トヨタiQ(プロトタイプ)
2008.10.03 画像・写真北海道・士別試験場で、初試乗がかなったトヨタの新世代コンパクト「iQ(プロトタイプ)」。ユニークな内外装とその走りを、写真で(ブリーフテスト風に)紹介する。(文=webCG近藤俊)
(総合評価)★★★★
数々の技術的なチャレンジによって、3mを切る全長に4名乗車を可能にする。その心意気と執念が随所にみられる。パッケージングを除き、個々の性能について特にきわだったところはないが、とにかくその成り立ちが魔法のようだ。今後、同社の小型車開発に活用されていくであろう技術が、てんこ盛り。
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(総合評価)★★★★ 数々の技術的なチャレンジによって、3mを切る全長に4名乗車を可能にする。その心意気と執念が随所にみられる。パッケージングを除き、個々の性能について特にきわだったところはないが、とにかくその成り立ちが魔法のようだ。今後、同社の小型車開発に活用されていくであろう技術が、てんこ盛り。
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(インパネ+装備)★★★★ 助手席前の空間が大きくえぐり取られた、左右非対称のインストルメントパネル。ステアリングの素材や手触りを含め、まずまず上質。デザインも新鮮。安全装備も充実しており、運転席、助手席、運転席膝まわり、サイド、リアウィンドーほか、全部で9個のエアバッグをすべてのグレードで標準装備する。
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(前席)★★★★ 写真は「100G」というグレード。「薄型シート」が強調されているが、背中へのアタリもしっかりしていて、座り心地も良好。スペックからの想像や見た目からの判断よりも、ずっと良かった。デザイン的にはヘッドレストが穴あきの「100Gレザーパッケージ」のシートがオススメ。
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(後席)★★★ 写真は「100Gレザーパッケージ」。助手席の後ろは、長時間でなければ実用に耐えるレベル。頭上空間に余裕がないので、快適とまでは言いにくいけれど……運転席の後ろは……実質的にはモノ置きスペース。座ったヒトにとっては罰ゲーム。
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(荷室)★★ 後席を折りたためば十分なスペースが現れる。容量は232リッター。床面もフラットで使いやすそうだ。ゴルフバッグも(大きさ次第だが)なんとか2個積めそう。一方、4名乗車時にも32リッターを確保したという。ただし、開口部の幅は狭い。タバコの箱くらいしかないので使いづらそうだ。
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(エンジン+トランスミッション)★★★ 1リッター直3DOHC+CVTの組み合わせは、ヴィッツと同じ。とはいえ、従来の1KRエンジンに対して吸排気レイアウトを一新、VVT-iなどを採用するなどして、低・中速域でのトルクアップを果たしたという(数値は非公表)。実際、パワーはiQの軽量ボディには必要充分なものだ。
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(乗り心地+ハンドリング)★★★★ 想像以上にしっとりした乗り心地。ホイールベースの短さゆえピッチング方向の動きは残るが、さほど気にならない。コーナリング時も意外なほどの安定感がある。ロールはするけれど、安心。超小型車らしくキビキビ走るというよりは、実際以上に大きな(長い?)クルマを操っているような感覚だった。
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色とりどりのiQが並ぶ。販売スタート時には、写真の7色にブロンズ系の1色を加えた、計8色が用意されるようだ。彩度の高い派手な色は「アカ」くらいで、シックな色合いが揃うのは、メイン市場の欧州を想定してのことなのでしょう。
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iQには3つのグレードが用意される。とはいえ、エンジン、トランスミッション、ボディ形状は共通。つまり、装備の違いのみでグレード分けされている。ベースグレードが「100X」、本皮巻きステアリング、オートエアコンなどの快適装備を追加した「100G」、さらに15インチアルミホイール、レザーシートなどを装備した「100Gレザーパッケージ」の3タイプ。
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真正面から見ると小さなクルマには見えない。むしろ、実寸(全幅1680mm)よりもずっと大きく見える。立派に見えるとも言えるし、茫洋としているとも言える。いずれにしても、コンパクトにギュッと凝縮したようなイメージは……ない。
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真横から見るとタイヤがボディの、ホント端っこについている。前後のオーバーハングはわずか2〜3cm程度に見える。これこそがアクセルペダル、リアタイヤをともに前に出すことを可能にした、iQの高効率パッケージ革命(?)の結果だ。応用しだいでヴィッツサイズの7人乗りもありえるかも?
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見たまんまのショートボディ。ホイールベースは2000mm。……という数字から想像するよりずっと穏やかに「曲がり」をこなす。ステアリングのフィールも自然。ただし、100km/h程度からの制動時に(プロトタイプゆえ?)おしりがムズムズする感じはあり。VSC標準装備はありがたい。
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この前輪の切れ角とボディサイズが3.9mという最小回転半径を生んだ。数字でピンとこないヒトも、乗れば確実に驚くレベル。片側一車線の道路で、余裕のUターンが可能。むしろ曲がりすぎて調子くるうほど。狭くて入り組んだ道なら、これ最強。
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iQの開発を統率した中嶋裕樹チーフエンジニア。商品化するうえで想像される困難が非常に多く、それらを次々にクリア(時には強引に突破)していくことは「馬力のある彼にしかできなかった(笑)」とは、トヨタの、他車のチーフエンジニアの談。
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マンタ(エイの一種)をモチーフにデザインされたインストルメントパネル。デザインそのものに新しさもあり、質感も高い。ただし「カーナビなしじゃ生きられない!」って人は、後付(ディーラーオプション)で対応するほかなさそうだ。その場合、せっかくの「マンタ」デザインは“台無し”になってしまう。
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ヴィッツとの共通部品と思しきシフトゲート。ここだけ質感がやや低く……残念。シフトノブやサイドブレーキレバーそのものの感触は、なかなかのモノなのに。今後のカイゼンに期待したい。「プレミアム」って、こういうところ大切だと思います。
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個性的なデザインのメーターパネル。速度計の右下部分に回転計が組み合わされる。クルマのあたらしさを表現するのに、一役買っていると思います。
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エアコンユニットを小型化し、インパネセンター部分に収納した。写真中央のヒーターコントロールスイッチは、1ダイヤル式。中央のボタンで機能を選択し、ダイヤルを回して設定値などを調整するというもの。シンプルなデザインと多機能の両立がジマン。
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通常はエンジンの後方に配置されるデフを前方に配置することで、タイヤ中心をより前方に置くことが可能になった。結果、フロントオーバーハングはご覧のとおり。装着されるタイヤは、専用に開発されたブリヂストン・エコピアEP25。サイズは前後とも175/65R15。
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これまで後席シート下に配置されていた燃料タンクを、薄型化してフロア下に移動させることで、リアタイヤの中心を従来型比で440mm前方に配置することが可能になったという。リアのオーバーハングは、ご覧のとおりの短さだ。