ヤマハが新型「ナイケンGT」を発売 独創の三輪スポーツバイクが2世代目に進化
2023.07.07 自動車ニュース![]() |
ヤマハ発動機は2023年7月7日、三輪の大型モーターサイクル「NIKEN(ナイケン)GT」をモデルチェンジし、受注生産にて販売を開始した。
より大型のエンジンを搭載しドライバビリティーを向上
ナイケンは、ヤマハが「LMW(Leaning Multi Wheel)」と呼ばれる独自技術を取り入れて開発したフロント二輪の大型バイクとして、2018年に登場。三輪のモデルでありながら、コーナーでは通常のモーターサイクルのように車体を傾けることができ、既存のモデルにはない高い走行安定性とスポーティーな走りを両立していた。2019年には、同車をベースに大型のウインドスクリーンなどを備えたツーリングモデル、ナイケンGTが登場。現在はこちらのモデルのみが販売されている。
今回のモデルチェンジでは、「Evolution for high-end touring」をコンセプトに開発を推進。長距離ツアラーとしての快適性と積載性の向上が図られている。
従来型からの変更点は多岐にわたり、エンジンについては845ccから888ccに排気量を拡大した直列3気筒ユニット「CP3」を採用。より余力のあるパワーと、力強いトルクを実現したという。またクランクウェブの形状を見直すことで、クランク慣性モーメントを8%改善。各種制御や吸排気系とのマッチングを図りながらドライバビリティーの向上を図っている。さらに電子制御スロットルには「APSG(Accelerator Position Sensor Grip)」を追加し、よりナチュラルな操作性を実現したという。
一方、車両骨格については、ヘッドパイプまわりに鋳造スチールを、リアブラケットまわりに鋳造アルミを、メイン部分にスチールパイプを用いるハイブリッド構造は踏襲しつつ、メイン部分を中心にフレームを刷新。パイプ径やその取りまわし、エンジン懸架点などを見直すことで、LMWならではの安定感は維持しつつ、よりスポーティーなハンドリングを追求している。さらにリアサスペンションでは、高い安定性を発揮するフロントとのバランスを考慮し、セッティングとアームリレイ(リンク)を変更。リンクレバーとバネ下重量を最適化することで、1人乗車時にはしなやかにストロークし、2人乗車時やフル積載時にもゆとりあるクッション性を発揮する特性を実現したとしている。
ライディングをアシストする装備も充実しており、先代モデルと同じく、アシスト&スリッパークラッチや3つのエンジン特性を選べる「D-MODE」(走行モード切替システム)、クルーズコントロールなどを標準で採用。変速時のクラッチおよびエンジン操作を不要にするクイックシフターは、従来のシフトアップに加え、シフトダウンにも対応する新タイプに変更した。
装備のアップデートでツーリングをより快適に
このほかの装備もアップデートしており、メーターには3つの表示デザインが用意された7インチ高輝度TFTモニターを採用。スマートフォンとの連携機能付きで、ライダーの端末にアプリ「MyRide - Link」をインストールし、Bluetooth経由で車両と接続すると、着信やメール受信、現在地周辺の天気、再生中の音楽情報など、スマートフォンの情報を車載モニターに表示することが可能だ。さらにヤマハとガーミンが共同開発した二輪用ナビアプリ「Garmin Motorize」をインストールすれば、車載モニターでナビ機能も利用できるという。
さらにツーリング時の快適性を高める装備として、最大70mmのスライド量を持つ高さ調整機能付きのスクリーンや、別売りのハードタイプサイドケースを固定するための上部ステーなどを採用。シートも内腿が触れる部分の形状とシートパッド厚を変更して足つき性を高めるなど、機能性の改善を図っている。
カラーリングは新色の「ヤマハブラック」のみ。価格は220万円。
【主要諸元】
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=2150×875×1395mm
ホイールベース:1510mm
シート高:825mm
重量:270kg
エンジン:888cc 水冷4ストローク直列3気筒DOHC 4バルブ(1気筒あたり)
最高出力:116PS(85kW)/1万rpm
最大トルク:91N・m(9.3kgf・m)/7000rpm
トランスミッション:6段MT
燃費:18.4km/リッター(WMTCモード)
(webCG)