「クルマ付属のジャッキを使うとシャシーが歪む?」

2008.04.05 クルマ生活Q&A 松本 英雄 ボディ
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「クルマ付属のジャッキを使うとシャシーが歪む?」

自分でタイヤ交換をする時、クルマに付いているジャッキを使っていますが、「シャシーが歪むからやめたほうがいい」と言われました。本当ですか?

お答えします。まず、結論から言いましょう。心配する必要はありません。
クルマ付属のジャッキで持ち上げた場合、一点だけで支える形になりますから、たしかにシャシーにはひずみが生じることになります。

業者で作業をしてもらう時はクルマ全体をリフトアップしますから、こちらのほうが安心な気がしますね。でも、一時的にひずんでいても、クルマを地上に降ろせばすっかり元に戻ってしまうのです。

シャシーはほとんどの場合鉄でできています。鉄は強度が高いだけでなく、弾性係数と降伏点がともに高いという優れた性質を持っています……といってもなんだかわかりませんね。
一般に金属はある程度変形しても元に戻る性質があり、一度歪んでも復元する力が働きます。つまり、バネのような性格を持っているのです。
ただ、ある大きさ以上の力が加わると変形が永久的なものとなってしまい、元に戻らなくなります。その限界が高いことが、素材としての鉄の有利な点なのです。弾性係数、降伏点というのは、その性質を表す用語です。

クルマのメインフロアにはその中でも特に良質な素材である高張力鋼板が使われていますから、簡単には変形したままにならないのです。もちろん、事故を起こしたりすればシャシーが歪んでしまいますが、ジャッキアップぐらいで変形してしまうようではとても使い物になりませんよ。

松本 英雄

松本 英雄

自動車テクノロジーライター。1992年~97年に当時のチームいすゞ(いすゞ自動車のワークスラリーチーム)テクニカル部門のアドバイザーとして、パリ・ダカール参加用車両の開発、製作にたずさわる。著書に『カー機能障害は治る』『通のツール箱』『クルマが長持ちする7つの習慣』(二玄社)がある。