アバルト500e【海外試乗記】
アイデンティティーはそのままに 2023.07.14 アウトビルトジャパン アバルト初の電気自動車「アバルト500e」でファーストドライブ。完全なモーター駆動のクルマになっても、アバルトはやっぱりアバルトだった!? その走りの印象を報告しよう。※この記事は「AUTO BILD JAPAN Web」より転載したものです。
自慢の音も状況次第
アバルトブランドのファンは、1949年に設立されたアバルトのチューニング工場から同ブランド初の電気自動車が登場する際、“サウンド”を求める傾向が強かった。そのためアバルト500eは、ガソリンターボエンジンを搭載した兄弟たちと同じように“うなり声”を上げるようになったのだ。
しかしその出どころは、「アバルト695」のような4本出しエキゾーストシステムではなく、リアエプロン裏のラウドスピーカーである。これにより、内燃機関搭載モデルに驚くほど近い、人工的なエンジン音を発生する。停車中は不規則なうなりを聞かせ、走りだすと、ゴロゴロと深い音があがる。そしてそのサウンドは、スピードが上がるに連れてどんどん大きくなる。だがアバルト500eには、ギアは1段しかない。
正直なところこの音は、田舎道ではかなり楽しいが、市街地では余計なものだ。幸い、ウーファーはオフにできるが。
マッジョーレ湖周辺での試乗では、合成されたごう音をまき散らすことなく、電気自動車らしく静かに滑走した。曲がりくねった田舎道では、アバルト500eは高速道路よりもはるかに快適に感じられた。
拡大 |
パワーアップしたスコーピオン
アバルト500eはアバルト695に比べて350kgほど重いが、ホイールベースが長く、トレッドが広く、重心が低く、重量配分が有利であるため、直接比較するとプラスに働く。スポーツサスペンションと専用タイヤのおかげで、スコーピオンはまるでゴーカートのようにコーナーを駆け抜ける。アバルト500eのリアは、カーブや段差でのブレーキング時に、それほど神経質には反応しない。。
アバルト500eは、ドライブトレインと容量42kWhのバッテリーをフィアットの姉妹モデルと共有している。しかし、出力は37PS高い。それでもアバルトにとって155PSという最高出力は決して爽快に思えるものではない。なにせ695には180PSのモデルが用意されているのだ。
最高速155km/h、0-100km/h加速7秒というアバルト500eのパフォーマンスは、スポーティーな電気自動車のなかでは平凡だ。少なくとも、市街地での通常の速度では、電気自動車は内燃エンジン車より俊敏ではあるが。
一方、電力消費量は多めである。比較的小さなバッテリーとの組み合わせは決して良いものではない。アバルト500eは走行250kmごとに充電しなければならないのだ。キビキビと走れる「スコーピオントラック」という走行モードを選び、回生せずにディスクブレーキのみで減速を行った場合、一充電で200km走るのも難しいかもしれない。
拡大 |
内装のほうが気になる
毎日の通勤では、「ツーリズモ」モードが適している。パフォーマンスは136PSに抑えられるが、市街地では十分なパワーといえる。アクセルペダルを離すと、電気モーターへのエネルギー回生が行われる。かなり強いブレーキ効果が得られ、停止状態まで減速するのに十分だ。
派手なボディーカラーを除けば、アバルト500eは姉妹車である「フィアット500e」と外観上はほとんど変わらない。しかし、車内の違いはもっと大きい。
背面にサソリのエンボス加工が施された上質なアルカンターラ製のスポーツシートは標準装備。このシートは横方向のサポートは十分だが、内燃エンジンを搭載するアバルトのシェルよりも明らかに快適だ。運転席は高さ調整も可能。前後および上下方向に調整可能なアルカンターラ仕上げのステアリングホイールと相まって、標準的なイタリアンサイズよりも背の高い人でも、リラックスした姿勢をとることができる。結局のところ、アバルトは自国以外にもファンがいるのだ。
(Text=Christian Schon/Photos=Abarth)
記事提供:AUTO BILD JAPAN Web(アウトビルトジャパン)
拡大 |

AUTO BILD 編集部
世界最大級のクルマ情報サイトAUTO BILDの日本版。いち早い新車情報。高品質なオリジナル動画ビデオ満載。チューニングカー、ネオクラシックなど世界のクルマ情報は「アウトビルトジャパン」でゲット!
-
【ニュース】高性能を誇るBMWのラグジュアリーエステート「M5ツーリング」が復活! その魅力とは? 2024.9.6 高性能サルーン新型「BMW M5」に続き、そのワゴンバージョンたる新型「M5ツーリング」が登場。ユーティリティーからスリルまで幅広いニーズをパーフェクトに満たす“スーパーワゴン”とは、どんなクルマなのか?
-
MINIクーパーSE(FWD)【海外試乗記】 2024.8.21 電気自動車でも内燃機関車でも、常に「クーパー」と呼ばれるようになった新型MINIのハッチバック。価格にデザイン、パワーユニット、装備、そしてドライビングテストリポートと、新しくなったMINIクーパーの全情報をお届けする!
-
スズキ・スイフト(FF/5MT)【海外試乗記】 2024.8.20 世界で900万台以上が販売されてきた大人気モデル「スズキ・スイフト」。7代目となる新型は、海外でどのように評価されているのか? これまでの成功をさらに発展させることを目指し、スズキが投入した小さな巨人に、『AUTO BILD』のスタッフが試乗した。
-
スマート#1ピュア(RWD)/#1ブラバス(4WD)【海外試乗記】 2024.8.20 続々とラインナップを拡大している、スマートブランドのフル電動SUV「スマート#1」とはどんなクルマなのか? その価格とデザインからパワーユニット、イクイップメント、試乗した印象まで、すべての情報をお届けしよう。
-
【ニュース】電動ルノー・トゥインゴの最新情報 2024.8.15 ルノーの電気自動車(BEV)を手がける新会社アンペアが、2025年にコンパクトBEVとして「トゥインゴ」を復活させる。初代トゥインゴを想起させるデザインや価格、そしてパワーユニットまで、現時点でのすべての情報をお届けする。
-
NEW
「洗車でボディーにキズがつく」って本当ですか?
2026.4.21あの多田哲哉のクルマQ&Aマイカーは常にきれいな状態で維持したいものの、クルマ好きの間では「洗車することでボディーにキズがつく」「洗いすぎは害になる」という意見もある。実際のところ、どうなのか? 元トヨタの多田哲哉さんに聞いてみた。 -
ディフェンダー110 X-DYNAMIC HSE P300e(4WD/8AT)【試乗記】
2026.4.20試乗記本格クロスカントリービークルの「ディフェンダー」にプラグインハイブリッド車の「P300e」が登場。電気の力を借りて2リッターターボとしては格段にパワフルになった一方で、カタログ燃費はなかなか悲観的な数値を示している。果たしてその仕上がりは? -
ポルシェジャパンのイモー・ブッシュマン社長に聞く 日本での展望とスポーツカーの未来
2026.4.20デイリーコラム2025年8月に着任した、ポルシェジャパンのイモー・ブッシュマン新社長。彼の目に日本はどう映り、またどのような戦略を考えているのか? 難しい局面にあるスポーツカーや電気自動車の在り方に対する考えを含め、日本における新しいリーダーに話を聞いた。 -
スバル・ソルテラET-HS(前編)
2026.4.19ミスター・スバル 辰己英治の目利きスバル&STIでクルマを鍛えてきた辰己英治さんが、“古巣”スバルの手になる電気自動車「ソルテラ」に試乗。パワートレインの電動化以外にも、さまざまな試みが取り入れられた一台を、ミスター・スバルはどう評価するのか? -
第57回:スズキはなぜインドに賭ける? 変わらず牛が闊歩するインドの最新工場を小沢コージが直撃
2026.4.18小沢コージの勢いまかせ!! リターンズ小沢コージがインドへ。日本の自動車ファンにとってインドといえばスズキのイメージだが、実はスズキは現在、インドへの大型投資の真っ最中だ。なぜスズキはインドでこれほどまでに愛されるのか。最新工場を見学して考えた。 -
ボルボXC90ウルトラT8 AWDプラグインハイブリッド(4WD/8AT)【試乗記】
2026.4.18試乗記2016年に上陸した2代目となるボルボのフラッグシップSUV「XC90」の最新アップデートモデルに試乗。パワフルなプラグインハイブリッドシステムを採用する3列シートSUVの走りを、先にステアリングを握った「V60」や「XC60」との比較を交えながら報告する。
































