「レクサスLX」が大幅改良 新開発ハイブリッド搭載の「LX700h」が登場
2024.10.10 自動車ニュース![]() |
トヨタ自動車は2024年10月10日、レクサスのフラッグシップSUV「LX」の一部改良モデルを発表した。新開発のハイブリッドシステムを搭載した「LX700h」が設定されており、2024年末以降、順次各地域で販売を開始する予定だ。
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ハイブリッドシステムの採用で悪路走破性もアップ
レクサスLXは、丈夫なボディー・オン・フレーム構造を持つラグジュアリーなクロスカントリーモデルである。現在では世界50カ国以上のマーケットに導入されている世界戦略車となっているが、クルマの性質上、レクサスのラインナップで唯一、ハイブリッドなどの電動車が設定されないモデルでもあった。
今回のLX700hの導入にあたっては、LXの価値である「信頼性」「耐久性」「悪路走破性」を電動車においても守ることを第一に考え、新しいパラレルハイブリッドシステムを開発。モーターのトルクを生かした走りとCO2排出量の低減を実現しているという。
ハイブリッドシステムの構造としては、フルタイム4WDやローレンジ付きのトランスファー、トルクコンバーター付きのATをそのまま生かすため、3.5リッターV6ツインターボエンジンと10段ATの間に、クラッチ付きのモータージェネレーターを搭載。状況に応じてエンジンのみ/モーターのみでの走行を可能にしている。また、既存のレクサスのパラレルハイブリッド車には装備されないオルタネーターとスターターを備えており、万が一ハイブリッドシステムが停止した場合にも、スターターでのエンジン始動が可能。オルタネーターで発電した電力を12Vの補器バッテリーへ供給することで、エンジンのみでの退避走行ができるとされている。
応答性のよいモーターのトルク特性を生かした走りも特徴で、レクサス車として初めて、ローレンジでのモーター駆動を実現。「マルチテレインセレクト」の各モードと組み合わせ、繊細なアクセル操作が求められる岩場やダート、深雪路などではモーターのみでの走行も一部可能とし、高い走破性とコントロールのしやすさを両立したという。
「GA-Fプラットフォーム」にも独自の改良を実施
耐水性も追求しており、リアフロアに搭載する駆動用バッテリーには、上下に分割したトレイでパッキングする防水構造を採用。これにより、エンジン車と同等の渡河性能700mmを実現した。万が一トレイ内に水が浸入すると、内部の被水センサーがそれを検知。メーター表示によってドライバーへの注意喚起を行う機能も備えている。
またこのバッテリー内の電気は、センターコンソール下のACインバーター(防水構造付き)によって、1500Wまたは2400W(地域によって異なる)の出力で外部に給電することが可能。利便性を考慮して、コンセントはセンターコンソール後部とデッキに配置している。
これらのユニットの搭載にともなう重量増や、全長が伸びたパワートレインの搭載に合わせ、ラダーフレームの「GA-Fプラットフォーム」も強化。専用のクロスメンバー(クロスメンバーNo.3)を新設しつつ、断面と板厚を最適化した薄型形状とすることで、エンジンモデルと同等の最低地上高を確保している。さらにパワートレインの重量増に合わせ、リアエンジンマウントの材質もより耐久性の高いものに変更。リアまわりでは駆動用バッテリーの搭載にともなうスペアタイヤ搭載位置の変更のために、スペアタイヤクロスを新設した。これも、取り付け角度を最適化することで搭載位置を下げつつデパーチャーアングルを維持しており、悪路走破性とサービス性の両立を図っている。
このほかにも、12V補器バッテリーの搭載位置をエンジンルーム内からリアのデッキ横に変更。専用の金属トレイと脱着式のバッテリーブレースを設定し、交換のしやすさとリアクオーターまわりのボディー剛性向上を同時に実現したという。
細やかな改良でドライバビリティーを改善
ラインナップ全体でも大幅な改良が実施されており、ドライバビリティーの改善や先進運転支援システム(ADAS)の強化など、全方位的な進化が図られている。
ドライバビリティーに関する点では、ラジエーターサポートまわりの剛性を強化してステアリング操作に対するリニアな反応を追求。補強部材をパッチ形状とすることでホイールアーティキュレーションを維持し、悪路走破性を犠牲にせずに操舵応答性を向上させたという。インストゥルメントパネルリンフォースメントについても、ステアリングの支持剛性を高めるべくブラケットの追加や既存ブラケットの板厚変更を実施。ステアフィールと操縦安定性の向上を図っている。
またフレームまわりでは、ボディーをマウントするためのキャブマウントクッションの構造を変更。フレームとボディーの結合剛性を向上させ、フレーム車特有のブルブルとした低周波の振動を低減させ、すっきりとした乗り心地を実現したという。
足まわりではAVSアクチュエーター部のバルブ構造を見直し、突き上げ感を抑えた滑らかな乗り心地を追求。トランスファーに関しても、ローレンジでの走行時に極低速から車両が停止する際の減衰力コントロールを改善し、余分な車両の動きを抑えて安心感と上質さを高めたとしている。
進化を遂げたADASにも注目
インテリアの仕様も変更しており、運転支援情報を分かりやすく表示する12.3インチ大型フル液晶メーターを採用。ドライブモードセレクトやマルチテレインセレクトによるモード切り替え時のアニメーション表示も一新した。操作系では、ハイブリッドモデルにレクサスのオフロード4WD車として初めて「エレクトロシフトマチック」を採用。“もみ出し”のような悪路走行特有の操作時における扱いやすさ、握りやすさを追求し、心地のよい触感と高い操作性を併せ持つLX専用のシフトノブを新規開発した。これに合わせ、「アドバンストパーク」のスイッチもセンターコンソール上面に配置している。
快適性の向上も図っており、フロントシートにはエアブラダー(空気袋)方式のリフレッシュシートを新たに採用(“エクゼクティブ”では運転席のみ)。センターディスプレイ内のスイッチから、機能のオン/オフおよび全身2コース・部位別3コースの全5コースが選択可能で、強度も5段階で調整できるという。またセンターコンソールの「置くだけ充電」についても、急速充電に対応する新型に変更。“エグゼクティブ”では既存のリアセンターコンソールに加え、フロントセンターコンソールにも同アイテムを追加した。
ADASは最新の「レクサスセーフティーシステム+」にアップデートしており、道路上のリスクを先読みして運転操作をサポートする「プロアクティブドライビングアシスト(PDA)」や、プリクラッシュセーフティー、レーダークルーズコントロール(全車速追従機能付き)、レーンディパーチャーアラート、ドライバー異常時対応システムなどを装備。PDAについては、信号交差点での右左折時の減速支援や、車線内走行時の常時操舵アシストなどの機能も付与されている。
さらに高度運転支援技術「レクサスチームメイト」の新機能として、渋滞時のハンズオフ走行を可能とする「アドバンストドライブ(渋滞時支援)」を採用。ハイブリッド車には並列駐車時のバック駐車や前向き駐車に対応し、前向き/バック出庫も可能とした「アドバンストパーク」も設定している。
新グレード“オーバートレイル”も設定
さらに今回の改良では、新グレード“オーバートレイル”の設定もトピックとなっている。「NX」や「GX」にも設定のあるアウトドアテイストを高めたグレードで、専用の装備と内外装色を特徴としている。
エクステリアでは黒光輝塗装のスピンドルグリルとマットグレー塗装のアルミホイールをはじめ、フォグランプやルーフレール、ウィンドウモール、ホイールアーチモール、ドアハンドル、アウターミラー、リアバンパーサイドメッキモールを、黒やダーク系の色でコーディネート。ボディーカラーには専用色の「ムーンデザート」を含む、全6色をラインナップしている。
いっぽうインテリアでは、カラーリングに「“OVERTRAIL”モノリス」を設定。シート表皮のメイン部分とドアトリムに低彩度のモノリスを組み合わせ、「アッシュバール墨ブラック」のオーナメント加飾を用いることで、「レクサスらしい上質なオフロードシーンを演出した」としている。
悪路走破性を高める装備も充実しており、全車標準装備のセンターデフロックに加えて、フロント/リアにディファレンシャルロックを設定。足まわりには、LXとしてはこれが初設定となるオールテレインタイヤ(サイズ:265/70R18)を採用した。こちらはレクサスのフレーム車向けに専用開発されたタイヤで、オフロード性能とオンロード性能を高次元でバランス。ショルダー形状の工夫により燃費性能にも配慮しているという。さらに、悪路での路面追随性を向上させる、偏平率の高い専用M+Sタイヤ(サイズ:265/65R18)も設定。オンロードでの優れた操縦安定性・乗り心地性能とオフロード性能を両立しているという。
(webCG)