第423回:コージの勝手に大予言2011 その2
Vivaマツダ!! デザインに大修正入りますっ!
2011.01.28
小沢コージの勢いまかせ!
第423回:コージの勝手に大予言2011 その2 Vivaマツダ!! デザインに大修正入りますっ!
東洋人と欧米人は違う
ってなわけで、前々回にひき続きVivaマツダ!! の話。
マツダがいい意味で“ガラパゴス化”しなければいけないってことは、エンジニアのみなさんはよく分かっているみたい。ただし、彼らが自覚している生命線は、一連の「スカイアクティブ」技術以上に「デザイン」にあるようだ。
そりゃそうだ。クルマが技術以上に人間の心に素早く、分かりやすく訴える要素はカタチであることに間違いはない。しかも、売れる売れないは別として、その鮮烈さと一貫性でもって、今の日本でヨーロッパブランドに太刀打ちできるブランドはマツダしかない! と思う。これって俺だけじゃなく、日本のクルマ好きなら誰もが認めるとこだと思うけどね。
マツダの現デザイン部門トップは、2009年にデザイン本部長に就任した前田育男さん。俺が最も好きな国産車の現行「デミオ」や「RX-8」を手掛けた人でもある。
こないだのスカイアクティブ試乗の際、同時に新しいデザインテーマである「魂動(KODO)=Soul of Motion」の説明も受けた。これが反映されたコンセプトカーが3月のジュネーブショーで出るクロスオーバーの「勢(MINAGI)」や現物を見せてくれた「靭(SHINARI)」だ。この路線を一般の人や業界関係者がどう捉えるかはともかく、前田さんの言う「動きの表現で、世界のトップになりたい」って気持ちは、俺にはすごく伝わってきた。
というか、マツダが目指してる世界は「動きの表現」だったのかと改めて確認できたし、そこがグローバルデザインに見えるポイントなんだと感じた。他の日本車はどっちかっていうと止まってるデザインが多いもんね。
MINAGIもSHINARIも、特有の5角形グリルから始まるラインが、それぞれボンネット、フェンダー、バンパーサイドスカートあたりを通って、調和しつつもなまめかしくリアに集結する。その途切れのなさが奇麗だし、しかも過剰に肉食系マッチョでないところがいい。
とりあえずその評価は今後に譲るとして、今回俺が感じたのはそこにある東洋人と欧米人のデザイン感覚の違いだ。
“進化”でなく“深化”するマツダデザイン
実はここ数年のマツダデザインは、2009年にルノーに引き抜かれたオランダ人のローレンス・ヴァン・デン・アッカー氏がリードしてて、その特徴は彼独特のグラフィック感覚にあったという。
たとえば以前のデザインコンセプトの「流(NAGARE)」はどっからどうみてもオリエンタル、つまり東洋的。特にフロントやドアパネルのうねりにしろ、そのまんま「枯山水」や「浮世絵」に出てきそうな和の世界じゃないですか。それは市販車にも反映されてて、それがミニバンの「ビアンテ」や「プレマシー」なわけですよ。
なかでもプレマシーのうねったサイドのプレスラインは賛否両論で、「面白い!」ってのと「ヤリ過ぎ!」の二通り。俺は面白いと思ってたけど、今回前田さんと話してると、つくづくあのデザインは欧米人のセンスだったよう。
よく海外の有名サッカー選手が漢字でタトゥーを入れてたり、昔、外人レスラーが胸に「一番」って書いたTシャツ着てたりしてたけど、少しソレに似ている。彼らはあんな感じで東洋文化を屈託なく面白がるが、日本人からすると少々ヤリ過ぎで、前田さんもそう思っていたらしいのだ。
よって新前田ディレクションでは、今までのグラフィックをやめ、同時に従来のマツダ流コンセプトを、「進化ではなく、深化させる」という。ここ数年のマツダデザインは必ず「水の流れ」や「空気の流れ」を表現してたけど、テーマは変えずに「よりカタチに魂を込める」と言うのだ。それが「魂動」に込められた意味。
しかし面白いのはこうやってデザイナーと話してると、元ピニンファリーナの奥山清行さんにせよ、元アウディの和田智さんにせよ、テーマが哲学的な話になってくること。今回の前田さんも「イタリア人は本能で造形を作っちゃうけど、日本人は理屈と本能で作る」と教えてくれた。それもなんとなく分かる。
心に響くお題目がありつつ、自然に生まれるヒラメキを生かす。それが優秀な日本人デザインの手法だという気がするのだ。それはスポーツ選手もそうで、あの名言多いイチローだって、理屈とフィーリングの両方を大事にしてる感じじゃないですか。
ってなわけで、技術的にもデザイン的にも新たな次元に入ってきたマツダ。スカイアクティブにも注目だけど、SHINARIデザインにも注目なのだっ!!
(文と写真=小沢コージ)

小沢 コージ
神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 YouTubeチャンネル『小沢コージのKozziTV』
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