MINIカントリーマンSE ALL4(4WD)/ジョンクーパーワークス カントリーマン(4WD/7AT)
丸くなって二重丸 2024.03.12 試乗記 「クロスオーバー」改め「カントリーマン」として世代交代を果たした、MINIブランドのSUVモデル。従来のイメージとは異なる、その乗り味とは? 新たに設定されたフル電動モデルと合わせて、ポルトガルからリポートする。ひと回り大きくなった
初代の登場から14年。MINIブランドにあってサイズ的にもアーキテクチャー的にも別物となるクロスオーバーは、ファミリーニーズも満たせる一台として一定の支持を得てきた。
その新型の、日本における最も大きなトピックとなるのが車名変更だ。日本での商標がBMW側に移管したことで、3代目にしてクロスオーバー改め、グローバルで用いてきたカントリーマンを名乗れるようになった。
新型カントリーマンのベースとなるプラットフォームは、UKL2型をベースに、PHEVやBEVなど多様な電動化にも対応できるようにモディファイされたFAAR型を採用……と、ここで勘のいい読者の方ならお気づきだろう、先に投入されたBMWの「X1」や「X2」とカントリーマンは骨格的には兄弟関係にある。
となると、気になるのはそのサイズだ。ホイールベースは3モデルとも同じ2690mm。ちなみに先代にあたるクロスオーバーより20mm長い。ボディーサイズは全長4445×全幅1845×全高1660mmで、先代クロスオーバー比で130mm長く、25mm幅広く、65mm高い。単純に数字比較すると、ちょっと短い「マツダCX-5」という感じだろうか。そんなわけで前型に比べると新型、見た目印象的には完全にひと回り大きく映る。コンパクトであることに過度な期待はしないほうがいいと思う。
車内はすっかり様変わり
ただし、そのぶん室内空間もMINIの系譜とは思えないほどに広々としている。リクライニング機能付きの後席はレッグスペースもたっぷりとられており、座面高も適切に設定されているので背の高い成人男性でも窮屈感なく座れるだろう。荷室容量も後席使用時で最大505リッター、後席を畳めば1530リッターと前型以上、かつ十分な容量が確保されている。
その開放感は前席にいても享受できる。ダッシュボードまわりのデザインは大きく変わり、形状的にも仕上げ的にも軽快なしつらえとなった。また、シフトレバーをバイワイヤ化してコンパクトにまとめることでセンターコンソールまわりもすっきりした配置となっている。座っての囲まれ感が軽減されたのは、これらの意匠変更によるところが大きい。
メーターまわりは新世代の「MINIクーパー3ドア」と同様、センターの単眼式となるが、中身は9.45インチの円形OLEDタッチパネルを採用しており、輪郭のくっきりした繊細な表示が可能なものとなった。速度は常に上縁部に表示される仕組みだが、グレードによっては情報視認性を補完するポップアップ式のHUD(ヘッドアップディスプレイ)も用意されている。
種類豊富なパワートレイン
日本仕様におけるカントリーマンは、パワートレイン別に1.5リッター3気筒ガソリンの「C」、2リッター4気筒ディーゼルの「D」、2リッター4気筒ガソリンの「S」、そしてSのハイチューン版となる「ジョンクーパーワークス」の4種類が用意される。うち、Sとジョンクーパーワークスのドライブトレインには、前後100:0~50:50の駆動配分を多板クラッチによってオンデマンド制御する4WDシステム「ALL4」を搭載。トランスミッションは全グレードで7段DCTを採用する。
加えて、カントリーマンには初のBEVモデルも用意される。グレードは1モーター前輪駆動の「E」と2モーター四輪駆動の「SE ALL4」で、搭載するバッテリーの容量はともに66.45kWh。欧州WLTPモードでの航続距離は、Eが462km、SEが433kmと発表されている。
試乗したのは内燃機モデルのジョンクーパーワークスおよびBEVモデルのSEと、ともに最上位となるグレード。後席居住性や積載力の点でいえば、バッテリー搭載によって床面が底上げされるBEVの側が足のおさまり的に不利になるのは致し方ない。でも前後席間は同様に広いので、やや小柄な大人か子どもであれば十分くつろげる空間に仕上がっているといえるだろう。
最新の「BMW OS 9.0」に準拠しながら、MINI独自のポップなグラフィックや演出効果も加えたインフォテインメントシステムは、新しいカントリーマンで無視できないセリングポイントといえる。サードパーティーのアプリによる機能拡張にも対応しており、今後、普及に比例してさまざまなサービスのアドオンも期待できそうだ。
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よりファミリーカー的性格に
走りについては、前型のクロスオーバーと比較すると、日常域での乗り心地ははっきりとクオリティーを高めている。操舵初期からビシビシとゲインが立ち上がり、少ない操舵でもスパッとコーナーをかっさばいていくイメージの強いMINIにあって、新型カントリーマンはクイックでありながら足をしっかり動かして接地感を伝えてくる、そんなしなやかさが加わった。
横っ飛びしそうなわかりやすいゴーカートフィールという点では後退したかもしれないが、そこはすぐ後に控える新しい3ドアのMINIクーパーが受け持つことになるのだろう。そして、そのぶんクルマとの対話度は緻密になり、旋回Gがコントロールしやすくなったことはファミリーカー的な用途からみれば前向きに評価できる。ただし、そういう繊細な運転を意識し始めると、ステアリングのえらく太い握り径がなんとも惜しく感じられる。
この足まわりのセットアップもあって、乗り心地は総じて平穏だ。最もとがったキャラクターであるはずのジョンクーパーワークスでさえ、路面のアタリはまろやかで連続する凹凸での追従性も高く……と、上質な印象が前に出てくるほどだ。今回は試乗できなかったSやDといったグレードであれば、相当な快適性が期待できるだろう。そしてBEVのSEの側も自重と低重心が生きて、さらにすわりのいい乗り味をみせてくれる。
前型のクロスオーバーは走らせていて活気がみなぎる一方で、ちょっとがさつで落ち着きに欠ける面もあったように思う。対すれば新型カントリーマンはCセグメント級のクルマとしてライバルときっちり対峙(たいじ)できる動的質感を手に入れたといえる。ましてや同門のX1やX2と比べても決定的な見劣りはなく、そのうえでオプションうんぬんによる装備差はあれど価格は抑えめに設定されている。デザイン的な個性もさることながら、現実的な商品力という点でみても面白い立ち位置ではないだろうか。特にBEVのSEについては、インフォテインメントの新しさも含めてかなり魅力的な選択肢だと思う。
(文=渡辺敏史/写真=BMW/編集=関 顕也)
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テスト車のデータ
MINIカントリーマンSE ALL4
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4445×1845×1660mm
ホイールベース:2690mm
車重:--kg
駆動方式:4WD
フロントモーター:交流同期電動機
リアモーター:交流同期電動機
フロントモーター最高出力:--PS(--kW)
フロントモーター最大トルク:--N・m(--kgf・m)
リアモーター最高出力:--PS(--kW)
リアモーター最大トルク:--N・m(--kgf・m)
システム最高出力:313PS(230kW)
システム最大トルク:494N・m(50.4kgf・m)
タイヤ:(前)245/40R20 99Y/(後)245/40R20 99Y(コンチネンタル・エココンタクト6 Q)
交流電力量消費率:18.5-17.0kWh/100km(WLTPモード)
一充電走行距離:433km(WLTPモード)
価格:662万円/テスト車=--円 ※価格は日本仕様車のもの。
オプション装備:--
テスト車の年式:2024年型
テスト開始時の走行距離:--km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
消費電力量:--kWh
参考電力消費率:--km/kWh
MINIジョンクーパーワークス カントリーマン
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4445×1845×1645mm
ホイールベース:2690mm
車重:1680kg
駆動方式:4WD
エンジン:2リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ
トランスミッション:7段AT
最高出力:316PS(233kW)/5750rpm
最大トルク:400N・m(40.8kgf・m)/2000-4500rpm
タイヤ:(前)245/40R20 99Y/(後)245/40R20 99Y(コンチネンタル・エココンタクト6 Q)
燃費:8.3-7.8リッター/100km(WLTPモード)
価格:667万円/テスト車=--円 ※価格は日本仕様車のもの。
オプション装備:--
テスト車の年式:2024年型
テスト開始時の走行距離:--km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(ハイオクガソリン)
参考燃費:--km/リッター

渡辺 敏史
自動車評論家。中古車に新車、国産車に輸入車、チューニングカーから未来の乗り物まで、どんなボールも打ち返す縦横無尽の自動車ライター。二輪・四輪誌の編集に携わった後でフリーランスとして独立。海外の取材にも積極的で、今日も空港カレーに舌鼓を打ちつつ、世界中を飛び回る。
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