大きく分ければ全部で3種類!
複雑怪奇な4WDシステムを学び直す
2019.03.27
デイリーコラム
優れた走破性を見せるパートタイム4WD
4WDのシステムは種類が多く、さらにメーカーによって呼び方が違うため、非常に理解が難しいというのが現状です。そこで、分かりやすいように走行時の駆動状況で分類すると、「パートタイム4WD」「フルタイム4WD」「スタンバイ4WD」の3種類と考えることができます。
最も古典的で優れた悪路走破性能を備えるのがパートタイム4WDです。パートタイム4WDは、通常は2WDで走行し、必要なときだけドライバーが手動で4WDに切り替えるという方式です。手動での切り替えが面倒だったり、センターデフがないため舗装路を4WDで走るのに向いていなかったりといったデメリットがあります。搭載車としては、「スズキ・ジムニー」や「トヨタ・ハイラックス」といった本格オフローダーが代表格。最近では、非常に少なくなっている方式といえるでしょう。
フルタイム4WDにはいろいろな解釈の仕方がありますが、ここでは文字通り、走行している間は常に4輪を駆動するシステムとして説明します。メカニズムとしては、エンジンと前後輪の間にセンターデフ(もしくは、電子制御カップリングなど、それに類する機構)を備えるのが特徴です。現代のモデルの多くは電子制御化されており、走行状況や路面状況にあわせて、前後の車輪へ配分する駆動力を変化させることが可能になっています。日本車では意外と採用が少なく、「WRX STI」や「レヴォーグ」などのスバル車、さらに「トヨタ・ランドクルーザー」などが挙げられます。雨や雪道など、タイヤが滑りやすい場所での安定感に優れるのが最大の魅力ですが、その一方で燃費性能は不利になります。
最も一般的なスタンバイ4WD
スタンバイ4WDは、通常は2WDで走行し、必要なときだけ自動で4WDに切り替わる方式です。「オンデマンド4WD」と呼ばれることもあります。現在、最も一般的な4WDシステムです。前輪と後輪の間に、ビスカスカップリングなどの駆動力を伝える機構を備えており、そこで2WDと4WDを切り替えます。機械式であれば、どこかのタイヤが滑ってから駆動力が4輪に伝わることになるので、悪路走行での安定性はそれほど高いものになりません。ただし、電子制御をうまく使うことで、タイヤが滑る前に予測して駆動力を4輪に伝えることも可能です。
また、最近ではモーターを使った方式も増えています。トヨタの「プリウス」や「C-HR」「日産ノート」などは、リアに独立したモーターを備えることで、必要に応じて4輪を駆動します。エンジンとは関係なく駆動することができるので、いつでも自在に使うことができますが、通常は必要なときにだけ使うスタンバイ4WDとなっています。
スタンバイ4WDがマーケットの主流となった理由は、機構の簡便さにあります。簡便さは価格に反映されるので、ユーザー的には安く4WDシステムを手に入れることができます。また、燃費性能の面からも、常時4WDで走るよりも、必要なときだけ4WDにした方が有利となります。価格が安くて、燃費性能に有利ということで、日本ではスタンバイ4WDが主流となっているのです。また、採用車種が多いのでシステムも多彩に用意されており、その性能は一律ではありません。高性能なものになると、ほとんどフルタイム4WDと変わらないほどの走行安定性を実現しています。
本当にひどい悪路を走るのであれば、おすすめはパートタイム4WDとなります。また、ぬれた路面や雪道での走行性能を重視するのであればフルタイム4WD。コストや燃費、走行性能をバランスよく得たいのであればスタンバイ4WDがおすすめとなります。
(文=鈴木ケンイチ/写真=FCAジャパン、トヨタ自動車、アウディ ジャパン、日産自動車/編集=藤沢 勝)

鈴木 ケンイチ
1966年9月15日生まれ。茨城県出身。国学院大学卒。大学卒業後に一般誌/女性誌/PR誌/書籍を制作する編集プロダクションに勤務。28歳で独立。徐々に自動車関連のフィールドへ。2003年にJAF公式戦ワンメイクレース(マツダ・ロードスター・パーティレース)に参戦。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを“分かりやすく”“深く”説明することをモットーにする。
-
電動化された新型「A110」の登場はいつ? 来日したアルピーヌのクリエフCEOに未来戦略を聞くNEW 2026.10.12 アルピーヌのフィリップ・クリエフCEOが来日し、現在推進している戦略を報道関係者に説明した。なかでも気になったのは電動化された新型「A110」と、「A110Rウルティム」に相当する特別な超高性能モデルの存在だ。その内容とは?
-
パナソニックが市販カーナビを終売! 巨人の撤退からカーエレクトロニクスの変化を読み解く 2026.10.9 パナソニックが、市販市場向けカーナビゲーション、ドライブレコーダー、リアビューカメラの終売を発表! カーエレクトロニクス界の巨人は、なぜ市場からの撤退を選んだのか? 変化し続けるマーケットの在りようを振り返り、車載機器の未来を考察した。
-
「アプライドD」で何が変わった? スバルの「インプレッサ」と「クロストレック」の進化を探る 2026.10.8 スバルが「インプレッサ」と「クロストレック」の改良モデル「アプライドD」を発表した。モデルライフの折り返し地点となる今回の改良では、ラインナップの刷新がトピック。その内容とスバルの狙いを、スバリスト玉川ニコ氏が解説する。
-
咆哮なき電気自動車「ジャガーTYPE 01(タイプ01)」に“ジャガーの魂”は宿るのか? 2026.10.7 いよいよ正式デビューを飾った、新生ジャガーのラグジュアリー4ドアGT「TYPE 01(タイプ01)」。いったいどんなクルマなのか、従来のファンも納得できる“ジャガーらしさ”はあるのか? 先行チェックした西川 淳がリポートする。
-
人件費不要の自動運転タクシー導入! で、料金はどうなる? 2026.10.5 運転手がいない完全無人の自動運転タクシーが、2027年中に国内で運用される見通しとなった。では、われわれユーザーが享受できる具体的な恩恵は? 望ましい料金とは? 清水草一はこう考える。
-
NEW
スズキ・ジムニー ノマドFC(後編)
2026.10.11ミスター・スバル 辰己英治の目利きスズキが誇る本格オフローダー「ジムニー ノマド」に、“ミスター・スバル”こと辰己英治さんが試乗。クラシックなクロスカントリーモデルの舗装路での振る舞いは、かつてスバルでクルマの走りを鍛えてきた彼の目にどう映るのだろうか? -
あの多田哲哉の自動車放談――ホンダCR-V e:HEV RSブラックエディション
2026.10.9webCG Moviesホンダを代表するSUV「CR-V」に、トヨタでさまざまなクルマを開発してきたエンジニア、多田哲哉さんが試乗。その仕上がりにどんなことを思ったのか、動画でリポートします。 -
パナソニックが市販カーナビを終売! 巨人の撤退からカーエレクトロニクスの変化を読み解く
2026.10.9デイリーコラムパナソニックが、市販市場向けカーナビゲーション、ドライブレコーダー、リアビューカメラの終売を発表! カーエレクトロニクス界の巨人は、なぜ市場からの撤退を選んだのか? 変化し続けるマーケットの在りようを振り返り、車載機器の未来を考察した。 -
フェラーリ・プロサングエ ハンドリング スペチアーレ仕様(4WD/8AT)【海外試乗記】
2026.10.8試乗記フェラーリの4ドア4シーターモデル「プロサングエ」に、「ハンドリング スペチアーレ」を名乗るスペシャルバージョンが登場。その走りは従来モデルからどのように変わったのか? 跳ね馬の原産国、イタリアで確かめた。 -
「アプライドD」で何が変わった? スバルの「インプレッサ」と「クロストレック」の進化を探る
2026.10.8デイリーコラムスバルが「インプレッサ」と「クロストレック」の改良モデル「アプライドD」を発表した。モデルライフの折り返し地点となる今回の改良では、ラインナップの刷新がトピック。その内容とスバルの狙いを、スバリスト玉川ニコ氏が解説する。 -
“クルマづくりのプロ”の話をライブで配信! 「あの多田哲哉のクルマQ&A」公開収録のお知らせ
2026.10.7From Our Staff元トヨタの多田哲哉さんが、自動車に関するさまざまな疑問・質問に答える「あの多田哲哉のクルマQ&A」。その話がライブで聞けて質問もできる公開収録を、10月15日(木)の夜、19時半から実施します。



