ルノー・コレオス(4WD/6MT)【海外試乗記】
とってもルノー 2008.06.16 試乗記 ルノー・コレオス(4WD/6MT)2008年3月のジュネーブショーでデビューした「ルノー・コレオス」。日産、ルノー、ルノー・サムスンの三社共同プロジェクトで生まれた、ルノー初のクロスオーバーモデルをモロッコで試す。
日韓仏の共同製作
今年2008年は日仏交流150周年。だからじゃないだろうが、ルノー初の本格派SUV「コレオス」は、わが国との関係が深い。デザインはルノーだが、エンジニアリングは厚木にある日産テクニカルセンターが担当。プラットフォームは「エクストレイル」や「デュアリス」と共通だ。
そういえば最大のライバルといえるPSAのSUV「プジョー4007」と「シトロエンCクロッサー」は「三菱アウトランダー」のOEM版。フレンチSUVは日本抜きでは語れないのが現状なのである。
さらにコレオスには韓国もからんでいる。ルノー・サムスン・モーターズの釜山工場で生産されるからだ。ルノー日産アライアンスのアジア拠点を有効活用した成り立ちといえよう。しかし国際試乗会が行われたのはなぜかモロッコ。世界遺産に指定されている古都フェズが舞台だった。
フランス車らしい
ボディは、4520×1855×1710mmで日本の兄弟車に比べると幅の広さが目立つ。ルーテシアに似たフロントマスク、強く傾いたリアゲートなどのおかげで、SUVっぽいイカツサがない。デザイナーに聞くと、あえて攻撃的にならないカタチをめざしたのだという。いばらないSUV。フランスらしいコンセプトだ。
上品なベージュで彩られ、優雅なカーブで描かれたインテリアは典型的なルノー。こちらにも土の匂いはない。エクストレイルやデュアリスより長い2690mmのホイールベースも味方して、スペースに不満はなし。オプションのレザーシートはフロントだけでなく、リアも快適な座り心地だった。SUVではめずらしいダブルフォールディング方式としたことで、クッションの厚さをしっかり確保できたことが効いているのかもしれない。
折り畳みは足元のストラップを引くと座面がフワッと跳ね上がり、背もたれはレバーを引いて倒す2アクションで、とても操作しやすかった。こうすれば定員乗車で450リッターの荷室容量が1380リッターに広がる。テールゲートを上下2分割としたのは、パリのギチギチ駐車という現地事情を考え、それでも開閉可能にするためか。下側は耐荷重200kgだからベンチにも使える。
エンジンは4気筒のみで、ガソリンが日産製2.5リッター、ディーゼルターボはルノー製2リッターだ。トランスミッションは6段MTのほか、ガソリンにCVT、ディーゼルターボに6段ATも用意。来年上陸予定の日本仕様はおそらくガソリンCVTになるだろう。どのエンジン/トランスミッションでもFFと4WDが選択可能で、後者は前後トルク配分を100:0から50:50の間で電子制御するオールモード4×4-iになる。
なにからなにまでエクストレイルと共通。これでルノーらしい走りが表現できるのか。その不安は走り出して数分もしないうちに解消した。「とってもルノー」な乗り心地だったからだ。
オフロードもイケル
兄弟車のデュアリスもフランス車っぽいしなやかな足の持ち主だ。しかしコレオスは同車で気になった足元のドタバタがほとんどない。速度を上げたときのフラット感もアップしている。さらに上質な快適を手に入れているのだ。
ハンドリングはデュアリスほど軽快ではないものの、ターンインは素直でロールは少なく、しっとり接地する4つのタイヤのおかげでペースを上げても安定感を失わない。これまたルノー風だ。
試乗車はすべてMT+4WDだったが、エンジンは両方試すことができた。余裕という点では、パワーこそ150psにとどまるものの、32.6kgmの大トルクをわずか2000rpmで発揮するディーゼルターボが上。エクストレイルより約100kg重い1.6トンほどのボディを自在に加速させてくれた。
一方、170ps/23.0kgmのガソリンは、急な上りでは3000rpm以上をキープする必要があったものの、静粛性やスムーズネスは当然こちらが上だ。
いい意味で予想を裏切ったのがオフロードコースでの走り。見かけ以上にイケル。センターデフロックも可能なオールモード4×4-i、ヒルスタートアシスト、ヒルディセントコントロールなど、エクストレイル譲りのハイテクの効果も大きいが、しなやかな足が確実に接地してくれるからこそ、高度な走破性を手にできたともいえる。しかもこういう場所でさえ乗り心地がいい。ドシンバタンとは無縁。過酷な悪路をフワッといなしながら前進していく。
日韓仏の3国共同製作という背景で生まれたコレオスはしかし、乗ってみれば正真正銘のルノーなのだった。
(文=森口将之/写真=森口将之、ルノー・ジャポン)

森口 将之
モータージャーナリスト&モビリティジャーナリスト。ヒストリックカーから自動運転車まで、さらにはモーターサイクルに自転車、公共交通、そして道路と、モビリティーにまつわる全般を分け隔てなく取材し、さまざまなメディアを通して発信する。グッドデザイン賞の審査委員を長年務めている関係もあり、デザインへの造詣も深い。プライベートではフランスおよびフランス車をこよなく愛しており、現在の所有車はルノーの「アヴァンタイム」と「トゥインゴ」。
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