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第45回:世界最強SUV決定戦(前編) ―お金持ち必見! 世界で一番イキれるクルマはこれだ!!―

2024.11.06 カーデザイン曼荼羅 渕野 健太郎清水 草一
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お値段2625万円の、電気で走るゲレンデヴァーゲンこと「メルセデス・ベンツG580 with EQテクノロジー」。今回は、世界一イキれるSUVを探そうというIQ低めのテーマを、大真面目に議論してみた。
お値段2625万円の、電気で走るゲレンデヴァーゲンこと「メルセデス・ベンツG580 with EQテクノロジー」。今回は、世界一イキれるSUVを探そうというIQ低めのテーマを、大真面目に議論してみた。拡大

ミニバンがはだしで逃げ出す、究極のオラオラマシンことラグジュアリーSUV。世界の億万長者に愛され、石油資源を鯨飲して爆走する巨大戦艦のなかでも、最もイキれる一台はどれか!? webCG史上最もしょうもないテーマを、元カーデザイナーと真剣に討論する!

芸能人も野球選手も大好きな「メルセデス・ベンツGクラス」。NATO軍にも制式採用された、1979年登場の「ゲレンデヴァーゲン」を始祖とする、由緒正しきクロスカントリー車だ。
芸能人も野球選手も大好きな「メルセデス・ベンツGクラス」。NATO軍にも制式採用された、1979年登場の「ゲレンデヴァーゲン」を始祖とする、由緒正しきクロスカントリー車だ。拡大
1979年当時の「ゲレンデヴァーゲン」。こうして見ると、デザインが変わっていない印象の「Gクラス」も、ずいぶんとイメージチェンジしている。
1979年当時の「ゲレンデヴァーゲン」。こうして見ると、デザインが変わっていない印象の「Gクラス」も、ずいぶんとイメージチェンジしている。拡大
このジャンルの王道ともいえる「Gクラス」だが、編集部がある東京・恵比寿界隈では、タクシーと同等の出現頻度。正直なところ、もはや特別なクルマというイメージはない……。(写真:荒川正幸)
このジャンルの王道ともいえる「Gクラス」だが、編集部がある東京・恵比寿界隈では、タクシーと同等の出現頻度。正直なところ、もはや特別なクルマというイメージはない……。(写真:荒川正幸)拡大
先代(上、2015年)と現行(下、2024年)の「Gクラス」の比較。四角張ったスクエアなデザインは共通だが、現行型のほうがやや角が取れ、モダンで乗用車的なイメージとなっている。
先代(上、2015年)と現行(下、2024年)の「Gクラス」の比較。四角張ったスクエアなデザインは共通だが、現行型のほうがやや角が取れ、モダンで乗用車的なイメージとなっている。拡大

「Gクラス」は不純になった?

ほった:……それでは皆さん、これより「世界最強SUV決定権」を開催いたします。字面のとおり最高に頭の悪いテーマなので、IQをガンガン下げていきましょう。

清水:このお題、マンガでいえば『アストロ球団』だね!

ほった:例えが古すぎません!?(笑) しかしそのとおり! 世のお金持ちが愛してやまないコワモテSUVをかき集め、誰が一番強いのかを決めたいと。そういうことなんですよ。それしかないんですよ僕には!(山口 隆の声マネで) 久々のおふざけ回なので一升瓶でも持ってきたかったんですけど、ここ(吉祥寺商工会議所)って飲食禁止なんですよね。残念です。

渕野:ふーむ。……自分は常々考えているんですけど、クルマって持ち主の分身みたいなもので、パーソナリティーが強く表れると思うんですよね。日ごろおとなしい方でも、ごっついSUVに乗っていたら「本当は強くたくましく思われたいのかな?」みたいなところが、あるじゃないですか。

清水:(……おふざけ回のムードが)

ほった:(一瞬で……)

渕野:で、このジャンルで一番のモデルといえば、やっぱりメルセデスの「Gクラス」かなと思いますけど、どうですか?

ほった:……順当ですけど、ワタシとしては正直もう、あんまりスゴみを感じないんです。

渕野:見慣れてしまったから?

ほった:見慣れたというか見飽きたというか。それに押しの強さでいえば、もっと強烈なのがどんどん出てきてますからね。「トヨタ・アルファード」的なトレンドの流入もあって(参照:その1その2)。清水さんのなかでも、最強SUVの勢力図は変わってるんですよね?

清水:勢力図も変わったし、Gクラス自体のイメージもちょっと変わっちゃったね。そりゃ今でもGクラスは順当だけど、デザイン的には6年前にフルモデルチェンジして、フロントにラウンドがついたでしょ? あれだけで不純! って思っちゃってね。(全員笑)

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それでもやっぱり王道はこのクルマ

ほった:モデルチェンジ前のGクラスは、清水さん的にはよかったんですか?

清水:スゴくよかったし、最強だったと思う。でもフルチェンジで、見た目のピュアさが微妙にそがれたよね。この間、首都高を走ってたら、前型の水色のGクラスが合流してきたんだよ。それ見て「なんて上品で強そうなんだろう!」って感嘆したんだ。すっごいステキだったの。いっぽう今のGクラスは、ツヤ消しブラックの「G63(メルセデスAMG G63)」ばっかりでしょ。しかも都心部だと、掃いて捨てるほどいるじゃない。

渕野:でも、それが一番売れてるんですよね。Gクラスのなかで。

清水:そうなんです。ボディーカラーはわかんないけど、G63が販売の6割を占めてるそうです、全世界で。

渕野:6割!? 一番高いのが……。

清水:Gクラスはフルチェンジして、見た目はそんなに変わってないけど、完全にオラオラグルマになったんですよ。

ほった:今日びだと、それが正しい“お金持ちSUV”の在り方かもしれませんけどね。まぁその割に、迫力はいまひとつだけど。……それにしても高くなりましたよねぇ、Gクラス。G63だと3000万円オーバー。

清水:先代はそこまでじゃなかったよね。

ほった:そう、「350d」とか……。

清水:350dは新車が1000万円くらいだったし、中古ならもっと安かったし。オレですら「維持費の安いディーゼルだったら欲しいな~」みたいに思ってたもの。でも今は、そんな考え消し飛んだよ!

ほった:ってなわけで、Gは非常にコスパが悪いというのが私の意見です。

渕野:なるほど……。でもやっぱり、このセグメントで王道といえばGクラスなんですよ。大きさはもちろんですけど、メルセデスっていうステータスや趣味性、特別感を高次元で併せ持ってますから。

ほった:その辺はうまいですよね、本当に。

渕野:だからこそ、フルモデルチェンジでもそんなにイメージを変えなかった。フロントフェイスはちょっとラウンドしたかもしれないですけど(笑)。それに丸目で、とても単純なシルエットをしてるから、見方によってはかわいいと感じる人もいるんじゃないですか。だから男女ともに好評なんです。女性でもこれに乗ってる方、結構おられますよね。

清水:セレブの奥さま御用達ですよね。

2018年のデトロイトショーで発表された現行型「Gクラス」。数え方にもよるが、現行型は3世代目のモデルとなる。
2018年のデトロイトショーで発表された現行型「Gクラス」。数え方にもよるが、現行型は3世代目のモデルとなる。拡大
ややソフィスティケートされたことを除くと、外装はキープコンセプトだった2代目から3代目へのモデルチェンジ。いっぽうインテリアは全面刷新され、武骨だった従来型より大幅に洗練されたものとなった。最新のモデルでは、2024年7月の改良により、さらにモダンなものへと進化している。
ややソフィスティケートされたことを除くと、外装はキープコンセプトだった2代目から3代目へのモデルチェンジ。いっぽうインテリアは全面刷新され、武骨だった従来型より大幅に洗練されたものとなった。最新のモデルでは、2024年7月の改良により、さらにモダンなものへと進化している。拡大
清水氏が大好きだった先代「Gクラス」。1989年から2018年まで、実に30年近く販売されたご長寿モデルだった。
清水氏が大好きだった先代「Gクラス」。1989年から2018年まで、実に30年近く販売されたご長寿モデルだった。拡大
現行「Gクラス」のハイパフォーマンスバージョンである「メルセデスAMG G63」。今やお値段3000万円の高級車だが、やっぱり都市部だと数が多すぎて、威厳はいまひとつ。カーマニアの間では、むしろ“素”のディーゼル車のほうが「おお!」と注目されたりする。
現行「Gクラス」のハイパフォーマンスバージョンである「メルセデスAMG G63」。今やお値段3000万円の高級車だが、やっぱり都市部だと数が多すぎて、威厳はいまひとつ。カーマニアの間では、むしろ“素”のディーゼル車のほうが「おお!」と注目されたりする。拡大
シンプルでわかりやすい2ボックススタイルのシルエットと、親しみが持てる丸目2灯のフロントマスク。渕野氏いわく、これが「Gクラス」の普遍的人気の秘訣(ひけつ)とのことだ。
シンプルでわかりやすい2ボックススタイルのシルエットと、親しみが持てる丸目2灯のフロントマスク。渕野氏いわく、これが「Gクラス」の普遍的人気の秘訣(ひけつ)とのことだ。拡大

王者を脅かすイギリスの刺客

渕野:そんなわけで、Gクラスはフルチェンジしても外装は変わらなかったけど、内装は最新のメルセデスっぽくなりました。唯一無二の外見は変えずに、装備とか乗り心地とかをアップデートしてる。本当に、現行型は盤石なクルマなんじゃないかな、どの方向から考えても。どんな人も満足させられるっていう意味で、本当にすごいクルマです。

ほった:古いお城を完全リフォームしたみたいな。

渕野:そうそう(笑)。ただ世のなかには、ド定番とは距離を置きたいって層もいるわけです。Gクラスはデザイン的にもすごくよくできていますけど、お二人の言うとおり数が増えすぎたと。では、その対抗馬になりそうなのはどれかというと……ランドローバーの「ディフェンダー」ではなかろうかと思います。

清水:カーマニア的な好感度は、そっちのほうが断然高いですよ!

渕野:ディフェンダーはデザインもよくできているし、私もお金がありゃ欲しいと思うぐらいです。街で見かけるのは、大体ボディーがブラックで、大径タイヤでフル装備! みたいな仕様ですけど、私が欲しいのは、小径の白い鉄ホイールを履いた、ベーシックないで立ちのやつですね。

ほった:いかにもクルマ好きな選択ですね。そして私も、大いに同意です。

渕野:ディフェンダーは結構有名人も買ってるみたいですし、Gクラスからちょっと外したいって人にとっては、すごくいい選択肢になっているんじゃないでしょうか。

清水:いまさらロレックスはちょっと、っていう感じで。

渕野:そうです。

2019年のデビュー以来、日本でも高い人気を保ち続けている、現行型「ランドローバー・ディフェンダー」。
2019年のデビュー以来、日本でも高い人気を保ち続けている、現行型「ランドローバー・ディフェンダー」。拡大
2016年まで販売されていた先代「ディフェンダー」(写真向かって左)と、現行型(同右)の比較。旧型の面影を強く残す「メルセデス・ベンツGクラス」に対し、現行のディフェンダーは「ご先祖のスパイスを効かせた、完全にモダンなSUV」といった趣だ。同じ英国車で例えるなら、「クラシックMiniに対するニューMINI」といった感じ。
2016年まで販売されていた先代「ディフェンダー」(写真向かって左)と、現行型(同右)の比較。旧型の面影を強く残す「メルセデス・ベンツGクラス」に対し、現行のディフェンダーは「ご先祖のスパイスを効かせた、完全にモダンなSUV」といった趣だ。同じ英国車で例えるなら、「クラシックMiniに対するニューMINI」といった感じ。拡大
ライバル同様、日本では豪華仕様の個体が街を闊歩(かっぽ)している「ディフェンダー」。しかしカーマニアたるもの、やはりこういう“素”の仕様を愛(め)でたいものである。
ライバル同様、日本では豪華仕様の個体が街を闊歩(かっぽ)している「ディフェンダー」。しかしカーマニアたるもの、やはりこういう“素”の仕様を愛(め)でたいものである。拡大
ライバルにはない豊富なバリエーションも「ディフェンダー」の魅力。3ドア・ショートボディーの「90」に、5ドア・標準ボディーの「110」、同ロングボディーの「130」と、3種類もボディータイプが用意されるのは、このセグメントではディフェンダーぐらいだ。(写真:向後一宏)
ライバルにはない豊富なバリエーションも「ディフェンダー」の魅力。3ドア・ショートボディーの「90」に、5ドア・標準ボディーの「110」、同ロングボディーの「130」と、3種類もボディータイプが用意されるのは、このセグメントではディフェンダーぐらいだ。(写真:向後一宏)拡大

オラオラ超大国アメリカの代表は?

ほった:しかし、うーむ。しかしですよ? ……ディフェンダーって、“最強”なんですかね? 今回のテーマは世界最強SUV決定戦で、世界で一番イキってるやつを選ぼうってお題なわけですよ。いいデザインとかいいSUVを決める大会じゃないんです。ディフェンダーはデザイン的に、実寸よりボディーがちっちゃく見えるじゃないですか。サイズの割に迫力がないというか、お上品なんですよね。デザインのいいSUV決定戦ならコレかもしんないけど……。

……ワタシとしてはですよ、今回のテーマだったら、やはりこいつがチャンプじゃないかと思うんですよ。(おもむろに「キャデラック・エスカレード」の写真を見せる)

清水:そうね! ほった君がアメリカンSUVをエントリーしてくれないと、みんな納得しないよ!(笑)

ほった:前にお話しした「レクサスLX600」とか、こいつとかが話題に上がってこないとおかしいんですよ! 最強SUV決定戦としては!!

渕野:「最強」っていう定義がちょっとわかりづらいんですけど。(全員笑)

清水:でもさ、アメ車ファンとしては、そもそもエスカレードでいいの? 「ダッジ・ラム」とか「フォードF-150」じゃないの?

ほった:いやいやいや。あいつらはSUVじゃなくて、ピックアップトラックじゃないですか!(笑) そりゃ確かに、Fシリーズとか「シルバラード」「タンドラ」を入れるんなら、話は変わってきますよ? でもやつらは規格外! 戦う前から勝利確定だから、あえて控えているんです。大人の気遣いです。

清水:ええ~。世界最強っていったら、やっぱそっちじゃないかって思うけど。

イキれるクルマに小技は不要、デカさこそすべて! ということで、webCGほったが推したのが「キャデラック・エスカレード」だ。(写真:荒川正幸)
イキれるクルマに小技は不要、デカさこそすべて! ということで、webCGほったが推したのが「キャデラック・エスカレード」だ。(写真:荒川正幸)拡大
ほかのクルマと並んで際立つこのデカさ。ボディーサイズは全長×全幅×全高=5400×2065×1930mmと、「ロールス・ロイス・カリナン」より、さらにひとまわりデカい。写真向かって左隣の3列シートSUV「キャデラックXT6」が、まるで子供のようである……。
ほかのクルマと並んで際立つこのデカさ。ボディーサイズは全長×全幅×全高=5400×2065×1930mmと、「ロールス・ロイス・カリナン」より、さらにひとまわりデカい。写真向かって左隣の3列シートSUV「キャデラックXT6」が、まるで子供のようである……。拡大
渕野「ボンネットが高い! フロントマスクがもう壁ですね」 
ほった「この下には6.2リッターのブイハチが収まっているわけですからね。エンジンの写真を撮るとき、カメラマンさんがいつも難儀していますよ(笑)」
渕野「ボンネットが高い! フロントマスクがもう壁ですね」 
	ほった「この下には6.2リッターのブイハチが収まっているわけですからね。エンジンの写真を撮るとき、カメラマンさんがいつも難儀していますよ(笑)」拡大

信号で並んだときに「勝ったな」と思えるクルマ

清水:それにさ、ピックアップとの比較は別にしても、今のエスカレードって、ちょっとお上品じゃない?

ほった:そう! 上品なんですよ。みんな気づいてないんですけど、エスカレートってすごい上品なクルマなんです。実物を見ると。

清水:いやいや、だから今回のテーマ的に上品すぎない? って言ってんの! もっとエグいやつじゃないと。

ほった:何をおっしゃる。あれでも十分迫力大爆発でしょ! 虚弱・軟弱・貧弱なライバルのために、あえて力を抑えてやってるんですよ。なんて優しいやつなんだ……。

渕野:……あの~。今回のお題の最強SUVって、販売でも成功してるというか、お金持ちの皆さんを広く満足させられる、広く支持されているクルマっていうのも、条件かなと思っていたんですけど。

ほった:いや、そういう難しい話じゃなくて、信号とかで隣にクルマが並んだときにこう……。

清水:「勝ったな!」って思えるやつね!(全員笑)

ほった:それはもう、エスカレードに乗ってれば、横にGが来ようがナニが来ようが「勝ったな」ってなりますよ!

清水:それ、Gクラスの側も負けたとは思わないでしょ。でも、ダッジ・ラムとかF-150とか、ああいうのが隣に来たら、Gクラスに乗っている人も「こいつには負けた」って思うかも。

渕野:F-150とか出てきたら、そりゃそうですよね。

ほった:まぁ完全に別世界の乗り物ですからね。やっぱフルサイズのピックアップは含めちゃダメです。子供のけんかにアブドーラ・ザ・ブッチャーが出てくるようなもんです! ケガ人が出る。

清水:ダメなの?(残念そう) じゃあ、それはなしね。

渕野:少なくとも日本市場で正規で販売されるクルマにしましょうよ(笑)。

清水:了解です。日本限定なのに世界最強っていうのが落ち着かないけど……。

ほった:今回はそれで許してください。

清水「でもさ、今の『エスカレード』ってちょっと上品すぎない?」 
ほった「と思うじゃないですか。『プラチナム』グレードだと、こんなギラついたフロントグリルが付くんですよ。もはや死角なし」 
(写真:向後一宏)
清水「でもさ、今の『エスカレード』ってちょっと上品すぎない?」 
	ほった「と思うじゃないですか。『プラチナム』グレードだと、こんなギラついたフロントグリルが付くんですよ。もはや死角なし」 
	(写真:向後一宏)拡大
渕野「それに、意外かもしれませんが、『エスカレード』って造形的に結構ちゃんとしているんですよね。タイヤに対するボディーの収まりとか」 
清水「そうなんですか? いずれアメ車のデザインも、この連載で取り上げましょう!」 
ほった「……いや、アメ車の記事ってそんな読まれないんで」(涙) 
清水「ほった君がそんな弱気でどうするの!?」
渕野「それに、意外かもしれませんが、『エスカレード』って造形的に結構ちゃんとしているんですよね。タイヤに対するボディーの収まりとか」 
	清水「そうなんですか? いずれアメ車のデザインも、この連載で取り上げましょう!」 
	ほった「……いや、アメ車の記事ってそんな読まれないんで」(涙) 
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アメリカが世界に誇るオラオラ系といえば、フルサイズピックアップトラックにとどめを刺すが……。写真はクライスラーの「ラム1500」。会合では皆さん「ダッジ・ラム」と呼んでいたが、実は2009年にダッジから離れ、一個の独立したブランドとなっている。
アメリカが世界に誇るオラオラ系といえば、フルサイズピックアップトラックにとどめを刺すが……。写真はクライスラーの「ラム1500」。会合では皆さん「ダッジ・ラム」と呼んでいたが、実は2009年にダッジから離れ、一個の独立したブランドとなっている。拡大
清水「でも、アメリカっていったらやっぱり巨大なピックアップトラックじゃない?」 
ほった「こちとら本気を出したら勝負にならないから、気を使ってあげてるんですよ。いいんですか? こういうバケモノ(フォード・スーパーデューティーF-350ラリアット)を連れてきても」
清水「でも、アメリカっていったらやっぱり巨大なピックアップトラックじゃない?」 
	ほった「こちとら本気を出したら勝負にならないから、気を使ってあげてるんですよ。いいんですか? こういうバケモノ(フォード・スーパーデューティーF-350ラリアット)を連れてきても」拡大

ラグジュアリーSUV界の“顔面凶器”

渕野:それで、国産でこういうクルマの対抗馬になりそうなのが……。

ほった:LXですね、レクサスの。

渕野:そうです。清水さんの好きな(参照)。これ、売れてるんですか?

ほった:そもそも買えないんですよ、海外需要が多すぎて。

清水:もともと中東が7割だっけ?

ほった:ですね。ロシアが戦争でダメになったから、その分をちょっと日本に回せるかもって話も聞きましたけど……あの話はどうなったんですかね?

清水:回してるんじゃないの?

ほった:回してこの状態ですか。すごいな。

渕野:それってブランド力ですかね、このデザインですかね?

ほった:両方じゃないですか。ベース車であるランクル(トヨタ・ランドクルーザー)の威光は、世界的にも半端じゃないですから。それに、もののデキとブランドの両方がないと、この手のクルマは売れないと思います。

渕野:なるほど。……で、実際このデザイン、最強なんですか?(笑) 

清水:ん~。顔についてはかなり最強だと思います。アメリカンピックアップを除けば、顔は最強。……ただ全体としては、「ジムニーシエラ」が最強かなぁ。(全員笑)

渕野:ええ~。

ほった:どんどん最強SUVの定義がおかしくなっていく!

清水:シエラは、Gクラスがまだピュアだった頃のデザインにごく近いでしょ。それがあの値段(196万2400円~)で買えるっていうのはスゴい!

ほった:確かに、コスパ最強ではありますね。ジムニーに乗ってたら、横にロールス・ロイスが来たって、まったく、みじんも負けた気にならない。

清水:ならないよね。向こうも負けたとは思わないだろうけど(笑)。

ほった:ちっちゃすぎて気づかれないかも(笑)。

渕野:ジムニーは置いといてレクサスLXに話を戻すと、このクルマも内装がラグジュアリーじゃないですか。Gクラスも内装が充実してるんで、所有の満足感は高いと思います。個人的には普通の“300”(トヨタ版の「ランドクルーザー“300”」)のほうが好きですけど。

清水:デザイン的にもですか?

渕野:デザイン的にです。

清水:確かにLXは顔だけだから……。

ほった:清水さんはそれが大事なんでしょ?

清水:もちろん! 人もクルマも顔が命(笑)!

後編へ続く)

(語り=渕野健太郎/文=清水草一/写真=メルセデス・ベンツ、ジャガー・ランドローバー、ゼネラルモーターズ、ステランティス、フォード、トヨタ自動車、スズキ、荒川正幸、向後一宏、花村英典/編集=堀田剛資)

ドヤれるラグジュアリーSUVの日本代表といえば「レクサスLX」。見よ、このコテコテのフロントグリルを!(写真:花村英典)
ドヤれるラグジュアリーSUVの日本代表といえば「レクサスLX」。見よ、このコテコテのフロントグリルを!(写真:花村英典)拡大
ベース車である「トヨタ・ランドクルーザー“300”」ゆずりの悪路走破性も、海外で「レクサスLX」が支持されているポイント。あまたの逸話に彩られたランクルのブランド力は、すでにジープやディフェンダー、ゲレンデワーゲンにも比肩するものとなっているのだ。(写真:向後一宏)
ベース車である「トヨタ・ランドクルーザー“300”」ゆずりの悪路走破性も、海外で「レクサスLX」が支持されているポイント。あまたの逸話に彩られたランクルのブランド力は、すでにジープやディフェンダー、ゲレンデワーゲンにも比肩するものとなっているのだ。(写真:向後一宏)拡大
ほった「でも『レクサスLX』って、顔以外は案外マトモというか、普通というか……」 
清水「いいの! 人もクルマも顔が命なんだから」 
(写真:向後一宏)
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	清水「いいの! 人もクルマも顔が命なんだから」 
	(写真:向後一宏)拡大
これもまた、清水氏が愛してやまない「スズキ・ジムニーシエラ」。 
ほった「……ていうか、清水さん、以前は『SUVなんて興味ない!』って言ってませんでしたっけ?」
これもまた、清水氏が愛してやまない「スズキ・ジムニーシエラ」。 
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ほった「確かに、『ジムニー/ジムニーシエラ』なら、横にどんなクルマが並んでも負けた気にはならないかも」 
清水「コスパは最強かもしれないね」 
(写真:荒川正幸)
ほった「確かに、『ジムニー/ジムニーシエラ』なら、横にどんなクルマが並んでも負けた気にはならないかも」 
	清水「コスパは最強かもしれないね」 
	(写真:荒川正幸)拡大
クルマのキモは顔だ、デカさだ、いいやコスパだと、皆が好き勝手に放言しまくるこの討論。果たしてまっとうな結論に行き着くのか? 後編も乞うご期待。(写真:向後一宏)
クルマのキモは顔だ、デカさだ、いいやコスパだと、皆が好き勝手に放言しまくるこの討論。果たしてまっとうな結論に行き着くのか? 後編も乞うご期待。(写真:向後一宏)拡大
渕野 健太郎

渕野 健太郎

プロダクトデザイナー兼カーデザインジャーナリスト。福岡県出身。日本大学芸術学部卒業後、富士重工業株式会社(現、株式会社SUBARU)にカーデザイナーとして入社。約20年の間にさまざまなクルマをデザインするなかで、クルマと社会との関わりをより意識するようになる。主観的になりがちなカーデザインを分かりやすく解説、時には問題定義、さらにはデザイン提案まで行うマルチプレイヤーを目指している。

清水 草一

清水 草一

お笑いフェラーリ文学である『そのフェラーリください!』(三推社/講談社)、『フェラーリを買ふということ』(ネコ・パブリッシング)などにとどまらず、日本でただ一人の高速道路ジャーナリストとして『首都高はなぜ渋滞するのか!?』(三推社/講談社)、『高速道路の謎』(扶桑社新書)といった著書も持つ。慶大卒後、編集者を経てフリーライター。最大の趣味は自動車の購入で、現在まで通算47台、うち11台がフェラーリ。本人いわく「『タモリ倶楽部』に首都高研究家として呼ばれたのが人生の金字塔」とのこと。

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