SFの世界が現実に! 日本生まれの空飛ぶバイクはどんな未来を切り開く?
2021.10.18 デイリーコラム「バイクみたいなカタチ」は重要
今、世界中で空飛ぶクルマ、空飛ぶバイクの開発が進められている。このカテゴリーでは出遅れていた感のあった日本だが、数社が開発に乗り出し、飛行に成功。市販化を発表する会社も出てくるまでになった。今回紹介するA.L.I. Technologies(エーエルアイテクノロジーズ)の「XTURISMO(エックスツーリスモ)」もそんな一台である。
A.L.I. Technologiesは、クルマやバイク、ドローンなどが自由に行き交うエアモビリティー社会の実現を目指しており、2021年10月26日にエックスツーリスモの受注を開始。2022年前半からの納入を予定している。
エックスツーリスモはエンジンとモーターを動力源とし、機体の前後に計2つのメインローター、その左右に計4つのサブローターを配置。これらのローターの推力を変化させて機体を傾かせ、前後・左右・上下の移動を可能にしている。操縦装置とシートはバイクを強くイメージさせるものになっているが、基本的な飛行原理は、撮影などで使用されているドローンと同じだ。
電子制御による自律制御で機体の安定は自動的に保たれ、操作系はハンドルとグリップまわりのスイッチのみと非常にシンプル。フットコントロールもない。複雑なデバイスを備えた最近の地上を走るバイクよりも操作は簡単そうにみえる。
こういったデザインや操作系は、新しいエアモービルにとって非常に重要な要素となる。空を飛びたいと思う人は世の中に多いのだが、難しい操作を想像して尻込みしてしまったり、空を飛ぶということ自体、違う世界のことのように考えたりしていることが多い。慣れ親しんだバイクやクルマをイメージする操作系やコックピットは、そういったハードルを取り去り、「これなら自分でも飛ばせそうだ」と考えてもらうことにつながるはずだ。
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大きな一歩には違いない
これまであったドローン技術を応用し、人間を乗せて飛び上がる推力を確保することさえできれば、(もちろん二重三重の安全対策は必要になるものの)機体を開発する技術的難易度はそれほど高くない。
しかし、問題はその先である。空飛ぶクルマ、バイクに関しては法規制が整っていない。高度をさほど上げず、地表近くでデモフライトやテストを行うことはできても、2点間を移動するような飛行となるとハードルは一気に跳ね上がる。
既存の飛行機やヘリコプターが空域、ライセンス、整備、安全対策などに関して厳しく定められているように、空飛ぶバイクや空飛ぶクルマを一般ユーザーが使って、移動できるようになるまでには多くの法的・技術的な課題を解決していかなければならない。しかも、ユーザーに多くの費用や労力を負担させることになってしまったら、身近な乗り物として普及させていくことも難しくなってしまう。エックスツーリスモに関しても、現在想定されている使い方は「緊急時の人命救助」「各国の現行法に基づいた海、砂漠、特区、サーキット等での利用」である。
日本では2023年以降、空飛ぶバイクとクルマに関しての法整備が行われる予定だ。現状では、新しいカテゴリーの乗り物を一般的なトランスポーテーションシステムとして広げていくための道筋は見えていないが、少しずつ模索しながら空への道が開かれていくことになるだろう。その内容に基づき、エックスツーリスモも姿を変えていくはずだ。道は険しく、日本の空がどのように変わっていくのか想像もできない。しかしエックスツーリスモの市販が、未来のエアモビリティー社会に向けた最初の一歩を踏み出すことになるのは間違いない。
(文=後藤 武/写真=A.L.I. Technologies、webCG/編集=関 顕也)
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後藤 武
ライター/エディター。航空誌『シュナイダー』や二輪専門誌『CLUBMAN』『2ストマガジン』などの編集長を経てフリーランスに。エアロバティックスパイロットだった経験を生かしてエアレースの解説なども担当。二輪旧車、V8、複葉機をこよなく愛す。
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