ポルシェ911ダカール(後編)

2024.05.02 谷口信輝の新車試乗 谷口 信輝 単なる懐古趣味でもなければ、お遊びでつくられた企画商品でもなかった! 限定車「ポルシェ911ダカール」の驚くべき実力について、レーシングドライバー谷口信輝が語る。
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1台で2度楽しい

今回、谷口信輝に試乗してもらったのは、1984年のパリ・ダカールで優勝したタイプ953、「911カレラ 3.2 4×4 パリ・ダカール」をオマージュしたポルシェ911ダカール。その、オフロード車然としたスタイリングに最初は違和感を覚えた谷口も、試乗すると即座にその実力に魅了されたという件は、前編でご紹介したとおり。

後編では、911ダカールのどこがそれほど魅力的だったのか、もう少し掘り下げてもらうことにしたい。「さっきも申し上げたとおり、ゴツゴツのタイヤを履いているし車高も上げてあるのに、乗り心地はかなり洗練されています」 谷口が語り始めた。
「でも、本当の驚きは、これだけ微振動は遮断しているのに、タイヤからのインフォメーションがしっかり伝わってくる点にあります。もちろん、こんなにトレッドパターンが深いタイヤだから、限界付近ではちょっとヨレッとするところはありますよ。でも、荷重移動の感覚とか、限界域でのフィーリングとかは、しっかりフィードバックとして感じられるんです。ハードブレーキングをかけたときにトレッドパターンがギュッギュッとつぶれる様子とか、ステアリングを切ったときにブロックがよじれる感じもしっかり伝わってくる。だから、ドライバーとしては、そのタイヤを操っている感じがよくつかめて、とても楽しいんですよ」

この「楽しい」こそ、谷口が911ダカールを語る際のキーワードであることは、前編でもお伝えしたとおりである。
「それと、このクルマは車高を調整できるんですが、ここまでお話ししたのは車高が高いときの印象。それで、試しに車高を下げてみたところ、タイヤへの入力は増えるので、ちょっとタイヤにはかわいそうかなという気もしますが、ロールが減るぶん、車速を上げたときの安定感が増えて、操作遅れも減るから、ドライバーとしての安心感は強まりますよね」

「で、なにが言いたいかといえば、車高を上げたら上げたでタイヤを操っている感じが楽しいし、下げたらクルマとしてのリニア感が強まってやっぱり楽しい。つまり、車高を上げたときと下げたときで、それぞれ別の楽しさが用意されているんです。これがもう最高で、運転しているとついついニヤニヤしてきちゃうんです」

 
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