メルセデス・マイバッハGLS600 4MATIC(4WD/9AT)
圧倒的な存在感 2024.07.05 試乗記 マイナーチェンジしたラグジュアリーSUV「メルセデス・マイバッハGLS600 4MATIC」に試乗。大きなボディーの内側に置かれるのは4座のみという、ぜいたく極まりないショーファードリブンモデルの走りを、運転席とリッチな装備が満載される後席との両方で味わった。後席はまさにファーストクラス
ベースとなるメルセデス・ベンツの「GLS」でさえ、全長×全幅×全高=5210×1955×1825mmの巨大なボディーが圧倒的な存在感を示しているのに、それをさらに上回る同5210×2030×1840mmのサイズにより、強い存在感とただならぬオーラを放つのがメルセデス・マイバッハGLS600 4MATICだ。
ピンストライプ状の縦バーが並ぶ大きなラジエーターグリルをはじめ、マイバッハのロゴがちりばめられたバンパーのエアインテーク、そして、ラジエーターグリルの中ではなく、ボンネット上にきらめくスリーポインテッドスターなどが、GLSとはまた違う、優雅でぜいたくな雰囲気を醸し出している。
さらに豪華なのがそのインテリア。ドアを開けるとボディーサイド下部から電動でランニングボードがせり出し、ゲストを後席へと誘う。GLSが3列7人乗りであるのに対し、このマイバッハGLSはサードシートを廃止して5人乗りになるうえ、オプションの「ファーストクラスパッケージ」を装着した試乗車の場合は左右独立式のリアシートにより、まさにファーストクラスをほうふつさせる空間をつくり上げている。
ダイヤモンドステッチが施されたナッパレザーシートは、ゆったりと足を伸ばせるだけのスペースが確保され、リクライニングも自在。シートの間の収納部分には冷蔵庫があり、専用のシャンパングラスを格納するスペースが用意されるなど、いたれり尽くせりだ。
そのぶん、ラゲッジスペースが侵食されるのが玉にキズだが、そんなことがささいに思えるマイバッハGLSである。
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マイバッハだけの機能も
主賓席はリアだが、運転席のつくりもぜいたく。ダッシュボードにはナッパレザーが施され、さらにウッドパネルや、鈍く輝くエアベントの美しさには目を奪われる。後席同様、ヒーターとベンチレーターが内蔵されるシートは、冷え込む冬はもちろんのこと、夏の暑い日でも汗ばむのを防いでくれるのがありがたい。
運転好きとしては前席と後席、どちらに座るか悩むところだが、ここからはドライバーの立場で話を進めていく。ステアリングコラム右にあるスイッチで目覚めるのは、4リッターのV8ツインターボエンジン。最高出力は557PS、最大トルクは770N・mを誇り、9段ATの「9Gトロニック」と4WDの4MATICが組み合わされる。
パワートレインの電動化はこのマイバッハGLSも例に漏れず、48V電源とISG(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)によるマイルドハイブリッドを採用している。
サスペンションもぜいたくで、エアサスの「AIRMATIC」を進化させた「E-ACTIVE BODY CONTROL」が標準で搭載されている。スプリングレートとダンパーの減衰力を4輪個別に制御することで、フラットな乗り心地を提供するというものだ。さらにこのクルマには走行特性を切り替える「ダイナミックセレクト」に「マイバッハ」モードが追加され、これを選ぶことで後席の乗り心地を重視したセッティングになるのも見どころである。
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向かうところ敵なしの加速性能
前置きが長くなってしまったが、さっそくクルマを動かすとしよう。大排気量エンジンをマイルドハイブリッドシステムのモーターがアシストするだけに、マイバッハGLSは動き出しからトルクがあふれ、そのうえアクセルペダルの動きに素早く反応。アクセルを軽く操作するだけで街なかを流せるので、扱いやすいことこの上ない。
そういった場面ではエンジンの回転数は2000rpmを下回ることが多いが、無音ではなくV8エンジンの存在が遠くかすかに感じられるところに、ハイパフォーマンスへの期待が高まる。
ふだんの走行ではアクセルペダルを軽く踏むだけで事足りるが、もう少し右足に力を込めると、2000rpmあたりからV8サウンドがはっきりと耳に届きはじめ、それにあわせてエンジンがみるみる活発になっていく。
さらにアクセルペダルを踏み込めば3000rpmを超えるころから一気に力強さを増し、そこからはさらに勢いづいて息つく間もなく6000rpmまで怒濤(どとう)の加速が続く。それはもう感心するばかりだ。現実の世界では、この加速を味わう瞬間はなかなかないかもしれないが、どんな場面からでも望んだ以上の加速が得られるのは実に頼もしい。
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ゲスト思いのマイバッハモード
マイバッハGLSの走りは、ダイナミックセレクトのモードによって性格が変わるのが面白いところ。基本の「コンフォート」でも、ロールの動きはよくコントロールされる一方、低速域では多少ピッチングが気になることも。その点、「スポーツ」では安定感が増すが、路面によってはリアからの突き上げが目立ってくる。
後席の乗り心地を重視する「マイバッハ」では、他に比べて目地段差を越えたときのショックを巧みに遮断し、ゲスト思いのモードといえる。実際にその後席はなかなか快適だった。ただ、ステアリング操作に対する反応がやや曖昧になり、ドライバーの立場からはゲストがいない場合に選ぶ理由はないだろう。
個人的に気に入ったのが「カーブ」と呼ばれるモードで、ほとんどロールをみせずにコーナーを抜けられるのが実に爽快だ。一方、どのモードでもスピードが上がれば挙動は安定し、快適なグランドツアラーとしての資質を存分に発揮してくれる。
狭い駐車場や細い道では大きなボディーを持て余すこともあるが、それを除けばドライバーとしても、ゲストとしても、極上の移動体験ができるマイバッハGLS。SUV全盛のいまの時代、プレステージ性を示すには打ってつけのモデルといえるだろう。
(文=生方 聡/写真=花村英典/編集=櫻井健一)
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テスト車のデータ
メルセデス・マイバッハGLS600 4MATIC
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=5210×2030×1840mm
ホイールベース:3135mm
車重:2850kg
駆動方式:4WD
エンジン:4リッターV8 DOHC 32バルブ ツインターボ
モーター:交流同期電動機
トランスミッション:9段AT
エンジン最高出力:557PS(410kW)/6000-6500rpm
エンジン最大トルク:770N・m/2500-4500rpm
モーター最高出力:22PS(16kW)/900rpm
モーター最大トルク:250N・m(25.5kgf・m)/500rpm
タイヤ:(前)285/40R23 107Y/(後)325/35R23 111Y(ピレリPゼロ)
燃費:--km/リッター
価格:3220万円/テスト車=3375万8000円
オプション装備:ファーストクラスパッケージ(121万円)/ナッパレザーシート<マホガニーブラウン/マキアートベージュ>(11万8000円)/ハイグロスブラックフローイングライン ピアノラッカーウッドインテリアトリム(23万円)
テスト車の年式:2024年型
テスト開始時の走行距離:2654km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(2)/高速道路(6)/山岳路(2)
テスト距離:277.1km
使用燃料:40.4リッター(ハイオクガソリン)
参考燃費:6.8km/リッター(満タン法)/7.4km/リッター(車載燃費計計測値)

生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
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