ジープ・ラングラー アンリミテッド ルビコン(4WD/8AT)
自動車の水準器 2026.03.19 JAIA輸入車試乗会2026 今も昔もジープブランドの支柱となっている「ラングラー」。悪路にフォーカスし、舗装路では手ごわい挙動を示す一台だが、偏屈なリポーターは「これこそ自動車の本質である!」と強弁するのだった。JAIA輸入車試乗会より、孤高の一台の走りを報告する。自動車ってこういうものでしょ
かねて『webCG』をひいきにされている読者諸氏は、こう思われるかもしれない。「まーたラングラーかよ」。そうなのだ、またなのだ。webCGのJAIA試乗記でラングラーが登場するのは、2024年から3年連続。筆者は全員、ワタシである(参照:その1、その2)。これはご容赦いただきたい。記者はもう、年に一度はラングラーを摂取しないと手の震えが止まらない体質になってしまったのだ(笑)。
かつて偉いジャーナリストの先生はこう仰(おっしゃ)った。「『フォルクスワーゲン・ゴルフ』こそクルマの水準器だ」「定期的にベンツに乗って、評価の軸がブレていないか確かめているんだよ」。評論家ではない記者にとり、思えばラングラーがそれなのだ。パワートレインは騒々しく、乗り心地はゴワゴワで、凹凸を越えれば盛大に身震いし、ハンドルをしっかり握っていないとまっすぐ走らない。しかし、正しい。こちとら1t、2tの鉄のカタマリでウン十km/hでぶっ飛ばしているのだ。このぐらい荒々しくて当然だろう。むしろ、かような蛮行を表向きスマートにこなすクルマのほうが異常であり、まやかしなのだ。ラングラーの魅力はオフロードだけではない。ラングラーに乗ると、自動車とは本来いかに粗暴であるか、それを駆ることがいかに魂に充足をもたらすものだったかが、強烈に思い出されるのである。
無論、現代的解釈からすれば、その操作性や乗り心地はスマートとはいえない。しかし、大事なのは走る・曲がる・止まるがしっかりできることであって、それを「いかにスマートにこなすか」は自動車の本分なのか? 自動車の本分とは、外界から人を守り、目的地に無事たどり着かせることだろう。ましてやラングラーは、クロスカントリービークルなのだから。
普段、試乗記の取材に帯同し、その都合でいろんなクルマを運転していると、つい記者も、浅学のくせに「乗り心地が~」とか「ハンドリングが~」とか思ってしまう。で、 “いいクルマのベンチマーク”なんていう、ありもしない虚像を幻視しかける。記者にとり、定期的にラングラーや70ランクルやケータハムあたりに乗るということは、そうしてイカレた自身の脳をリセットする行為なのだ。記者にとって、ジープはクルマの水準器なのである。
(文=webCG堀田剛資<webCG”Happy”Hotta>/写真=田村 弥/編集=堀田剛資)
【スペック】
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4870×1930×1855mm/ホイールベース:3010mm/車重:2110kg/駆動方式:4WD/エンジン:2リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ/トランスミッション:8段AT/最高出力:272PS(200kW)/5250rpm/最大トルク:400N・m(40.8kgf・m)/3000rpm/タイヤ:(前)LT255/75R17 111/108Q M+S/(後)LT255/75R17 111/108Q M+S(BFグッドリッチ・マッドテレインT/A KM2)/燃費:9.2km/リッター(WLTCモード)/価格:914万円

堀田 剛資
猫とバイクと文庫本、そして東京多摩地区をこよなく愛するwebCG編集者。好きな言葉は反骨、嫌いな言葉は権威主義。今日もダッジとトライアンフで、奥多摩かいわいをお散歩する。
-
ボルボEX30プラス シングルモーター(RWD) 2026.4.10 クロスオーバータイプのボルボの電気自動車「EX30」に、新しいエントリーグレード「プラス シングルモーター」が登場。JAIA輸入車合同試乗会で触れた、航続距離390kmの控えめな新顔は、見ても乗っても、とっても良質なクルマに仕上がっていた。
-
メルセデス・ベンツG580 with EQテクノロジー エディション1(4WD) 2026.4.9 みんな大好き「Gクラス」がまさかの電気自動車に! 4つのタイヤを4つのモーターで動かす「メルセデス・ベンツG580 with EQテクノロジー」に試乗。ドイツの驚異のテクノロジーが生んだ電気仕掛けのバケモノマシンに、webCG編集部員が感じたこととは?
-
アウディA6スポーツバックe-tronパフォーマンス(RWD) 2026.4.3 エアロダイナミクスを追求したエクステリアデザインと、未来的で上質感あふれるインテリアや装備の融合がうたわれるアウディの電気自動車「A6スポーツバックe-tronパフォーマンス」。その走りに感心する一方で、気になるポイントも発見した。
-
MINIクーパー コンバーチブルS(FF/7AT) 2026.4.2 JAIA輸入車試乗会で「ディフェンダー」の次に乗り込んだのは新型「MINIクーパー コンバーチブルS」。重厚でタフな世界から一転、屋根を全開にして走りだせば、飛ばさなくても笑みがこぼれる、幸せな時間が待っていた。
-
BMW 525LiエクスクルーシブMスポーツ(FR/8AT) 2026.3.27 中国からやってくる「BMW 5シリーズ ロング」はなんとも不思議な存在だ。全長を5175mmまで拡大した後席主体のクルマかと思えば、運転してみても軽快かつ痛快。ポジションはちょっと地味ではあるものの、後世になって「隠れた名車」として評価が高まりそうな予感がする。
-
NEW
トヨタRAV4アドベンチャー(4WD/CVT)【試乗記】
2026.8.1試乗記いまやトヨタの最量販モデルへと上り詰めた「RAV4」の6代目モデルが登場。もちろんトヨタにとっては自信作のはずだが、後を追うライバル勢も着々と進化しており、カスタマーのチェックの目は厳しくなるばかりだ。国内向けでは最廉価の「アドベンチャー」でその仕上がりを試した。 -
パワー炸裂! 世界のV8エンジン搭載モデル
2026.8.1日刊!名車列伝速さが自慢のスポーツモデルから高級サルーンまで。今月は、トルキーな出力特性や迫力のサウンドが魅力のV8エンジン車を特集。日替わりで紹介いたします。 -
いばらの道のフォルクスワーゲン再建計画 ――10万人のリストラと4工場閉鎖は本当か?――
2026.7.31デイリーコラム不振にあえぐフォルクスワーゲンが経営再建計画を発表。しかしその中身は、追加の人員削減や工場閉鎖に言及しない、外部から「生ぬるい」と指摘されるものだった。この内容で本当にドイツの巨人は再生するのか? 厳しさを増す市場環境から考察した。 -
ビモータKB998リミニ(6MT)【レビュー】
2026.7.31試乗記ビモータのスーパースポーツ「KB998リミニ」にサーキットで試乗! イタリア職人の手によるフレームに、カワサキの強心臓を搭載した一台は、いかなる走りを見せてくれるのか? クローズドコースだからこそ体験できたマシンの真価に迫る。 -
BYDシーライオン6(前編)
2026.7.30あの多田哲哉の自動車放談日本市場において、日に日に存在感を強めているBYD。そのクルマづくりについて、元トヨタの車両開発者である多田哲哉さんは何を思う? プラグインハイブリッド車「シーライオン6」に試乗したうえで、語ってもらった。 -
1990年代の名車「プリメーラ」が復活? 日産のグローバル戦略の一翼を担うBEVの正体を探る
2026.7.30デイリーコラム日産が新型ピックアップトラック「ナバラ プロ プラグインハイブリッド」と新型BEV「プリメーラ」をフィリピンで発表した。いずれも中国を生産・輸出のハブとするグローバル戦略の一翼を担うモデルだ。果たして日本導入の可能性は?





































