第785回:明るく楽しく安全学習 ブリヂストンの「ファミリー交通安全パーク」に密着
2024.04.17 エディターから一言![]() |
ブリヂストンが、休日のショッピングモールで家族向けの交通安全イベント「ファミリー交通安全パーク」を開催。子どもも大人も、クルマに詳しい人もそうでない人も、気軽に安全について学べるイベントの様子を、会場からリポートする。
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ゴールデンウイークへ向けて安全への意識を高めていく
タイヤは命を乗せている。昔、ブリヂストンのCMで流れたこの言葉の意味を、クルマ好きならしっかり理解しているだろう。クルマを構成する数えきれないほど多くのパーツのなかで、地面に接しているのはタイヤだけなのだから。
もちろん、つくり手のブリヂストンは、誰よりもこの事実をよく認識しているはず。その思想が伝わってくるのが、一般的なドライバーを対象とした交通安全啓発の取り組みだ。2024年4月6日に埼玉県越谷市の「イオンレイクタウンkaze」において、日本交通安全教育普及協会との共催で開かれた「ファミリー交通安全パーク」もそのひとつとなる。
ブリヂストンでは、社会インフラを支える基本活動として「#TIRE SAFETY」活動を行っている。4月8日が「タイヤの日」であることから、ここを起点にゴールデンウイーク前までの期間を「安全点検活動強化月間」と位置づけ、グループ全体で活動を強化していくとのこと。今回のイベントもその一環で、自動車、バイク、自転車の交通安全に関する展示や体験を通じた交通安全知識の啓発を、グループ全体で行うというものだった。ちなみにタイヤの日が4月8日に決まったのは、4月が春の全国交通安全運動の実施月であり、“8”という数字に輪のイメージがあるからだそうだ。
日本一広いショッピングセンターであるイオンレイクタウンには「kaze」「mori」「アウトレット」の3つのゾーンがある。イベントはkazeのなかにある「光の広場」で行われた。屋内なので天気が悪くても安心だし、エスカレーター脇の吹き抜けという立地なので注目する人も多く、週末ということもあり親子連れなどでにぎわっていた。
ブリヂストンでは2023年から、首都圏のイオンモールでこの種のイベントを開催していて、今回は3回目とのこと。先述の日本交通安全教育普及協会は、機器の貸し出しやノウハウの提供を担当。埼玉県警察も協力しており、白バイなどの貸し出しを行っていた。
イオンモールで安全イベントを開催することの意義
会場は広場のなかにT字型の道路を描き、その道路によって自転車、二輪車、自動車のゾーンを分けてあるので、わかりやすい。
自転車コーナーでは、空気圧チェックやヘルメット装着の体験のほか、危険予測シミュレーター、さらには「うんこ交通安全ドリル自転車編」なるものまで用意してあった。点検ポイントを「ブタはしゃべる(ブレーキ・タイヤ・ハンドル・車体・ベル)」という言葉にまとめるなど、子どもが交通安全に興味を持つよう努めていたのも印象的である。
バイクコーナーでは偏摩耗したタイヤの危険性を展示で伝えていた。中央部だけが減って断面が台形になったタイヤが置かれており、見るからに危なそうだ。脇に置かれていた白バイは、子どもに大人気。それを見越して小さなサイズの制服の用意もあった。
自動車コーナーでは、子ども安全免許証の発行、スリップサインの説明のほか、空気圧と転がり抵抗の関係を、実際に空気圧の違うタイヤを転がして体験できるメニューもあって、こちらも子どもが挑戦する姿が目立っていた。
また車両の区分にくくられないコーナーもいくつかあって、特に興味深かったのが「運転能力診断テストコーナー」だった。画面上にランダムに並んだ数字を順に消していったり、横に流れる4ケタの数字を読み当てたりすることで、判断能力を試すのだ。高齢者などが自分の感覚を把握するのにもよさそうである。
それほど広いスペースではないが、多彩なメニューが効率的に詰め込まれている印象だ。しかも一方的な教育ではなく、クイズやゲームの要素も取り入れて、楽しみながら交通安全の勉強や自分の運転レベルの把握ができる。明るくにぎやかな会場のつくりとも相まって、クルマ好きではない普通の買い物客も入りやすそうだった。
イオンレイクタウンの来場者の多くは、ほかのイオンモールと同様、クルマで来ているはずなので、交通安全のイベントには適した場所でもある。準備や運営は大変だろうが、イオンモールは全国展開している。各地でこのようなイベントが開かれることを期待したい。
(文=森口将之/写真=webCG/編集=堀田剛資)

森口 将之
モータージャーナリスト&モビリティジャーナリスト。ヒストリックカーから自動運転車まで、さらにはモーターサイクルに自転車、公共交通、そして道路と、モビリティーにまつわる全般を分け隔てなく取材し、さまざまなメディアを通して発信する。グッドデザイン賞の審査委員を長年務めている関係もあり、デザインへの造詣も深い。プライベートではフランスおよびフランス車をこよなく愛しており、現在の所有車はルノーの「アヴァンタイム」と「トゥインゴ」。
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