いまこそ、かき回したい! 新車で買えるおすすめMT車はこれだ!
2026.03.16 デイリーコラムどれだけ減っても、なくてはならない
乗用車の新車販売におけるその比率は、わずか2%未満。かつては普通免許を持つすべての人がそれを運転する資格を持っていたが、現在は自ら選択しないと運転する資格が得られない。だからそれを運転できる免許証の取得者もどんどん減り続けている。そうなるとそのクルマも減り続け、いまでは絶滅危惧種のような存在に……。
そう書くだけで、クルマ好きなら何について語っているか想像がつくに違いない。MT(マニュアルトランスミッション)搭載車のことである。
はっきり言ってMT車を運転するのは面倒だ。どうしてクラッチペダルを操作し、シフトレバーを動かさなければならないのか。わずらわしい。そんなのはクルマに任せてしまえばいいのに。
……確かに理屈でいえばそうだ。しかし体験というのは時として理屈を超えることがある。MT車を操るのは楽しいし気持ちがいい。運転しているという実感を高めてくれる。発進やギアチェンジにコツが必要だからこそ、上手に決まったときの満足感といったらもう……いや、単なるMT好きのたわごとなのだけど。
2026年3月2日にトヨタが「ヤリス」を一部改良したのだけれど、トヨタは偉い! だって、新車販売におけるごく少数の人を対象に、ハッチバックにしっかりとMTを残してくれたのだから。コンパクトハッチバッククラスでも、気づけばヤリスのほかにMTを選べるのって、「マツダ2」と「スズキ・スイフト」だけなのだ。
というわけで今回は、いまこそ“手こぎ”で乗りたいと筆者が思えるモデルを紹介していこう。
まずは筆者の愛車でもある「マツダ・ロードスター」。やっぱりロードスターはMTに限る。だってライトウェイトスポーツカーなんだから。人馬一体感をより深く堪能するには、エンジン回転を完全に支配下に置けて、シフト操作とクラッチ操作でクルマとドライバーの呼吸を合わせられるMT以外に何があるというのか。筆者は思う、ロードスターはMTに限ると。
メーカー側もこだわっている
速さを求める高出力スポーツカーには、2つの考え方がある。ATの性能が上がり、DCTも存在する昨今は「速さを求める」のであればMTではなくATやDCTに限る。そっちのほうがMTよりも速いのだから。
だけど、超パワフルではなく自分で操る感覚を求めるスポーツカーならMTがいいだろう。例えば「トヨタGR86」や「スバルBRZ」は、ぜひMTをオススメしたい。
もちろんATが悪いわけじゃない。けれど、ロードスターと同様に「クルマと一体になる感覚」はMTのほうが強い。いま、手ごろかつ積極的に走りを楽しめる後輪駆動スポーツカーは希少な存在だ。だからこそGR86やBRZならMTがいいのだ。
「タイプR」だけでなく、もっと気軽にスポーティーさを味わえる「RS」というMT専用グレードを用意する「ホンダ・シビック」も、せっかくだからMTで乗りたい。
1.5リッターターボエンジンに組み合わせるMTは、シフト操作やクラッチ操作のフィーリングにこだわり、シャシー性能の高さもあって下手なスポーツカー顔負けレベルで運転が楽しいクルマ。「ファミリーカーとして使えるMT」の最高峰かも。
ファミリーカーといえば、前述のとおり、マツダ2のMTモデルも価値がある。マツダ2にはかつてディーゼル+MTの組み合わせもあったけど、いまはガソリンエンジンのみ。だけどMTをしっかり残してくれているのには感謝しかない。6段のMTは、このクラスとしては異例なほどソリッドなフィーリングなのが自慢。
しかも、モータースポーツベース車両でありMT専用グレードの「15MB」なら176万8800円という激安価格。うそみたいだけれど、このグレード用のエンジンは“ハイオク仕様”となっていて、他グレード用のエンジンより6PSパワーアップしているのだからうれしい限りだ。マツダのこだわりを感じずにはいられない仕様である。
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一番の決め手は「一体感」
なかには「いやいや、MTだからといってそんなにがんばって乗るんじゃなくて、肩ひじ張らずにサラッと乗りたい」という人もいることだろう。そんな人にオススメなのが「スズキ・ワゴンR」だ。
ワゴンRは2025年末の一部改良でグレードをわずか2タイプに整理してかなりシンプルなバリエーション構成となったのだが、MTはしっかり健在。ちゃんと残してくれているのだ。開発者によると「MTに慣れ親しんだ年配の人に乗っていただくため」とのことだが、MTモデルだけはフロアシフトで駐車ブレーキがサイドレバー式(ほかはインパネシフト&足踏み式パーキングブレーキ)と、かなり特別な仕立て。しかも値段は145万7500円と激安!
シフトフィール自体はユルくて「昔ながらのMT」という感じだけれど、車体が軽くて、あんまりパワーもなくて、だけど素直で、そういう素うどんみたいなのをサラリと楽しみながらゆっくり移動するのも悪くはないかと。左手と左足を駆使しながら移動していると、これぞクルマの原点という感じがする。ワゴンRのMT仕様はそんな気持ちになれるのだ。
人はなぜMTを選ぶのか?
そこにMTがあるから……ではなく、MTがもたらしてくれるのは「クルマとの対話」であり「クルマとの一体感」だ。そこに心地よさを感じるのであれば、迷うことなく“いまこそMT”なのである。
(文=工藤貴宏/写真=トヨタ自動車、本田技研工業、マツダ、向後一宏/編集=関 顕也)

工藤 貴宏
物心ついた頃からクルマ好きとなり、小学生の頃には自動車雑誌を読み始め、大学在学中に自動車雑誌編集部でアルバイトを開始。その後、バイト先の編集部に就職したのち編集プロダクションを経て、気が付けばフリーランスの自動車ライターに。別の言い方をすればプロのクルマ好きってとこでしょうか。現在の所有車両は「スズキ・ソリオ」「マツダCX-60」、そして「ホンダS660」。実用車からスポーツカーまで幅広く大好きです。
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