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第410回:エコなEVはレース界も救う? コージ、たぶん世界初の公認EVシリーズ戦に出場す

2010.07.14 小沢コージの勢いまかせ! 小沢 コージ
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第410回:エコなEVはレース界も救う? コージ、たぶん世界初の公認EVシリーズ戦に出場す

EVでジムカーナ

もはや電気自動車(EV)でなければ、クルマじゃない!? とまでのムードが漂いつつある日本。そんなに早く普及するわきゃないだろ! というイヤミな俺と、結構出回るかもな〜とポジティブな俺とのはざまで揺れ動いている不肖・小沢ですが、先日知り合いのEV冒険野郎、ZEVEX鈴木一史さんからお誘いがあり、日本初! いや世界初(!?)の公的団体(JAF)公認の電気自動車シリーズ戦に参加してまいりましたっ! ミーハーだなぁ、我ながら(笑)。

それは、JMRC神奈川ジムカーナ部会に新設されたEVクラス。ポイントはある種の利害の一致で、競技人口減少に悩む神奈川ジムカーナと、なにか面白い事をしたい! と考えるEV冒険団体「ZEVEX」の鈴木さんが出会い、なんかできない? で、2009年に始まったのが、自作「ミゼットII EV」によるEVジムカーナ。要するにエコな電気自動車でレースすれば、もっと盛り上がるでしょう! というわけだが、正直台数が少なくて、シリーズ戦にはならなかった。

しかし、どうせやるならもっと盛り上げねば! と2010年、ZEVEXがミゼットII EVを2台に増やし、三菱自動車にも協力をお願いしたところ、「i-MiEV」を2台も出してくれることになり、しかも1台につきドライバー2人登録の、ダブルエントリー方式を利用すれば、1レース最大8名のドライバーが参戦可能! よってついに今年、年間シリーズのEVチャンピオンシップが新設されることになったわけです。
で、新しもの好きジャーナリストである不肖・小沢にも声がかかったわけですが、まずはいきなり結論……チョー牧歌的です(笑)。

実はジムカーナは、モータースポーツの中でもかなりマニアックな部類。以前何回か取材したことありましたが、久々にみてビックリ。こ、ここは時間が止まってるのか〜! 出てる車両がまず仰天で、「トヨタMR2」にはじまり、旧型「ランエボ」や5代目「シビック」などなど。まさにバブル前後のクルマ黄金時代の再現! 出てるドライバーの方々も、なんとも『イニシャルD』なニオイのするすてきな方ばかり。ああ、クルマ熱よ、こんなところで燃えさかっていたとは……。

そんな超体育会集団の中に、極細ノーマルタイヤで連続定格出力わずか15ps、瞬間40ps近いミゼットII EVで出ようってのは、まさに体育会系の文化系というか、ライオンの中のヤギ。車重1トン前後と軽めは軽めだが、1人牧歌的バトルとなったわけです。

 
第410回:エコなEVはレース界も救う? コージ、たぶん世界初の公認EVシリーズ戦に出場すの画像 拡大
“EV冒険野郎”ことZEVEX拡大の鈴木一史さん(右)と、、ZEVEXレーシングチーム監督の大津志伸さん。
“EV冒険野郎”ことZEVEXの鈴木一史さん(右)と、、ZEVEXレーシングチーム監督の大津志伸さん。
 
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最初にやったモン勝ち

さて、6月のとある晴れた日曜日、富士スピードウェイのジムカーナコースに集合した不肖・小沢ですが、予想外に気楽かつ充実して楽しめました。まず、最大のライバルはキュート系ジャーナリストのフジトモこと藤島知子ちゃんで、ただし、彼女は最高出力64psのi-MiEVなので、まるで勝ち目なし。

ライバルは同じミゼットEVに乗る、鈴木さんやその仲間たち。正直乗れればいいや……程度だったんですが、始まるとそれなりに本気になるのがレースだね。

乗り始めてわかったんだけど、EVには走るコツってのがある。瞬間40psとはいえ、EVなので出足はガソリン自動車以上に鋭く、使い方によってはそれなりに速い。でも基本的にはフロントが重すぎるし、タイヤも前が細く、ローパワー。サイドブレーキを引いてスピンターンも無理(笑)。なんというか、ギュッと走ってギュッと止まってギュッと曲がる、そういう熱くメリハリの利いた走りではなく、少ないパワーをいかにゆるりと発揮させるかがキモなんですね。これは三菱EVチーム監督の増岡さん(あのパリダカの雄!)のアドバイスなのだが、「EVはたしかにまだ重くて低パワーだけど、逆に重心が低くて粘る。上手に走れば結構速いんです」と。

あとはシートが真っ平らで、いかに体をホールドすべきかとか、神奈川ジムカーナ名物の複雑コースなんで、いかにミスコースしないかがコツ(笑)。

で、細かいことはいろいろありましたが、2回トライした結果、ミゼットEVではトップタイムで、EV総合でも3位入賞! 仮にもJAF公認レースですがな!! やはりなんでも最初にやったモン勝ちだと思った次第です。ただし、なんかミソっかすっぽい勝ち方ですが(苦笑)。

ヤバさが足りない

最後に根本テーマであるEVレースの総括だけど、最大の問題は今のところ、モータースポーツに求められる“ヤバさ”が足りないこと。他の車両のレースを見て思ったけど、とにかく排気音やハデなアクションがヤバいのだ。比べると、ミゼットEVやi-MiEVはあまりに牧歌的で、小学生の運動会のよう。レース好きはまだ萌えないかも?

でも可能性はある。鈴木さんいわく「EVって設定によってはいくらでもパワー特性が変わりますから、ことによっては車重1トン1000psだって可能。ただし、おそらく1分でモーターが焼き付きますけど(笑)」と。

そう、排気量や過給器に頼らなくちゃいけない内燃機関に比べ、瞬間パワーを出すのがEVは容易。特に走行1分ぐらいですむジムカーナは、ちょっと無理めなセッティングでもがんばれそうなのだ。
きっと「MR2改EV」で、1000psとか出たら面白いんだろうなぁ。リスキーはリスキーだろうけど。

あとはメーカー同士のバトルとかも興味深い。三菱さんが「来年は日産さんが『リーフ』で出るしかないでしょ!」って言ってたけどホントそう。
モータースポーツは、なにかの代理戦争ってのも燃えるよね。「三菱スーパーi-MiEV」vs「日産ハイパーリーフ」ってのはどうでしょ。静かだけど超速い! 音はタイヤのスキール音のみという、酔わないアルコールのような不思議で熱いレースになるのかも。

ってなわけで来年は日産さん、頼みますよ。ことによってはドライバー、小沢コージでもOKです(笑)。

(文と写真=小沢コージ)

小沢 コージ

小沢 コージ

神奈川県横浜市出身。某私立大学を卒業し、某自動車メーカーに就職。半年後に辞め、自動車専門誌『NAVI』の編集部員を経て、現在フリーの自動車ジャーナリストとして活躍中。ロンドン五輪で好成績をあげた「トビウオジャパン」27人が語る『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた』(集英社)に携わる。 YouTubeチャンネル『小沢コージのKozziTV』

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