トヨタ・プリウスG(FF/CVT)【ブリーフテスト】
トヨタ・プリウスG(FF/CVT) 2009.08.31 試乗記 ……302万6450円総合評価……★★★★★
いまやエコカーの代名詞、「トヨタ・プリウス」。キモとなるハイブリッドシステムをはじめ、走りや乗り心地といったクルマとしての実力をあらためてテストする。
世界標準の器
このクルマは、何をやっても許されてしまうところがある。ある意味で常識外れなことでも、プリウスだから……という理由でまかり通る。それだけプリウスには特別な期待が寄せられている。
38km/リッターも走れるという燃費の良さだけが取り柄なのではない。エネルギーを回収して電気を蓄え、それを走ることに使うシステムの、メカとしての面白さ、さらに、モーターとエンジンの組み合わせによる独特の走行フィールなど、まったく新しい感覚の乗り物として個性が感じられる。
プリウス自体はこれで3代目ということで、いまや初期のいろいろな不都合も対策され、完成された乗り物として評価されるに至っている。減税や優遇処置のおかげもあって、いまでは生産が間に合わないほどの人気らしいが、このクルマをより深く理解する人が増えれば、例えば、ふだん行われているアイドリングストップの意味が理解されるなど、いろいろな分野で新たな知識が広められることだろう。
このクルマは、所有することに意味があるわけではなく、どんどん使ってこそ価値がある。ガレージに眠らせておいては勿体ない。世界標準車として世界中の路上を席巻することが期待される。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
「トヨタ・プリウス」は、1997年12月に登場した量産型ハイブリッド乗用車。1.5リッター直4のガソリンエンジンと電気モーターを併せ持ち、走行状態によってそれぞれを併用あるいは使い分けることで燃費を稼ぐ。
2003年9月にデビューした2代目を経て、現在のモデルは3代目(2009年5月18日発売)。完成度を高めた先代モデルが世界中で人気を博したのをうけ、全方位にわたり、正常進化が図られた。
具体的には、エアロダイナミクスや居住性の向上、ガソリンエンジンの排気量を1.5リッターから1.8リッターに拡大しモーターの出力も高めたこと、そのうえで燃費値を38.0km/リッターへと1割近く向上させたことなどが挙げられる。ルーフに発電用のソーラーパネルを載せるといった新機構も他車に見られないセリングポイントである。
(グレード概要)
グレードは大きく分けて、ベーシックな「L」のほか、フォグランプやリアアームレストなどを備える「S」、さらにスマートエントリー&スタートシステムやクルーズコントロールといった快適装備を加えた「G」の3タイプ。
「S」と「G」には、17インチアルミホイール(本来は15インチ+ホイールキャップ)や専用チューンドサスペンションなどを備える“ツーリングセレクション”がラインナップ。最上級グレードとして、唯一の革シート仕様車「G“ツーリングセレクション”レザーパッケージ」も用意される。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
他のトヨタ車とくらべても簡素な感じがする。もう少し未来的であってもいい。豪華さは必要ないが簡素化するにしても見せかたがあるはず。動力の伝達状態を示す「エネルギーモニター」はこのクルマの象徴的な部分だが、旧モデルに比べイメージが小型化され、矢印の表示も見にくくなった。シフトレバーは直結入力されない「バイワイヤ方式」であるから、さらなる工夫もできそう。空調吹き出しなども、同じメカを使うことはやぶさかではないが、プリウスらしい表現がほしい。
(前席)……★★★
クッションを薄めに設定して室内を広く感じさせる処理は賛成。サイズ、形状、ホールド性なども良好。ランバーサポートの調整機構は無し。この部分をもう少し固くしてほしい。座面は中央部が落ち込む感じ。どうせ落とすならばもう少し後方を落とせば、ランバーサポート付近の支えも効果的になると思われる。P(パーキング)スイッチと足踏み式パーキングブレーキの関係がわかりにくく、駐車時に片方を使ったり使わなかったりと、操作を間違えやすい。機能を統一できればいいのだが。
(後席)……★★★
座った感触が平板なのは折り畳めるタイプの宿命ながら、頭上を含めて空間的に窮屈な感覚がなく広々としている。クッションのサイズは座面も背面もやや小振りながら、不足は感じない。足元も靴の先が前席の下へ入り横方向も余裕あり。フロアは浅く感じるものの、足を前に投げ出して座るほどでもない。中央部がやや狭いのは、クラス平均。センタートンネルは低めで足元の余裕は確保されている。
(荷室)……★★
バッテリーや補機類に占領されて狭いのではと思いきや、予想以上の広さが確保されている。リアシートを畳めばさらに大きな空間が広がるし、左右別々にも畳めるので長いものも積める。フロアのボード下にはさらに小物入れまである。トノカバーを外して最後部に立てて収納できるので、高さを利用して積む方法も賢い。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★★
排気量を増したエンジンはトルクが増強されており、加速時のレスポンスも一段と向上した。モーター併用のフル加速は同クラスのスポーツカーでさえ侮れまい。発進が必ずモーターで行われるのも、力強く滑らかな印象を与えるもので、静粛性も良好。通常の変速ギアを持たないが、電気式のオーバードライブでも追加すれば、さらに高速での燃費も静粛性も向上するだろう。いっぽう、モーターによる微速走行時に歩行者に気づかれにくいのは難点か。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★
一見平坦な路面でもややヒョコヒョコするような、微小上下動が高級感を削ぐ。とはいえパーツ精度とコストには密接な関係があるわけで、少しでも提供できる価格を下げるためには我慢すべきことなのかもしれない。モーター駆動が加わる中高速域でのコーナーでは、モーターがLSD的な感触でグリップ感を強め、内輪の空転などトルクが偏る感覚がほとんどない。トラクションに対する期待は絶大だ。
(写真=荒川正幸)
【テストデータ】
報告者:笹目二朗
テスト日:2009年7月28日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2009年式
テスト車の走行距離:6831km
タイヤ:(前)195/65R15(後)同じ(いずれも、ブリヂストンECOPIA EP25)
オプション装備:ボディカラーホワイトパールクリスタルシャイン(3万1500円)/フロントアンダーカバー+リアバンパースポイラー(1万5750円)/ソーラーパネル付きムーンルーフ+ソーラーベンチレーションシステム&リモートエアコンシステム(21万円)/タッチトレーサーディスプレイ+インテリジェントパーキングアシスト+HDDナビゲーションシステム(30万8700円)/ETCユニット(1万500円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(2):高速道路(8)
テスト距離:287.3km
使用燃料:12.08リッター
参考燃費:23.78km/リッター

笹目 二朗
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