ついに世界初公開! 「マツダCX-80」の日本仕様はどうなる?
2024.05.08 デイリーコラム「CX-8」の後継SUV
ついに(欧州で)「マツダCX-80」が発表された。
そんなクルマ聞いたことがない……と思う読者諸兄もいるかもしれないが、同車はブランニューモデルだが「CX-60」のボディーを延長した3列シートのSUV。いうなれば2023年末に生産を終了した「CX-8」の後継的な存在といっていい。果たして、CX-80とはどんなクルマだろうか?
まず注目のボディーサイズは、全幅はCX-60と同じ1890mm。全長はCX-60に対して255mm(CX-8に対して70mm)延ばした4995mmとなっている。「さすがに5mを超えると日本では売りづらくなるだろうから、4995mmまで縮めるだろう」というのがCX-60を所有するマツダウオッチャーである筆者の見立てだったが、やっぱりそのとおりになった。
ちなみに全長は北米向けの「CX-90」に比べると105mm短く、いっぽうでホイールベースは3120mmと共通なので荷室の奥行きを減らすことで全長を縮めた(=居住スペースの広さはCX-90と変わらない)と考えてよさそうだ。それはCX-8と(CX-90の前身である)「CX-9」の関係でも同じだった。
そして実際にCX-90に触れた経験(とメジャーによる計測)からいえば、キャビンの前後方向の居住スペースはCX-8もCX-90も同等である。つまり、車体全長の延長分とはボンネットの延長分なのだ。
いずれにせよ北米向けサイズのCX-90を日本でもマッチするようにアジャストしたのがCX-80と考えていいだろう。
2列目にはセパレートシートも設定
パッケージングは3列シートを備えたSUVだが、3列目を畳んでいてもCX-60との違いは2つある。まずは積載能力。3列目を畳んで2列シーター状態のCX-80は荷室の奥行きがCX-60とは比較にならないほど広く、キャンプやウインタースポーツといった荷物が増えるレジャーを楽しむ人にとっては都合がいい。これは多くのSUVに対するアドバンテージだ。
もうひとつは後席のゆとり。CX-60より250mmも長いホイールベースを生かして2列目取り付け位置を後方へずらしたことで、2列目の膝まわりスペースがゆったりしているのだ(120mmのシートスライドが組み込まれる)。居住性の面では単に3列目があるというだけでなく、2列目に座る人にとっても快適性が増しているのである。
加えてCX-80には、CX-60には設定のない2列目セパレートも設定。しかもシートはCX-8のようにベーシック仕様と上級仕様の2タイプがあり、後者ではシートベンチレーションはもちろん、電動リクライニング調整機能も組み込まれるだろう。
いっぽうパワートレインは、欧州仕様では2.5リッター4気筒ガソリンエンジンのプラグインハイブリッドと3.3リッター6気筒ディーゼルターボエンジンのマイルドハイブリッドの2タイプが用意されている。日本向けがどうなるのかは判断が難しいところだが、欧州と同じプラグインハイブリッドとディーゼルのマイルドハイブリッドは用意されるだろう。しかし、それだけでは高価になりすぎてCX-8からの買い替えニーズをしっかり受け止めることが難しくなるので、モーターの付かない(非ハイブリッドの)ディーゼルエンジンも選べるようになるのでは……というのが筆者の見立てである。
CX-8がそうだったように、初登場から遅れて純ガソリンエンジン仕様を追加することで価格帯を下へ広げていく戦略もあるかもしれない。いや、きっとあるだろう(最初からガソリンエンジンが用意される可能性もあるが)。
価格はどうなる?
気になる価格は、ボトムが非ハイブリッドのディーゼルエンジンだとすれば400万円程度と予測。ちなみにそれは、CX-60の非ハイブリッドディーゼルエンジン車に対して、ざっくり50万円アップだ。もしも純ガソリンエンジン車(2.5リッター自然吸気)が用意されれば、350万円程度に設定されるのではないだろうか。それもCX-8時代のベーシックグレードに対して50万円ほどのアップとなる。
いっぽうで上側は、CX-60の最上級グレード(プラグインハイブリッド)の価格が646万2500円。そこから100万円ほど高い750万円程度だと筆者は考える。その根拠は、CX-5の最上級グレードとCX-8の最上級グレードの価格差が約100万円だったからだ。
750万円はさすがに高すぎのように感じるが、それはプラグインハイブリッドのパワートレインが価格を上げている。しかし補助金(2024年度実績)を考慮すれば実質的にそれより55万円安い(東京都はさらに45万円の補助が付くので合計100万円安い)感覚で買えることも覚えておきたい。
またパワートレインがプラグインハイブリッドではなく6気筒ディーゼルのマイルドハイブリッド車なら、650万円程度に収まる可能性もある。
最後に最も気になる発売時期は、マツダによると「年内」とのこと。きっと秋くらいではないだろうか。当初は「2023年中」なんてうわさされていたからずいぶん遅れた気がしなくもないが、そこには「北米でCX-90が売れすぎてラージモデルの製造ラインに余裕がない」のと「CX-60で指摘されたウイークポイントをブラッシュアップで解消」という2つの理由があるようだ。
というわけで基本的なメカニズムを共有するCX-60ではサスペンションの味つけをはじめとする煮詰めの甘さを指摘されたが、そこから2年がたつタイミングということで多くの改善を受けているのは間違いない。そこは強く期待したいところだ。
ただ、CX-60ユーザーとして超個人的な意見を言うとそんなCX-80の登場が楽しみであると同時に、不満点が改良されていたらそれはそれでうらやましいというなんとも微妙な気分だけれど。
(文=工藤貴宏/写真=マツダ/編集=藤沢 勝)

工藤 貴宏
物心ついた頃からクルマ好きとなり、小学生の頃には自動車雑誌を読み始め、大学在学中に自動車雑誌編集部でアルバイトを開始。その後、バイト先の編集部に就職したのち編集プロダクションを経て、気が付けばフリーランスの自動車ライターに。別の言い方をすればプロのクルマ好きってとこでしょうか。現在の所有車両は「スズキ・ソリオ」「マツダCX-60」、そして「ホンダS660」。実用車からスポーツカーまで幅広く大好きです。
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