ヤマハが新たな安全ビジョンを発表 ユーザーと共に無事故を目指す

2022.11.11 自動車ニュース webCG 編集部
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ヤマハ発動機の日高祥博 代表取締役社長と、「転ばないバイク」を実現するシステム「AMSAS」の実験車両。
ヤマハ発動機の日高祥博 代表取締役社長と、「転ばないバイク」を実現するシステム「AMSAS」の実験車両。拡大

ヤマハ発動機は2022年11月11日、「人機官能×人機安全」を同社の新たな安全ビジョンに制定したと発表した。

ヤマハの発表会で示された、交通事故に関する資料。残念ながら、二輪の交通事故死亡者数はこの30年間で増えている。
ヤマハの発表会で示された、交通事故に関する資料。残念ながら、二輪の交通事故死亡者数はこの30年間で増えている。拡大
「ヤマハ・トレーサー9 GT+」。ヤマハのバイクとしては初めて、アダプティブクルーズコントロールが備わっている。
「ヤマハ・トレーサー9 GT+」。ヤマハのバイクとしては初めて、アダプティブクルーズコントロールが備わっている。拡大
「トレーサー9 GT+」はミリ波レーダーも搭載。前走車との車間距離をセンシングしライダーのブレーキ入力が不足していると判断した場合、前後配分を調節しながら自動でブレーキ力をアシストするユニファイドブレーキシステムを装備している。
「トレーサー9 GT+」はミリ波レーダーも搭載。前走車との車間距離をセンシングしライダーのブレーキ入力が不足していると判断した場合、前後配分を調節しながら自動でブレーキ力をアシストするユニファイドブレーキシステムを装備している。拡大
「トレーサー9 GT+」のメーターパネル。表示部の左端に、アダプティブクルーズコントロールのアイコンが表示されている。
「トレーサー9 GT+」のメーターパネル。表示部の左端に、アダプティブクルーズコントロールのアイコンが表示されている。拡大
試験走行中に臨む「AMSAS」搭載車両のイメージ。極低速どころか静止状態でも自立できている。ヤマハでは、同システムの市販車両への実装を目指して開発を続けていくという。
試験走行中に臨む「AMSAS」搭載車両のイメージ。極低速どころか静止状態でも自立できている。ヤマハでは、同システムの市販車両への実装を目指して開発を続けていくという。拡大

「人機官能×人機安全」は、「『技術』『技量』『つながる』を軸とした安全をもとに、ユーザーが楽しみながらその能力を高められることで得られる喜びや感動を提供し、お客さまと共に『事故のない社会』を目指す」というヤマハの考えを表現したもの。

主要34カ国で記録された交通事故の統計データによれば、四輪の交通事故死者数が1990年から2020年までの30年間で逓減している一方、二輪の同死者数は逆に増加。これに加えて、近年の日本市場で増えている若年ライダー・女性ライダーの安全に対する意識が高いことが、今回のビジョンを示す根拠になったという。

同社の調べでは、二輪車事故の70%は「事故のきっかけが生まれてから1~2秒」という短い時間で発生しており、しかも適切な回避行動が困難という現実がある。

こうした事故の悲劇をなくすために、まずは事故そのものが起こらないようにする「危険予知運転アシスト」(=二輪ライダーの過失に対する支援)と「被害防止・防衛運転アシスト」(=四輪ドライバーに対する支援)を検討。さらに、事故が起きてしまってからの「緊急回避アシスト」(=上記、短時間での発生に対する支援)と「被害軽減」(=万が一の事故に備える支援)に取り組んでいるという。

その具体的な例として、今回は以下の技術が紹介された。

【ミリ波レーダーを使った「レーダー連携ユニファイドブレーキシステム」】
先行車との相対速度に応じて、一定のブレーキ入力でも前後のブレーキ配分を調節して適切な減速が可能。同時に前後サスペンションの減衰力も調節され、急激なノーズダイブ等が回避される。

【協調型高度道路システム】
無線通信により四輪・二輪同士が位置や速度などの情報を交換することで、四輪車との間で生じる二輪車の事故を未然に防ぐ技術。クルマやインフラもシステムを導入する必要があり、現在はホンダやBMWをはじめとする二輪メーカーや大学などの研究機関、ユーザー団体など18の組織が「Connected Motorcycle Consortium」を形成。二輪車協調型高度交通システムの構築・普及に向けた活動を行っている。

【AMSAS(アムサス:Advanced Motorcycle Stability Assist System)】
5km/h以下の低速走行でも車両のふらつきを抑えられる制御技術により、誰もが安心して快適に車両との一体感を楽しめるようにする技術で、いわゆる「立ちゴケ」やブレーキロック時の転倒を防止する。既存モデルへの適用度の高い構造とされている点も長所とされる。

ヤマハでは、これら「技術」の開発のほか、安全運転教室の開催などを通じてユーザーの「技量」向上に取り組み、クラウドデータを生かして人と機械(マシン)との「つながり」の強化し、ユーザーと共に事故のない社会を目指したいとしている。

(webCG)

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