20S(CVT/4WD) ……277万2100円/211万500円 日産の“SHIFT_”第5弾「ラフェスタ」。ミニバンの開放感をシフトしたニューモデルにちょっとだけ試乗した『webCG』記者が、その印象を速報でお届けする。プラットフォームはフランス製
日産のニューモデル「ラフェスタ」は、5ナンバー枠に収まるボディをもつ、いわゆるMクラスミニバン。このクラスは各社、伝統的(?)なワンボックスタイプと、乗用車っぽさを演出した2種類がラインナップするのが一般的で、ラフェスタは後者にあたる。競合車は「トヨタ・ウイッシュ」や「ホンダ・ストリーム」だ。
ライバルが流線型フォルムを持ち、スポーティな乗り味を訴求するなか、ラフェスタは「プレーリー」以来の前が乗用車、後ろは“箱型”ボディを踏襲。室内寸法やリアウインドゥを大きく採ったパノラミックキャビン、800×1500mmのガラスを使った「パノラミックルーフ」を標準装備して、ミニバンの開放感をシフトしたと謳われる。スクウェアボディと乗用車的なフロントのつくりによる運転のしやすさ、最小回転半径5.1mの、取り回しがのよいコンパクトボディもポイントである。
ラフェスタは、プラットフォームに「ルノーメガーヌ」と共用の“Cプラットフォーム”を採用、これに日産独自の補強を施した。サスペンション形式は同じ(4WDは完全独自のマルチリンク式)だが、防振インシュレーター付き井桁サブフレームやメンバーはオリジナル。FF車のリアサスに使われるコの字型ビームはメガーヌの横開きに対し、ねじり中心を上げて安定性を高める目的で下開きに改めるなど、日産らしいこだわりが感じられる。
ユニークな魅力とお買い得
自動車ジャーナリストの笹目二朗さんがドライブ、カメラマンが助手席、リポーターはセカンドシートに収まって、SUV風「PLAYFUL」に試乗する。左右と上を移りゆく、外の景色をキョロキョロしながら眺めるのが面白い。まるで、脇から上がガラス張りでできているような、外の景色に包まる感覚は新鮮で、“ミニバンの開放感をシフト”のキャッチフレーズに納得できた。ボディの剛性感は高く、フロア振動やきしみを感じることはない。日産車に共通した美点だと思うが、コーナリング時のロール感に不安はない。一方、ボディ自体はフラットなのに、ゴツゴツした突き上げが感じられるのが気になった。
「20S」の4WDに乗り換えてステアリングを握る。新型2リッターユニット「MR20DE」にCVTを組み合わせたパワートレインは、上り坂でも力強く、静かかつスムーズにクルマを走らせる。先に乗ったPLAYFULと異なり、突き上げ感がすくなく乗り心地は快適。リアサスペンション形式と車重が違うからだろうか。それとも、PLAYFULの試乗車が、オプションの16インチタイヤ+アルミホイールを履くのに対し、20Sは標準の15インチタイヤ+鉄チンホイールだったからかもしれない。他のFF車に試乗できなかったので、購入をお考えの方は、ディーラーで試乗して確かめることをお勧めします。
いすれにしても、ライバルにはない開放感と取り回しのしやすさ、スムーズなパワートレインはラフェスタ以外にないもの。すべて2リッターエンジンを搭載しながら、「20S」のパノラミックルーフレス仕様が178.5万円からという価格設定は、お買い得に感じられると思う。
(文=webCGオオサワ/写真=峰昌宏/2004年12月)
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大澤 俊博
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